ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ヴァン・ゴッホ

2013-10-31 22:27:55 | あ行

妙に、まぶたの奥に残るんだなこれが・・・。


「モーリス・ピアラ ヴァン・ゴッホ」70点★★★★


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1890年。

売れない絵描きである
ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ(ジャック・デシュトロン)は
フランス・オーヴェルの村に宿を借り
絵を描き始める。

村の娘マルグリット(アレクサンドラ・ロンドン)に出会った彼は
彼女をモデルにし

マルグリットは
親子ほども歳の離れたゴッホに惹かれていくのだが――?!

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ゴダールなどヌーヴェル・ヴァーグ作家たち、そして
それ以降の映画作家らに多大な影響を与えた
フランス映画界の巨匠、モーリス・ピアラ監督。

しかし日本ではほとんど公開されたことがなく
本作は今回、
「モーリス・ピアラ」特集上映として、初公開される1996年の作品です。

ワシも恥ずかしながら、初見なんですが

う~~む、これは
なんとも言えぬ不思議な作品。

と言ってもアバンギャルドなわけではなく、
ごく普通のことしかしていないのだけど
(まあ160分もあるというのが、アバンギャルドか。笑)

しかし妙に、観たあと、まぶたの奥に残るっつうか
再生されるんですよねえ。


かの有名な「耳切り落とし事件」のあと、
田舎の村で絵を描くゴッホの日常を描いており

しかし伝記然としたところまったくなく、
悲壮なドラマもない。

田園風景や酒場など
彼が描く絵画そのまんまの風景のなかで
彼らが生活し、

その生活のなかに芸術があり、遊興があったのだ、と
生き生きと描いているような。


人当たり悪そうなゴッホ氏が
打ち解けてくるとお茶目で、なかなか人好きする人物だったりするのが
なんだか楽しく。

ピストルで自殺?!というシーンでも
銃声すらしないし

いよいよの最期は、
クワガタが死ぬように、
細い手足を折り曲げて、フッと命の炎を消す。

これって、かなり、
斬新・・・。

160分は確かに長いけれど、
決して退屈ではない不思議な体験でした。

★11/2(土)からシアター イメージフォーラムほか全国順次公開。

特集上映「モーリス・ピアラ」「ヴァン・ゴッホ」公式サイト
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セブン・サイコパス

2013-10-31 21:50:00 | さ行

トム・ウェイツもっと出して~。


「セブン・サイコパス」62点★★★


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ロス在住の脚本家のマーティ(コリン・ファレル)は
新作「7人のサイコパス(イカれた奴)」の執筆が進まずスランプ中。

彼を見かねた友人ビリー(サム・ロックウェル)は
ネタ集めにと、新聞に広告を出す。

「サイコパス(イカれた奴)、募集!」

すると、マジにサイコパスたちが集まってきて――?!

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ピンとくる会話、ヤバめの笑い
個性派俳優の投入、グロいバイオレンス描写、
なにより映画作りを題材にするなど、

映画好きをツボらせるようなポイントを多く設けてる。

いかにもサブキャラな男が重要人物になったり、
ラストも含め
そこらのバイオレンスものとは違うゾ、な匂いと、面白みはあります。

ウサギを抱っこする殺し屋とか愛犬とか
動物好きには危険なフラグも

「動物は殺さない」ルールが守られてて一安心。

ただ
劇中の言葉を借りれば
「幾層にも厚い」ストーリーとは言えず。

クリストファー・ウォーケンも
コリン・ファレルもハマってますが

オルガ・キュリレンコも出てますが

もう一度観たいかと言えば、ん、もういいかな(笑)


★11/2(土)から新宿武蔵野館ほか全国で公開。

「セブン・サイコパス」公式サイト
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父の秘密

2013-10-31 21:09:13 | た行

タイトルからして、ちょっとひっかけだったり。


「父の秘密」70点★★★★


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高校生のアレハンドラ(テッサ・イア)は
父(ヘルナン・メンドーサ)とともに、メキシコシティに引っ越してくる。

シェフの父は新しい職場で仕事を始め、
アレハンドラは新しい高校で友達もできた。

だが、ある出来事をきっかけに
アレハンドラは学校でいじめを受けてしまい――?!

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第65回カンヌ国際映画祭
「ある視点」部門でグランプリを取ったメキシコ映画。

タイトルからして、ちょっとやられましたわ。
映画としては
父の秘密ではなく「娘の秘密」なんだよね。

まあラストまでいくと「うむ・・・」とも思うけど。



ちょっと変わった目線から固定カメラで対象を追う
ミステリアスな雰囲気で

仲良し父娘の水面下で
静かにさざ波が立っている様子を、説明最少に描き
けっこう引き込まれました。


冒頭から
「父はなぜ車を乗り捨てたのか?」
「娘とどこにドライブしているのか?」

――事情がわかるにつれて「なるほど」となり、
きちんと伏線が張られていることもわかる。

娘がプール好きなことも、
ファーストシーンの不思議な構図にも、
多くの意味が含まれているんですね。

31歳の新鋭マイケル・フランコ監督、なかなかやってくれます。

主人公に対するえげつないクラスメイトたちのイジメは
見るに耐えないですが

しかし
どこの国でもやること似たようなものなんだなと
そのくだらなさが、ハッキリと見えたり。

髪切られちゃっても
ショートカットのほうが断然可愛らしいしね。

ラストはけっこう「!」だけど、
ワシは好きだな。

★11/2(土)からユーロスペースで公開。ほか全国順次公開。

「父の秘密」公式サイト
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ワン・ダイレクション THIS IS US

2013-10-30 01:41:43 | わ行

決して「若いが勝ち」とかじゃないですからね!(笑)


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「ワン・ダイレクション THIS IS US」3D版 71点★★★★


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イギリス発の超人気ボーイズ・グループ
「ワン・ダイレクション」のドキュメンタリー。

彼らのこと、ほとんど知らなかったですけど
いや~夢中になって観ちゃいました(笑)。

3Dだと、ライブ体感力が高いと思う。

最新ツアーに密着し、
舞台裏も見せつつ、
割と音楽もしっかり見せるので、お披露目的意味合いが強いのかな。

5人のキャラと個性、特に声の個性がわかってくるころには
すっかりハマり

やっぱハリーが可愛いなあ。ルイも好みだなとか
年甲斐もなくっつうか、アホか(笑)

でもね
オーディションで勝ち上がった子たちだけに
みな歌がうまいし

子犬のように転げ回る、楽しそうな若者たちを
見てるだけで楽しいんですわ。

それに、みな謙虚で堅実で、
なかなかピュアそうな若者たちなんですよね。

そのあたりは
SNSなど情報ツールを駆使して
彼らを文字通り支え、世界的スターに押し上げた
ファンたちが見抜いていたことなんだろうな。

逆にいまの時代、
そこまでを見ている、ファンたちの目って
非常に厳しいということですねえ。


★11/1(金)から全国で公開。

「ワン・ダイレクション THIS IS US」公式サイト
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恋するリベラーチェ

2013-10-30 00:38:14 | か行

マット・デイモンが
かっ、かわいいっ

「恋するリベラーチェ」66点★★★☆

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1977年。
カリフォルニアに住む青年スコット(マット・デイモン)は
彼氏の紹介で、大物人物に出会う。

それは国民的なピアニストであり
歌も歌うは、ショーをするはのエンターテイナー、
リベラーチェ(マイケル・ダグラス)。

スターながら、気さくで優しいリベラーチェとスコットは意気投合し、
やがて恋人同士になるのだが――。

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スティーヴン・ソダバーグ監督作品。

1970年代の実在スターとその恋人の話で、
マイケル・ダグラスとマット・デイモンが恋人同士を演じてます。

といっても
激烈!に激しい描写などはなく
割と美麗に、ソフトにまとめてある。

キラッキラの衣装に身を包み、圧倒的なショーマンシップを見せつける
マイケル・ダグラスもハマってるし、

ロン毛で物腰柔らかなマット・デイモンは、
坊主頭の「エリジウム」よりいい感じ。

「ハゲ」ネタとか、
アヤシイ整形外科医のロブ・ロウが出てきた瞬間、場内爆笑だったし(笑)
けっこう笑い所も満載なんです。

なんですが
やっぱり、どうも伝えたいものがピンとこない。

ただ、単純なスターの伝記ではなく
ものすごーく普遍的な恋愛説法にしたところが
特色であり、いいところかな。


男×男でも男×女でも、
カップルが辿る運命は何処も同じ、
情熱→倦怠→浮気……であると(苦笑)

しばらくすれば
かつての自分と同じようなフレッシュな若い相手が現れて
その座を奪われるんだ、という。

最初のほうにあるシーンと、後のシーンで
それがとてもうまく表現されていて
「うん!」と思いました。さすが。


★11/1(金)から全国で公開。

「恋するリベラーチェ」公式サイト
コメント (2)
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