ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

2017年ベスト10!

2017-12-27 23:32:08 | ぽつったー(ぽつおのつぶやき)

年末恒例~
2017年ベスト10、発表いたします!

(1位)ありがとう、トニ・エルドマン
(2位)未来よ こんにちは
(3位)女神の見えざる手
(4位)マンチェスター・バイ・ザ・シー
(5位)否定と肯定
(6位)おとなの事情
(7位)希望のかなた
(8位)トトとふたりの姉
(9位)スウィート17モンスター
(10位)夜空はいつでも最高密度の青色だ

以下、
 ノクターナル・アニマルズ
 エル ELLE
 雨の日は会えない、晴れた日は君を想う
 ブレードランナー2049
 サーミの血
 三度目の殺人
 ザ・コンサルタント
 わたしは、ダニエル・ブレイク
 ギフテッド
 夜明けの祈り
 Ryuichi Sakamoto:CODA
 ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ


今年はドキュメンタリーもドラマも、洋画邦画も合わせて。
そしてワーストはナシにします。

いつもながら点数ではなく、
いま思い返しての印象と、衝撃&斬新さ、
そして
「もう一度観たい!」を大切にしました。

ぽつお番長的主演女優賞は
「未来よ こんにちは」「エル ELLE」のイザベル・ユペール!
主演男優賞は「ブレードランナー2049」のライアン・ゴズリングかなー。

2017年も
ベストでは書き切れないほど
いい映画にたくさん出合いました。
ぜひ過去ログ、ご参考いただければと思います~。

そして
今年も読んでいただき
本当にありがとうございました。
2018年もぼちぼち……いや、鋭意がんばります!ので
どうぞよろしくお願いいたします!
コメント (7)

マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年

2017-12-22 01:55:06 | ま行

フラットシューズもあるって
この映画で知りました。

……欲しい(ヤバい。笑)


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「マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年」70点★★★★


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故ダイアナ妃やマドンナにも愛され、
「SATC」のキャリーが愛用し、

世界中の女性が憧れる
稀代の靴デザイナー、マノロ・ブラニク氏のドキュメンタリーです。


御年75歳になる彼は、実にチャーミングな人で
映画も軽やかに描かれている。

オープニングから
「撮り始めてから2年も撮ってるけど、これって『風と共に去りぬ』?」なんて
ジャブをかましてくれるマノロさん(笑)


(そうそう、「私が靴を愛するワケ」でも
辛辣なコメントにウケた憶えが……笑)


本作では
本当にトカゲに靴を作っていた(!)という
その幼少時代から
靴デザイナーになるまで、

さらに
デザイン画を描く様子から、自分で全ての靴の原型を作る様子や
手仕事感溢れる工房での製作風景、

そしてステキなお庭まで
いろいろ明かしてくれます。

なのに、
どこか、煙に巻かれた感じがするのが
また不思議なところ。


映画のなかで、誰かが評していた
「妖精のような人」が、まさにぴったりで

そんなとらえどころのなさも
いいのかなあと思いました。


そして来年発売(おそらく1/8発売です)になりますが
おなじみ「AERA」にて本作と「ドリス・ヴァッン・ノッテン 花とファブリックを愛する男」(1/13公開)
特集した記事を書きました。

「いま、なぜファッション映画なのか?」
二人の共通点、そして現代のブランド事情までを
ファッションジャーナリスト宮田理江さんの解説とともに紐解きます。

ぜひ映画と合わせてお読みいただければ~

しかしながら
この取材でマノロさんの靴、たっぷり見せていただいて
本気で、かなり魅了されました。
もっとバリバリハイヒールを想像していたけれど
すごく足に快適そうで、エレガント!
デニム地のフラットシューズとか、本気で欲しくなった……。
実物の魅力をご存じの方にも、この映画、楽しめるだろうなあ。

それに男性方もご安心。
メンズもあるそうですよ!


★12/23(土・祝)から新宿ピカデリー、Bunkamura ル・シネマほか全国で公開。

「マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年」公式サイト
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彼女が目覚めるその日まで

2017-12-16 01:21:25 | か行


悪魔憑き、とされた病がここに。


「彼女が目覚めるその日まで」68点★★★★


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憧れのニューヨーク・ポストの記者として採用された
21歳のスザンナ(クロエ・グレース・モレッツ)。

やる気に満ち満ちた彼女は
バリバリ企画を出し、
恋人のスティーヴン(トーマス・マン)との関係も良好で
充実した日々を送っていた。

――が、そんな彼女に異変が現れはじめる。

視界がぼやけ、会議中もぼんやり。
〆切りも守れなくなる。

しかし病院に行っても
異常は見当たらない。

そしてある夜、
決定的な出来事が起こり――?!


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抗NMDA受容体脳炎という病を発症した
ニューヨーク・ポスト紙の女性記者の実話がもと。

映画「エクソシスト」のモデルとなった少年が
この病を患っていたといわれている病で
彼女が発症した09年には、まだほとんど認知されていなかったそうです。


病気の発露から、ゆるゆると症状が進む様子も
診断がつかないもどかしさも、

彼女の苦しみを追体験するように
非常につらく感じる。


仕事が近い、ということもあるのかもしれないけど
原稿がまとめられないとか
インタビュー中にこんな事態に陥るとか
恐ろしくて考えられない。

気の毒さもあいまって
マジで
全編89分とは信じられないほど長く感じました。


でもって、診断がついてからは
尻端折り的にあっと言う間なんですよね。

そこが
ちょっとアンバランスな感じ。

「悪魔祓い、聖なる儀式」の記事をAERAで書くにあたって
まず調べたのが、この映画の原作『脳に棲む魔物』で
すごく読み応えがあった。
(著者近影も、美人!笑)

本にはエクソシストとの関連の記述もあって
おもしろかったんですが
それについての言及が、映画には一切ないのもちょっと気になった。

まあ、映画は彼女を支えたボーイフレンドとの話や
家族の物語が
メインになっているのはわかるんだけど

何か事情があるのかなあとか
考えてもしまいました。

映画で光るのは
先輩記者役のジェニー・スレイト!
「ギフテッド」のあの女優さんです。
やっぱり、いいなあ。


★12/16(土)から角川シネマ有楽町ほか全国で公開。

「彼女が目覚めるその日まで」公式サイト
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花筐/HANAGATAMI

2017-12-15 23:56:13 | は行

大林宣彦監督、
やりきってる。


「花筐/HANAGATAMI」70点★★★★


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1941年の春。

17歳の榊山(窪塚俊介)は
佐賀県唐津に暮らす叔母(常盤貴子)のもとから
学校に通うことになる。

そこで榊山は
アポロ神のように猛々しい鵜飼(満島真之介)や
異様な存在感を放つ吉良(長塚圭史)らと学友になる。

肺病を患う従姉妹(矢作穂香)に恋心を抱きながら
榊山は青春を謳歌する。

だが、そんな彼らのほとばしるような日々も
戦争の渦に巻き込まれていく――。


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檀一雄氏の『花筐』を原作に
大林宣彦監督が
40年前に書き上げた脚本を映画化。

「この空の花」「野のなななのか」に続く
戦争三部作ともいえる作品で

より狂気というか

戦争前夜の不穏と恐ろしさが
ヒタヒタと忍び寄る。

そのなかで
血気盛んな若者のほとばしる若さ、
妹のような存在への想い。

禁断、そして流れる血、死――

まさに一度観たら忘れない
強烈なる大林ワールドの集大成。


監督の魂のメッセージが
伝わってきました。


169分のボリュームにして
意外にあっという間なのも前二作に通じるし
特に長塚圭史さんがめちゃくちゃ存在感あった……。

それにこの宣伝ビジュアルが
かなり忠実に、その世界観を表していて
いい感じ。

描いた森泉岳土さんは
大林監督のお嬢さんの、ダンナさんなんだそうでびっくり!
そういえば、長塚圭史さんと常磐さんもご夫婦だったっけ!


★12/16(土)から有楽町スバル座ほか全国順次公開。

「花筐/HANAGATAMI」公式サイト
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わたしは、幸福(フェリシテ)

2017-12-14 23:02:04 | わ行

アフリカ、キンシャサの鼓動と混沌とした空気が
身体に満ちていくような。


「わたしは、幸福(フェリシテ)」69点★★★


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幸福、という名を持つフェリシテ(ヴェロ・ツァンダ・ベヤ)は、
バーで歌を歌って生計を立てている。

夜な夜な疲れ切って
一人、家に帰る彼女は
常に、幸福に縁のなさそうな、厳しい表情だ。

そんなある日、彼女の一人息子が交通事故に遭ったと電話が入る。

病院にかけつけた彼女は
手術費を前払いできなければ、手術はできないと医師に告げられる。

高額な費用をなんとかしようと
フェリシテは奔走するのだが――。


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幸福という名にまったくそぐわない、
顔立ちは美しいのに、陰気な表情の主人公フェリシテ。

強く自立心がある女性なんだけど
ゆえに尊大で、
正直、感じが悪い(笑)


そんな彼女の息子が交通事故に遭い、
彼女は手術費用のために奔走する――という展開。


赤い夜の街、闇夜の森、清らかな朝の光――
その場の空気がリアルに映し出され

アフリカの鼓動と混沌が
体の隅々へと満ちていくような感覚になった。


ていうか、予備知識ナシで観たので
最初はずっとドキュメンタリーと思ってた。


主演フェリシテを演じたヴェロ・ツァンダ・ベヤは
キンシャサ生まれで、本作が映画初出演の女優。
彼女の存在感が、この映画の要でしょう。


青い背景のなかの西洋楽団と
赤い光のなかのアフリカンミュージック。

絶望の夜と、お構いなしにやってくる朝

さまざまなものが暗示を含みながら
反復されるのが印象的なんですが

この繰り返しがちょっと単調で
惹きつけられつつも
129分はちょっと長かった、が正直なところ。

あと
昼間やってくる修理人と夜の店で酔っぱらうタブーを、
ラスト5分前まで別人と思ってた。


このどうしようもなさを
笑ってください(笑)

ちなみに資料によると
タブーを演じたパピ・ムパカもコンゴ生まれ。
キンシャサでガソリンスタンドを経営し
近隣の恵まれない若者を雇っているそうです。

いいね!


★12/16(土)からヒューマントラストシネマ渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開。

「わたしは、幸福(フェリシテ)」公式サイト
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