この“女の決断”、
「タラレバ娘」たちに(©東村アキコ)に
見せたい(笑)
「ブルックリン」80点★★★★
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1950年代。
アイルランドに暮らすエイリッシュ(シアーシャ・ローナン)は
狭い世界から飛び出す決意をし、
ニューヨーク・ブルックリンに渡る。
環境にも人にもなじめず
ホームシックにかかっていたエイリッシュだが
ある神父の勧めで、大学で学び始める。
さらにあるパーティーで
イタリア系の青年トニー(エモリー・コーエン)と出会い――?!
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2016年アカデミー賞、作品賞、主演女優賞、脚色賞ノミネート作。
少女の成長物語として、ベーシックなようで
意外に意外な展開が新鮮で
「17歳の肖像」に出合ったときのような
うれしさを感じました。
アイルランドの田舎娘が、ニューヨークにやってくる。
心細げな彼女は、勉強に目覚め、
キャリア方向に向かうんですが、
同時に彼氏が出来て、求愛される。
「さあ女の人生、キャリアを取るか、結婚を取るか?」
・・・と、普通はなりそうなんだけど
これが意外な方向へ。
さらに
ある事情で故郷アイルランドにいったん戻ると
そこでも新たな展開が――?という流れ。
すっかり垢抜けて故郷に帰ったヒロインが
「ここでも、いいかも」と一瞬思う、あの感覚、
故郷を出た人間、誰もが共感できると思います。
で、そのあとの
あのセリフがまた「クーッ!」と、痛烈に響くんだよなあ。
二つの運命の間で揺れ動くヒロインは
普通なら相当“イヤな女”になりそうなんですが
シアーシャ・ローナンが
もっさり、ぽっちゃりした娘によく化けていて、
心情描写も丁寧なので
感情移入がしやすい。
「つぐない」(07年)から9年。
目覚ましい成長と新天地ですね。
なにより
プレス資料にある、この言葉が
端的にこの映画を表現していると感服した。
「誰を愛するかを決めることが、どんな自分になりたいかという答えになる――」
プレス資料って
本当に、ものすごくよく出来ているんですよ。
リスペクト!
★7/1(土)からTOHOシネマズ・シャンテほか全国で公開。
「ブルックリン」公式サイト