ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ローン・レンジャー

2013-07-29 13:44:31 | ら行

予想外に面白かった。
ホントにこりゃディズニーランドです(笑)

「ローン・レンジャー」72点★★★★


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1869年のテキサス。

都会で法律を学んだ
志高き青年ジョン・リード(アーミー・ハマー)は
ひょんなことから
コマンチ族のトント(ジョニー・デップ)に出会う。

トントは脱走した無法者キャベンディッシュ(ウィリアム・フィクトナ-)を追いかけていた。

同じくキャベンディッシュを追っていたジョンは
しかし残虐なキャベンディッシュの罠にはまってしまう。

そこに現れたトントは
不思議な力を発揮しはじめ――?!

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「パイレーツ・オブ・カリビアン」の製作&監督による
これぞ王道エンターテインメント!な作品。

ジョニー・デップが新たなるキャラを生み出し、
舞台背景もしっかりしており、
予想以上にウケてしまいました。

ジョニデ演じるトントは
正義のヒーローというよりは“グレー”な存在で
ちょっとおとぼけで、呼吸のずれた笑いを生み出す“黒キャラ”。

彼を正統派ハンサム系の相方(アーミー・ハーマー)と組ませ
かみ合わないコンビで笑わせる。

まさに「パイレーツ~」再びですねえ。

舞台は大海原から
蒸気機関車が突っ走る西部劇の世界になり
完全にディズニーランドのアトラクション状態。
テンションあがるー(笑)

さらに
「悪霊」「パワー」など魔力の存在を匂わせつつ、
「果たしてそれが本当にあるのか?」の判断をあいまいにしているところが
なかなかうまい。

それがあるだけで、主人公トントに
悲しみの風合いが出てくるんだなあ。

アクション娯楽の背景に
先住民を追い出したアメリカの歴史、
走り出したら止まらない文明の進化と、それによる犠牲をきちんと描いた点も
なかなか教育的でよいと感じました。

盛りだくさんすぎて2時間30分!あり、
お子さんにはちょっと長いかもしれないけど
親子で楽しめると思いますよん。


★8/2(金)から全国で公開。

「ローン・レンジャー」公式サイト
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ノーコメントbyゲンスブール

2013-07-26 23:27:08 | な行

彼の“声”に浸る、という
珍しい経験ができたドキュメンタリーです。

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「ノーコメントbyゲンスブール」69点★★★★


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1950年代にデビューし、
作詞作曲家、シンガーであり、映画監督で画家であり、

ジェーン・バーキンの元ダンナであり、
シャルロット・ゲンズブール(ズ、だったよねえ。彼女は)のお父さんであり・・・と
91年に亡くなってもなおカリスマ・オーラを出し続ける
セルジュ・ゲンスブール氏のドキュメンタリー。

おもしろいのは、
彼が生前、自分について語った
録音テープなどを基に作られているところ。

独白に近い語りと映像で氏の人生を描いているので
なんだか本人が、いまここで語っているような
不思議なドキュメンタリーになってる。

彼の声と言葉に延々包まれ、
浸れる度がかなり高い。

単調な部分もあり、途中カクンとなりましたが
舞台で観衆を前に唄うシーンなど、
あまり見たことなかったし、

ユダヤ人としての戦争体験なども
正直に語っていて

ワルおやじという今まで感じてきた側面よりも
彼の「言葉」「詩人」の側面が
際立つ感じがしました。

あと「ゲンスブールと女たち」(11年)
かなり忠実に作られていたんだ、と改めて驚いた。
観たときはイマイチと思ったけど。(笑)すんません。


ちなみに、この“かっけー”宣伝素材の写真を撮ったのは
フォトグラファーの石田昌隆さん。

おなじみ『週刊朝日』「ツウの一見」でお話を伺ったところ
1988年にトーキョーで撮影したもので
その状況は、驚くべき偶然によるものだった・・・そうです。

8月上旬発売の週刊朝日に掲載されますので
どうぞご一読くだされ!


★7/27(土)からBunkamuraル・シネマで公開。ほか全国順次公開。

「ノーコメントbyゲンスブール」公式サイト
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スヌープ・ドッグ/ロード・トゥ・ライオン

2013-07-25 20:55:58 | さ行

まあよくできてるんですけどね(笑)


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「スヌープ・ドッグ ロード・トゥ・ライオン」70点★★★★


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カリスマラッパーのスヌープ・ドッグが
レゲエに目覚め
レゲエミュージシャンとして“生まれ変わる”過程を追ったドキュメンタリー。

ジャマイカでのハッピ~なレコーディングから、
きっかけをうまくつかんで過去の話へ戻るテクがうまく、
同時封切りの「アート・オブ・ラップ」よりも
見やすいことは見やすい。


ギャングスタとして抗争に巻き込まれたりした
その荒んだ日々と
いまのピースフルな対比が
彼の心境をまんま表現しているんですねえ。

スヌープも本当に協力的というか
自身の苦い思い出なんかも赤裸々に語っているし。

ただ
あまりにスムーズだと今度は
「出来すぎ?」とかいうイジワルな思いが頭をもたげてくるわけです(苦笑)
プロモーションフィルムみたい、つうか。

まあ考えてみればこのドキュメンタリーって
彼の転身の理由を説明し、
その本気度を表す最大の方法なんだもんね。
協力的なのは当たり前だった。

と、ナナメ目線で観ても、
ジャマイカの状況や、レゲエについて
たくさん学べますから、タメになりましたコレも。


★7/27(土)からシネマライズほか全国順次公開。

「スヌープ・ドッグ/ロード・トゥ・ライオン」公式サイト
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アート・オブ・ラップ

2013-07-24 19:05:47 | あ行

いや~勉強になりました。

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「アート・オブ・ラップ」70点★★★★


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ラップとは、ヒップホップとは何か?を学べる
為になるドキュメンタリー。

自身もカリスマラッパーであるICE-Tが監督で、
カニエ・ウエストとか、エミネムとか、アイス・キューブとか
ワシでも知ってるほどの大物&大勢のラッパーに質問し、インタビューする方式で

各人がどうやってラップを作っているのか、
ラップを始めたきっかけは何か・・・などを聞く。

ICE-T自身が言葉を操る達人なので、
質問も要点をついており、
また聞かれる側の達人たちの答えも実に明解なんですねえ。

要点のみをサクサクつなぐ編集も
思い切りがいい。


ただ、いかんせん総人数が多いので
どうしても長く感じますが(笑)

ラッパーには韻を踏む才が必要で
でもそれだけでなく
MCとしてやっていくのには
パーティーを仕切る才能がいることとかを知った。

あといままでぼんやりしてた
ライムとか、フロウ(節回し)がなんなのかかなりわかってきた。

ラップの作り方が、人それぞれなのもおもしろくて
数学的感覚で作る人、
ジムで走り込んで体を追い詰める人、とか。

間に挟まるブロンクスやデトロイト、ロサンゼルスの町の風景も
クールでカッコイイっす。

ラップなんて全然知らない、という人ほど
「へええ」度が高いかと。


★7/27(土)から渋谷シネマライズほか全国順次公開。

「アート・オブ・ラップ」公式サイト
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サウンド・オブ・ノイズ

2013-07-23 21:33:12 | さ行

単純なのにアイデア満載。
おもしろい(笑)


「サウンド・オブ・ノイズ」73点★★★★


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スウェーデンのある町に、
突如現れた謎の6人組ドラマー。

彼らはあらゆるものを楽器に見立て、
とんでもない場所で音楽を作り上げる
“音楽テロリスト”だった――!

彼らを追うのは
音楽一家に生まれながら、音痴で音楽嫌いの警官
アマデウス(ベングト・ニルソン)。

果たして彼は音楽テロを阻止できるのか――?!

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スウェーデンから、おもしろ映画がやってきました。

6人のドラマーが音楽によるテロを仕掛ける話。

本作に先駆けて作られた短編
「アパートの一室、6人のドラマ-」
がYouTubeでヘビー再生されているそうです。
(クリックすると観られます。おもしろいです。笑)


6人中5人がホンモノのドラマーで
しかも使うのは楽器ではなく、そこらにあるモノ。

病院で銀行で、
彼らはシュレッダーにハンコなどあらゆるものを楽器にして
サウンドを奏でる。

無表情で淡々とした演奏が
シュールで笑えるんです(笑)

特に送電線パフォーマンスは
まさにアート!お見事!

よくまあこんなアイデアが沸くものだと驚きます。

彼らはなにゆえ“音楽テロ”を起こすのか?
観ていると街にはゆるーい(ぬるーい。笑
ポップミュージックが流れていたりして

そんな状況に向けて
「音楽ってそれだけじゃないんだよ!」という
意思表示なのかなーと思いました。

さらに
おなじみ『週刊朝日』(7/19号)「ツウの一見」で
北欧音楽事情ツウの佐々智樹さんにお話を伺ったところ
やはりスウェーデンの音楽事情は
ABBAに代表されるメロディアスなポップスや、クラシックが主流で
確かに保守的らしい。

でもそれだけじゃなく、
彼らの伝えるところは
「規律に縛られた現代人へのメッセージ」だとおっしゃってました。

なるほど。

いつもながら理解がより深まった次第です。


★7/27(土)から新宿シネマカリテほかで公開。

「サウンド・オブ・ノイズ」公式サイト
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