ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち

2012-06-30 11:34:15 | か行

この魅惑のお尻を見よ!


「クレイジーホース・パリ」73点★★★★

パリで60年の歴史を持つヌードショー劇場の裏側と演目を
フレデリック・ワイズマン監督が撮った
めくるめくドキュメンタリー。

ワシの大好きな
「さすらいの女神たち」
豊満美女たちによるショーでしたが、

こちらは
スレンダー美女たちが主役。


「人体」の美しさをとにかく追求したショー
アート性が高く、かつ官能的。
「さすらいの~」の肉体美とはまた違う魅力があります。

ダンサーたちはバレリーナ出身が多いようで
細くとも筋肉もあり、
かつ丸みのある女性らしい曲線が魅力的。

みんな大きすぎない美乳なのもいい(マジで。笑)


そうしたダンサーたちの鍛練と
光、影、鏡、さまざまな小道具、大道具を工夫した
ハイレベルな映像が見どころです。

冒頭とラストの影絵も
めくるめく世界へのうまい招待状になってる。


特におもしろかったのは
オーディションのシーン。

選ぶ側の好みが丸出しで(特に女性の審査委員が)

人の審美眼というか、女や身体の好みって
すごーくハッキリしてるんだな、というのがおかしかったですね。

ただしあまりにも粘着質なワイズマン先生(笑)

途中でさすがにお尻にもお腹いっぱいになり、
若干うつらうつらしましたが
それでも見応え十分!です。


★6/30(土)からBunkamura ル・シネマほか全国順次公開。

「クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち」
コメント

少年は残酷な弓を射る

2012-06-28 23:50:37 | さ行

ティルダ・スウィントンが
戦慄ですねえ。

「少年は残酷な弓を射る」67点★★★☆

************************

エヴァ(ティルダ・スウィントン)は、
世界中を旅行する作家。

だが
恋人フランクリン(ジョン・C・ライリー)に出会い、
彼の子を妊娠したことで、彼女の生活は一変する。

息子ケヴィンを出産して
家庭に入ったものの、

夜通し泣き続け、ちっとも言うことを聞かない赤ん坊に
頭を抱える日々。

母とのぬぐえない違和感のなかで美しく成長した
ケヴィン(エズラ・ミラー)は

しかし
ある悲劇を引き起こしてしまう――。

************************

子どもを愛せなかった母親と、
その子どもに起きた悲劇を描く物語。


「ある悲劇」が起こったあとから、
時間を遡り、現在と過去を行き来していく構成で、

悪い予兆をシグナル的に見せてく映像センスといい、
万事整っていて、高レベルではあります。

ただ、
何が起こったかがあらかた見えたあたりで
ダルくなるんだよなー(笑)。

おおよそ読めるのが始まって3分の1あたりなので、
そこから全体を持たせるのはちょっと辛いのだ。


それに
ワシは自分を含め
母親にむいてない人、あるいは
むいてない時期は絶対にあるという考え方なので

(例えば動物界でも、子育てを放棄した母親が、
必ずしも全ての子を放棄するわけではなく、
別のタイミングでは子を育てることもある、というようなものじゃないかなあと


なので、ここで起きる悲劇自体には
正直あまり心が動かなかった。

まあ確実に児童虐待の一種であり、
理解のない夫が一番の問題であるとは思いますけどね。


逆にティルダ・スウィントンの
望まぬ妊娠と、その結果である息子を見つめる空白な目の感じ、
すごーくうまい・・・なんて失礼か、

本当にさすがだ!と、感嘆いたしました。



さらにこの映画は
少年役のエズラ・ミラーが
好みかどうかでも大きく評価が分かれるかもしれない。

ワシ的には、松潤っぽくて
正直好みではないんですよねえ~~すいません。

幼少時代のほうがかわいかったな。


★6/30(土)からTOHOシネマズシャンテほか全国順次公開。

「少年は残酷な弓を射る」公式サイト
コメント

ラム・ダイアリー

2012-06-27 23:11:37 | ら行

プエルトリコの青い空の下、
ラムか、モヒート飲みてえ(笑)

「ラム・ダイアリー」70点★★★★

***************************

1960年、南米・プエルトリコ。

地元紙の記者に応募して採用された
ポール(ジョニー・デップ)は、

小説を書きたいが自分の文体が見つからず、
酒が手放せないハンパな日々を送っていた。

あるとき彼は
現地で濡れ手に泡のリゾート開発を計画をする
アメリカ人企業家(アーロン・エッカート)に出会う。

ポールは彼に協力的な記事を書けと言われるのだが……。

***************************

ドキュメンタリー映画「GONZO」にも描かれた
破天荒ジャーナリスト、ハンター・S・トンプソン原作の映画化。

酒にに女に、
ハチャメチャ男のハチャメチャ話かと思ったら、
意外にまっとうなジャーナリズム話で面白いんです。

広告主ありきで真実など伝えない新聞の体たらくにも、
うむうむとうなずくものがあるし

欲の皮をつっぱらかせた白人どもに
「くそ食らえ」と悪態をつく主人公は魅力的で
なるほど
原作者のトンプソン自身に重なるのだろうな。

アーロン・エッカートにリチャード・ジェンキンスと、
役者も揃ってますしねえ。

また
本人を投影したようなこの役柄を
トンプソン氏を敬愛しているというジョニ-・デップが
うまく消化してるんですよ。

こういう思い入れのあるアプローチって
入れ込みすぎて空回り、というパターンも多いんだけど
さすがジョニデ、そんな轍は踏みません。

キッパリとした「善」ではなく汚濁も合わせ持ち、
しかしその根っこに正義とピュアな魂を持った主人公を、
微妙なニュアンスで演じ、

惚れた女には一途なロマンチストぶりも、
ジョニデファンにはたまらないのでは。

別にファンじゃないワシですが、
ブラを片手で外すシーン、
ちょっとクラッときましたね(笑)


★6/30(土)から新宿ピカデリーほか全国で公開。

「ラム・ダイアリー」公式サイト
コメント (2)

ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して

2012-06-26 23:37:45 | は行

意外な拾いものとは
こういうことかも。

「ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して」73点★★★★

*************************

世界に多くいる“野鳥ファン”。

彼らが憧れる最大の名誉は、

1年間、全北米大陸で
「どれだけ多くの種類の鳥を観たか」の数を競うコンテスト
「ザ・ビッグイヤー」で優勝することだ。

鳥が大好きで
親と同居中のアラフォー男・ブラッド(ジャック・ブラック)は、
さえない人生を変えるため、
コンテストに参加することにする。

だが、そこには
最高記録保持者のケニー(オーウェン・ウィルソン)、
そして裕福な実業家ステュ(スティーヴ・マーティン)ら
強力なライバルが立ちはだかり――?!

*************************

「プラダを着た悪魔」の監督らしく、
カチッとした絵と話作りが安心で、

コメディなんだけど、騒がしいだけに終わらず、
笑える優良作品でした。


でもね、これもね、タイトル「バードウォッチャー」で
よかったんじゃないのかな。

いい映画なのに伝わりにくいんだよねえ(笑)
「幸せへのキセキ」と同じパターンだなあ。


1年間に見た鳥の数を競う
コンテストに参加する男たちの話で
(ウソみたいだけど、実際にあるコンテストなんだそうですよ

好きなものに夢中になる熱意や
「1位を取りたい!」思いを描くんですが、

決して“競争”だけにあらず、

同じ趣味を持つ同士の友情や
よき理解者であり、最高の支えとなる両親や妻など家族を、
きちんと描いている点がいい。


なによりですね、
ジャック・ブラックがすごく、すごーくいいんですよ!

等身大の演技というか、
家族との食卓なんてフツーの場面で
じん、とさせられました。

さらに
ウディ・アレン御大の「ミッドナイト・イン・パリ」の
オーウェン・ウィルソンも
鼻持ちならない加減もよかったですねえ。

マンガ『とりぱん』ファンなら
とにかく観ないとダメですよ。


★6/30(土)からシネマート新宿で公開。ほか全国順次公開。

「ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して」公式サイト
コメント

きっと ここが帰る場所

2012-06-25 13:31:26 | か行

みてくださいよ、
この気持ちよさそうな画!(笑)

映画「きっと ここが帰る場所」73点★★★★


**************************

アイルランド・ダブリンに住む
シャイアン(ショーン・ペン)は
元ロック界のスーパースター。

いまも昔を偲ばせる
白塗りメイクとパンクヘアだが

いまは音楽から離れ、
妻(フランシス・マクドーマンド)と静かに暮らし、
近所のショッピングモールをブラブラする日々。

そんな彼のもとに
アメリカにいる父が危篤だという知らせが届く。

それはシャイアンの
意外な旅路の始まりだった――。

**************************


なんとも風変わりで、
うまい言葉が見つからない映画なんですよ。

でもハマるんですよ。


ファーストシーンからほの可笑しく、ただ者ではない、
一筋縄ではいかない感じで。

そして
オジー・オズボーンか?というスモーキーメイクのショーン・ペンに
椅子からずっこけそうになる(笑)
(実際のモデルはザ・キュアーのロバート・スミスだそうで。
そういわれればそっちだ!笑)


と、まあ
開始1分で魅了されるんですが

そんなショーン・ペンの日常をほほえみながら観ているうちに、
父親の死から
意外なロードムービーになっていくんです。


この展開はおもしろいんですが、
言うと中身のほうは、正直そんなに「お!」ではない。

デイヴィッド・バーンが出てきたのは
「おっ!」でしたけど。

しかし、それなのに
タイトルにもなっている
トーキング・ヘッズの懐かしい曲と映画の風景、
あの不思議な空気感が、どうにも忘れられなくなる。


それに、ワシはこの映画で
ショーン・ペンに
あるメイクのコツを教わったんで(マジす。笑)
毎日、鏡に向かうたびにこの映画を思い出しちゃうんだよなー。


だから見終わった直後より
どんどん好き度が増していくんですハイ。


全体を覆うシニカルさ、
どこを切り取っても絵柄が「異邦人」っぽいなあと思ったら、
イタリア人監督だそうで納得でした。

というわけで
妙にハマる謎な映画なんで、
ちょっと試していただきたいです。

このプレスの表紙もすげー好き。


★6/30(土)からヒューマントラストシネマ有楽町、シネマライズほかで公開。

「きっと ここが帰る場所」公式サイト
コメント (2)