ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

マダムのおかしな晩餐会

2018-11-29 23:49:14 | ま行

 

トニ・コレット、キレイだなあ!

 

「マダムのおかしな晩餐会」71点★★★★

 

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夫(ハーヴェイ・カイテル)とともにパリに越してきた

アメリカのマダム、アン(トニ・コレット)。

 

ヨーロッパのセレブな友人たちを招いて

晩餐会を開こうとしていたが

急きょ、人数に変更があり

縁起の悪い13人になってしまった。

 

それじゃまずい!とアンは

スペイン人メイドのマリア(ロッシ・デ・パルマ)を

セレブな友人に仕立て、出席させることに。

 

はたして、晩餐会の行方は――?!

 

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まさに今週公開の「ヘレディタリー/継承」ほか

 

「イン・ハー・シューズ」(05年)や

「リトル・ミス・サンシャイン」(06年)、最近だと「500ページの夢の束」(18年)とか

割とざっくりした姐さん(おばさん)キャラが多い印象の

トニ・コレット。

 

しかし

本作では、ティルダ・スゥイントンばりのマダムキャラに扮していて

美しいなあ!細いなあ! キレイだなあ!とびっくり。

この“エイジレスさ”も、役のキモなんですけどね。

 

ゴージャスな晩餐会の出席者が足りず、

急きょメイド(ロッシ・デ・パルマ)が客人に化けて参加することになる―― という

最初は三谷幸喜氏の喜劇のような、笑いの予感にワクワク。

 

しかしこれは前フリに過ぎず、

メイドのマリアに、セレブな男性が恋をしてしまい――?!

ここから「ラブ・アクチュアリー」ばりのロマコメになっていくという

意外な展開で

二本分の映画を楽しんだような感じでした。

 

身分の違いや格差を背景した話はコメディには定番だけど

最近は扱いが慎重そうなネタではある。

でも、そのへんを気にしないのはフランス人監督らしさか

久々にシンプルな笑いを楽しみました。

 

ハリウッド映画や俳優いじりにもフレンチ風味あり。

ウディ・アレン風味もあり、かな。

 

メイド役で重要キャラとなるロッシ・デ・パルマも

最高にインパクトある美女。

アルモドバル監督作品の常連で、ゴルチエのミューズでもあるんですねえ。

 

さらにトニ・コレットがプレゼントされて身につける

クローバーモチーフのネックレスにも

目がいってしまいました。

これは、宝石に疎いワシでもわかった

ヴァン クリーフ&アーペルのアルハンブラ、だよね!

 

★11/30(金)からTOHO シネマズ シャンテほか全国で公開。

「マダムのおかしな晩餐会」公式サイト

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ヘレディタリー/継承

2018-11-27 23:13:52 | は行

 

現代ホラー、これが最前線。

 

「ヘレディタリー/継承」71点★★★★

 

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緑の中に建つ、重厚かつモダンな一軒屋。

その家で、グラハム家の祖母・エレンが亡くなった。

 

娘であるアニー・グラハム(トニ・コレット)は

夫(ガブリエル・バーン)、高校生の息子(アレックス・ウォルフ)、

そして

人付き合いが苦手な娘(ミリー・シャピロ)と粛々と葬儀を行う。

 

が、その日から奇妙な出来事が一家に頻発する。

部屋に出没する不思議な光、話し声――。

 

そんななか、一家に最悪の事件が起こる――!

 

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全米で大絶賛!

洗練かつ古典も感じる新世代ホラーです。

 

冒頭、ドールハウスを使った映像表現に引きずり込まれ、

これが、この映画の最大のキモだとワシは思う。

 

このミニチュア模型の世界と、現実の空間が交じる

“場”つくりと、その映像表現が実に魅力的なんですねえ。

基本「家」で起こる異変が恐怖のベースなので

この場つくりが非常に大きいのだ。

 

で、お話はというと

一家の祖母が亡くなり、その娘(トニ・コレット)と家族に

異変が起きていく――というもの。

 

洗練のなかに

「後ろに何かが・・・・・・!」古典的なギャッ!と驚かしの手法を盛り込んでいる。

ただ、それもすごく直截というよりは、やんわりソフトで、

そのへんにもセンスを感じます。

 

そして

この人がいれば、な映画クオリティ担保の一人、トニ・コレットが

めちゃくちゃいいダシ、出してます。

 

奇しくも同週公開の「マダムのおかしな晩餐会」

超・ビューティーなマダムを演じてますので

ぜひ、見比べていただきたい!

 

ただ、ですね。

ホラーって、好きなんですが

最後、納得できることが少ないのがワシ。

これも「結局、こういうことだったのか?」と「?」が残りまくりですが

タイトルが非常に大きなヒント、ということでしょうね。

 

★11/30(土)からTOHOシネマズ 日比谷ほか全国で公開。

「ヘレディタリー/継承」公式サイト

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斬、

2018-11-23 12:20:45 | さ行

 

「鉄男」(89年)「野火」(14年)の塚本晋也監督が

初の時代劇に挑戦す。

 

「斬、」74点★★★★

 

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江戸時代末期。

250年のあいだ、戦のなかった世。

農村に身を寄せる若き浪人・杢之進(池松壮亮)は

農家の手伝いをし、住まいと食を得ていた。

 

武士に憧れる農家の息子・市助(前田隆成)に稽古をつける姿は

一流の剣士だったが

市助の姉・ゆう(蒼井優)は複雑な思いで二人を見ている。

 

そんなある日、村に

腕の立つ浪人・澤村(塚本晋也)が現れる。

 

杢之進の腕に尋常でないものを感じとった澤村は

彼を京都の動乱に参戦しないかと誘う。

 

ようやく、武士たる仕事ができる・・・・・・と

自らを奮い立たせる杢之進だったが――?!

 

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塚本晋也監督、初の時代劇。

 

「野火」のあとだけにかなり身構えましたが

思ったほどにザックザックの血しぶきではなかった。

 

刀を扱う所作も、ただ者ではない感を漂わせる

杢之進(池松壮亮)氏ですが

そこに大きな「仕掛け」があり、それが映画のミソであり、問いかけなのだ。

 

 

血は最小限でホッとしましたが、伝わるものはしっかり重い。

 

特に塚本監督らしいのは「音」。

刀の重さ、つかの重さがガッシャガシャと感じられ、

そこに、命の重さ、というものも感じる。

 

我々はこれまで

時代劇でいとも簡単に刀を扱う人々を見てきたけれど、

しかし、刀を扱い、人を斬ることは、

人の命を奪うことは、そんなに簡単なのか?

杢之進も、ゆうも

知らぬまま、引き返せない「時代の空気」に巻き込まれようとしているのではないか?――

 

その問いは、まさに

不穏がどんどん増幅していく

いまの時代にガンガンと響きます。

 

監督と蒼井優さんに「AERA」(こちらから読めます)でインタビューさせていただきましたが

監督は「野火」を作ったあとも、時代がどんどん「不穏」に加速する状況を前に

この映画を作らざるを得ない、と思ったそうです。

 

そして蒼井優さんはなんと15歳のときから

塚本作品を「こっそり」見ていたという筋金入り。

池松氏と蒼井氏、素晴らしいキャストを得て

監督の伝えたかったものは、見事かたちとなり、観客に伝わるはず。

 

幕末の浪人に現代に通じる感覚を持ち込んだ池松壮亮氏もさすがですが

山に響く

蒼井優氏の叫びに、のまれそうです、はい。

 

★11/24(土)から渋谷・ユーロスペースほか全国で公開。

「斬、」公式サイト

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エリック・クラプトン~12小節の人生~

2018-11-22 23:53:34 | あ行

 

ものすごいボリューム!の人生記だ。

 

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「エリック・クラプトン~12小節の人生~」72点★★★★

 

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ギターの神様のドキュメンタリー。

 

135分と、ドキュメンタリーにしては長尺ですが

見応えありました。

 

なんとまあ、大変な波乱万丈人生だったのだな!と。

 

 

子ども時代に、母親にまつわる秘密を知り絶望し、

しかしアートの才能とブルース音楽に救われ、10代でギターの才能を開花させた。

 

そして

ハーモニカやインド楽器の分厚さに惹かれ、

濃厚なメロディアスをギターで再現せんとし、

あの、「泣きのギター」を生み出したんだ!と。

 

しかし、まだここで、人生の10分の1もいっとらん(笑)。

 

そして

成功を掴むんですが、しかし

 

ジョージ・ハリスンの妻である女性への道ならぬ恋。

ヘロイン→アルコール依存性の地獄

そこから

長男誕生で立ち直るが、

 

さらに、あり得ない不幸に襲われる――という。

 

そして、

そこから立ち直らせたのは、やはり音楽だった、という

並みのドラマよりドラマチック過ぎる人生ですよ。

 

正直、135分、長いなあと思わなくもなかったんですが

1950年代〜現代までのカルチャー史としても貴重だし

見入っちゃいました。

 

編集を「AMY エイミー」(16年)の人が手がけてるし。

この人うまいんだなあ。

 

それになんといっても

10代のころから、弦を押さえる指の細く、長く、美しいこと!

これが「天賦」ってものなんだなあと。

 

★11/23(金・祝)からTOHOシネマズ シャンテほか全国出公開。

「エリック・クラプトン~12小節の人生~」公式サイト

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ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生

2018-11-20 23:29:30 | は行

 

 

前作よりグッと良い(笑)

 

「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」70点★★★★

 

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1920年代のアメリカ、魔法省。

前作の最後でとらえられた、強大な敵グリンデルバルド(ジョニー・デップ)が

イギリスに移送されることになる。

 

が、移送途中にグリンデルバルドはまんまと脱走。

パリに潜伏した。

 

シャイだが魔法動物のことならお任せあれ、の学者ニュート(エディ・レッドメイン)は

ホグワーツ時代の恩師であるダンブルドア(ジュード・ロウ)から

久々に呼び出される。

 

「グリンデルバルドと対決できるのは、君しかいない」

 

いやいや、僕なんて、いやいや・・・・・・と

依頼を断ろうとするニュートだったが――?!

 

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J.K.ローリング原作、

シャイでおっちょこちょいな魔法動物学者ニュート(エディ・レッドメイン)が主人公の

魔法ワールド2作目。

 

前作はけっこう「え?」だったけど

本作は、前よりいい感じ。

まあ、自分が

ようやくこの世界に、ハマる体勢になったのかなと思う。

そういや、ハリポタも一作目、ハマれなかったんだった(苦笑)。

 

 

話がよく見えないのは相変わらなんですが(笑)

前作より物語が意図を持って進んでるのを感じるので

よいのではないかなーと思います。

 

あまり笑いがないぶん、シビアではあるんですけどね。

 

 

前作では、自らトラブルを引き起こすダメ君キャラが目立った

ニュート(エディ・レッドメイン)。

今回も、オドオド君ぶりは輪をかけてな気もするんですが

ああしたドジを踏むこともなく(笑)、

けっこう魔法もバシバシ使ってくれるし、

このシリーズの見どころでもある、魔法動物たちも活躍。

 

「ホグワーツ」の風景が出てくるだけで

なんだか懐かしいし、

なにより、魔法世界を描くエフェクトを観るだけでも

「この世界」に身を置いてる感、戻ってきた~感があるなあと思えます。

 

 

しかし女子キャラが、可愛くないのは

相変わらず致命的でもある気がするんです(すいません。苦笑

 

ファンタビは全5作あることが、最初から決まっているんですって?

さあ、どこまでついていけるか?!

 

★11/23 (金・祝)から全国で公開。

「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」公式サイト

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