試写後「よかったわあ」とみなさん大絶賛のよう。
またひとりだけ置いてきぼりで、ぽつねん。
「裏切りのサーカス」63点★★★
「ナイロビの蜂」の原作者でもある
元諜報部員ジョン・ル・カレの1970年代のスパイ小説を基にした映画です。
1970年代前半、東西冷戦時代。
英国諜報部<サーカス>のリーダー、コントロール(ジョン・ハート)は
5人のサーカス幹部のなかに
ソ連の二重スパイ<もぐら>がいるとの情報を掴む。
だが独断での調査は失敗に終わり
コントロールは長年の右腕スマイリー(ゲイリー・オールドマン)とともに
<サーカス>を辞職する。
だが、スマイリーは<サーカス>に呼び戻される。
「<もぐら>は4人の幹部のなかにいる。突き止めろ」――
そしてスマイリーの執念の捜査が始まった――。
「ややこしい話なので、事前にあらすじを読んでおいてください」という
注意書を守らなかったけど、
そんなについていけない話ではなかった。
逆にめくるめくスピード展開を想像していたので、
かなり面食らいました。
だって、
終始一貫してもの凄くムーディーでスローリーで、
とにかく“美学”の映画なんですもん。
全編を覆い尽くすグレーなトーンとカメラワークが優美だし、
派手な銃撃も血なまぐささもない。
役者揃いで、かつ全員が怪しいという
めちゃくちゃ魅せる仕立て。
……のはずなのに、
とにかく静かすぎて眠い!(笑)
抑制の効き“すぎた”演出もその理由ですが、
話がわからないんじゃなく、
「何のために、何を追っているのか」
登場人物たちの目的やモチベーションがわかりにくいのに困った。
さらに二重スパイとか“逆転の逆転”的な
どんでん返しが繰り返されると、
「何が真実でも、もうどうでもいいや」という
切り捨ての感情が生まれてしまうのだ。残念。
確かに役者はピカイチだし
「映画通ほど惹かれる」とバラエティ誌が評しているとおり、
玄人好みなんでしょうかね。
でも真におもしろい映画は
誰をも魅了すると思うんだけどな。
「ナイロビの蜂」はかなり心のベスト10入るしなー。
★4/21(土)からTOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館ほか全国順次公開。
「裏切りのサーカス」公式サイト