このビジュアルだけでも、かなりおいしい。でしょ?
「やさしい女」69点★★★☆
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1960年代のパリ。
質屋を営む男のもとに
若い女(ドミニク・サンダ)がやってくる。
安物のカメラなどを質に出す彼女に一目惚れした男は
彼女を説き伏せ、結婚する。
質素ながらも
順調そう見えた結婚生活だったが――?!
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ドストエフスキー原作×ロベール・ブレッソン監督。
1969年制作のデジタル・リマスター版で
1986年以来となる劇場公開だそう。
初めて見ましたが
「あっ」と思わせるオープニングの掴みといい、
話の行方を捜すあいだ、
登場人物の顔から下を映す切り取り方といい
このポスタービジュアルでもある
ヒロイン、ドミニク・サンダが
最初に質屋に現れたときの、この鮮烈に印象的なシーンといい
とにかく静かに
映像が物語る、その様がカッコいい。
でも、話には翻弄されます(笑)
貧しいヒロインは結婚し、安定を手に入れたはずなのに
欠片もしあわせそうじゃない。
いつも心ここにあらずで
人並みの幸福を凡庸として嫌っているのか、
誰かに想われることすら束縛になるのか。
捉えどころのない美しい妻の
望みはなんなのか?
夫同様、オロオロしてしまう。
でも、終始そんな状態である
ドミニク・サンダの憂いの表情が
ほんっとに美しい。
見どころはずばり、そこです。ハイ。
★4/4(土)から新宿武蔵野館ほか全国順次公開。
「やさしい女」公式サイト