ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

2015年ベスト&ワースト映画、発表!

2015-12-31 10:36:38 | ぽつったー(ぽつおのつぶやき)

2015年ベスト&ワースト映画発表!

まずは洋画ベスト10。
ドキュメンタリーには(ド)マークついてます。

(1位)セッション
(2位)ヴィヴィアン・マイヤーを探して(ド)
(3位)Mommy/マミー
(4位)イミテーションゲーム/エニグマと天才数学者の秘密
(5位)フレンチアルプスで起きたこと
(6位)パレードへようこそ
(7位)ナイトクローラー
(8位)わたしの名前は・・・・・・
(9位)アクトレス ~女たちの舞台~
(10位)ディオールと私(ド)

(次点)カフェ・ド・フロール
    アメリカン・ドリーマー/理想の代償
    Dear.ダニー 君へのうた
    君が生きた証
    ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール
    バベルの学校(ド)
    ディーン、君がいた瞬間
    ローマに消えた男
    シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア
    美術館を手玉に取った男(ド)

続いて邦画はベスト5です。

(1位)グッド・ストライプス
(2位)きみはいい子
(3位)さようなら
(4位)幕が上がる
(5位)海街diary
(次点)駆込み女と駆出し男


さらに洋&邦画のワースト10。
期待値が高かったものほど、上位にきちゃうんです。あしからず。

(1位)トゥモローランド
(2位)ギャラクシー街道
(3位)SAINT LAURENT/サンローラン
(4位)イン・トゥー・ザ・ウッズ
(5位)チャイルド44 森に消えた子供たち
(6位)ハイネケン 誘拐の代償
(7位)コングレス未来学会議
(8位)グラスホッパー
(9位)アントマン
(10位)ヴィジット

(まとめ)
ベスト1作品をはじめ、今年は「やられた!」感ある作品が多く
充実の1年でした。
そして年々、映画により新しい刺激を求めている自分に気づくのであります。

邦画があまり見られなかったのがすみません。
来年もがんばって
いい映画を紹介していけるよう精進いたします。

今年もご覧いただき、ありがとうございました。
2016年もどうぞよろしくお願いいたします。
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スター・ウォーズ/フォースの覚醒

2015-12-30 18:52:01 | さ行

遅ればせながら・・・

「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」70点★★★★


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「エピソード6/ジェダイの帰還」からおよそ30年後の世界。


砂漠の惑星に一人で暮らす
女性レイ(デイジー・リドリー)は
ある日、丸いドロイドのBB-8と出会う。

主人を探し、さまよっていたBB-8を
レイは保護してやる。

だがBB-8は
主人であるレジスタンスのポー(オスカー・アイザック)から
ある重要な秘密を託されていた。

そしてレイとBB-8に追っ手が迫り――?!


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J.J.エイブラムス監督作
「スター・ウォーズ」エピソード7にあたる作品。

ワシの周囲では40代、30代、20代問わず
「シリーズを1作も観たことがない」が99%だったという
時代の流れを怖ろしく感じましたが

本作は
「シリーズ未見の人でも大丈夫!」という評判で
まあ劇場も大混雑。
久々に「年末!お正月!映画!」という感じでワクワクしました。

で。
確かに
期待していたものは、しっかり期待どおりでした。

新ヒロイン・レイ(デイジー・リドリー)は
キュートで生き生きとほとばしるエネルギーがあり

オレンジと白のボール型ドロイドBB-8は
期待以上にかわいくて
その仕草やリアクションで
ちょこちょこ笑わせてくれる。

レイア姫(キャリー・フィッシャー)は
きっちり痩せて、キレイだし
ハン・ソロ(ハリソン・フォード)も大活躍するし。

さらに
レイと、行動を共にすることになるフィン(ジョン・ポイエガ)のやりとりなどに
プッと吹き出すリズムと呼吸があったり

ハン・ソロとチューバッカのコンビが
たくさん活躍したりと
初期のころの軽妙さがあるのがいいなあと感じました。

最近のアナキンシリーズは深刻だったもんね・・・・・・


ただその分、悪キャラが弱い気がするんですが
もうあまり深刻なのは観たくないので、
この感じでぜひ続いてほしいですハイ。

しかしシリーズものの宿命で
謎はたっぷり残ってる。
ハリー・ポッターみたいなあの悪の親玉はどなたなのだろう・・・・・・。

それに
シリーズをまったく知らなければ
確かにOKだろうし
よーく観ている人もOKなんだろうけど

逆にワシのようにヘタに観ていて、しかもうろ覚えだと(ダメじゃん!
途中に出てくる名前とかにひっかかって
ものすごくストレスが溜まる(笑)

なので、似たような方は
1978年からの分、特に
「エピソード6」(1983年)は復習必須かと思います。


★12/18(金)から全国で公開中。

「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」公式サイト
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消えた声が、その名を呼ぶ

2015-12-24 23:23:22 | か行

ファティ・アキン監督、超・重量作。


「消えた声が、その名を呼ぶ」71点★★★★


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1915年、オスマン・トルコ。

アルメニア人の鍛冶職人ナザレット(タハール・ラヒム)は
美しい双子の娘と妻と幸せに暮らしていた。

だが、街では
政府によってアルメニア人が姿を消している、という噂があった。

そしてある夜
ナザレットは突然現れた憲兵によって連行される。

家族と生き別れ、
奴隷のように働かされる彼に
待っていた運命とは――?!

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昨今の不穏なご時世ゆえ
いまの話なのかと思って観たんですが
1915年の話で、ちょっと驚いた。


100年前にオスマン・トルコで起こった
アルメニア人虐殺事件を語る映画で

ヒトラーが虐殺の手本にしたと言われているほどの
大きな出来事だけど
トルコではタブーとされ
あまり知られていない話だという。

それを
トルコに出自を持つ監督が描くことは
かなりニュースな出来事のようです。


アルメニア人の主人公ナザレットが
(演じるのは「預言者」のタハール・ラヒム)
ある夜、突然に妻と娘と引き離され、連行される。

死しかありえない状況を
辛くも生き延びた彼は

砂漠をさまよい、さらに海を渡り、
生き別れた娘たちを見つけようと旅をする。


「そして、私たちは愛に帰る」(07年)
「ソウル・キッチン」(11年)など
過去作の根底にはあっても、
もっと軽やかさや現代的要素で覆われていたものに
ドシン!と体当たりしたような重厚さで

138分の
それはそれは壮大な旅なのです。


ナザレットの行く手に次々に現れる人々、
次に出会う人は、敵か、味方か
ハラハラさせる。

そんな彼のサバイバルは
アルメニア人の悲劇の歴史をなぞる旅でもあって

ワシにとっては
知らなかった歴史を知る、映画ならではの旅でもあった。

そんな状況において
彼に助けを差し伸べてくれる人の
ありがたさが、心に染みました。

あと
音楽が重量な要素になるところは
ファティ・アキン監督らしくて
なんかホッとしたなー。


★12/26(土)から角川シネマ有楽町、YEBIS GARDEN CINEMA ほか全国順次公開。

「消えた声が、その名を呼ぶ」公式サイト
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禁じられた歌声

2015-12-23 23:56:04 | か行

この映画を観たあとに
11月にマリのホテルで襲撃事件が起きた。

行ったことのある国のことのように、ショックだった。


「禁じられた歌声」69点★★★★


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アフリカ、マリ共和国。

少女トヤは
父(イブラヒム・アメド・アカ・ピノ)と
母(トゥルゥ・キキ)、
12歳の牛飼いの少年イサンと
つつましくも平和に暮らしていた。

だが、いつからか街はイスラム過激派に占拠され
歌も笑い声も、サッカーも禁止される。

そんななか
イサンの大切な牛をめぐって、地元の漁師と争ったトヤの父は
過激派の兵士たちに連行されてしまい――。


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1960年まで仏領スーダンだった
西アフリカのマリ共和国。

世界遺産にもなっている
美しい街・ティンブクトゥで起きている現実を
隣国モーリタニア出身のアブデラマシン・シサコ監督が
フィクションのかたちで描いた作品です。

マリという国の場所も、その状況すら知らなかったので
観ながら
「こんなところにもイスラム過激派が・・・」と驚きましたが

映画のなかで
イスラム過激派の兵士たちが「シリアから来た」とか話していて
さらに
2015年11月にマリのホテルでの襲撃事件があり

ああ、すべてがつながっているんだな、と
この状況を突きつけられたようでショックだった。
同時に
現状を知る大きな手助けになった映画でした。

映画としては
厳しい状況を描いているけれど
ストレートな処刑シーンとかはないんです。

場面もすごく美しい。
トヤの父と漁師のいざこざが悲劇に転じる川べりのシーンなんて
めちゃくちゃ印象的でした。

そして
不条理に巻き込まれるトヤの父が
なお神を信じ、運命を受け入れている様子も印象的で
なぜ、そういう思考になるのかを
考えさせられました。


ただ映画のなかで
無垢な動物たちが人間たちの代わりになっているようで
ワシ的にはそれが辛かった。

そして
この映画では
イスラム過激派がどうやって
街を占拠していったのかは描かれていない。

そのへんは
「わたしはマララ」を参照するといいと思います。

すべては、つながっているようです。


★12/26(土)からユーロスペースほか全国順次公開。

「禁じられた歌声」公式サイト
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完全なるチェックメイト

2015-12-22 23:41:49 | か行

クリスマスに
テレビでボビー・フィッシャーのドキュメンタリーやるそうですね。


「完全なるチェックメイト」70点★★★★


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1951年、NYブルックリン。
チェスが大好きな少年ボビー・フィッシャーは
チェスクラブに通い始め、

14歳でアメリカ選手権で優勝、15歳でグランドマスターになり
世界から注目され始めた。

そして1971年。
28歳になったフィッシャー(トビー・マグワイア)は
世界チャンピオンのボリス・スパスキー(リーヴ・シュレイバー)への
挑戦権を得る。

翌年の1972年。
レイキャビックでスパスキーVSフィッシャーの
世紀の対戦が行われることになるが――?!


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「ラストサムライ」(03年)「ブラック・ダイアモンド」(06年)などの
エドワード・ズウィック監督が
実在の天才チェスプレイヤーを描いた作品。


「バクマン。」の漫画制作シーンじゃないけれど、
チェスの試合も
まあ絵にするのが難しい題材でしょう。

ましてチェスのルールも知らない人間に
どうおもしろく見せるのか?

そういう意味ではこの映画、
奇をてらったようなことはしていません。

特にルールがわからなくても
サクサクと進むし、わかりにくくない。

で、ゲームの話というよりも
冷戦時代にソ連VSアメリカとなった世紀の試合の背景や
その並外れた記憶力や集中力の代償としか思えない
ボビー・フィッシャーの心のなかの苦しみが
非常に詳しく描かれるんです。

試合中、観客の咳払いが
爆音のように聞こえて集中できなかったり
「監視されている」「盗聴されている」と
パラノイア的になったり。

映画中にも
心のバランスを崩して他界した
実在プレイヤーの話が出てくるし
やはり
“神からのギフト”をもらった人の苦しみなのでしょう。

でもね
それで壊れてしまった、で話が終われば
まあ、ありがちなんですが
しかし、この映画はそれで終わらない。

試合の相手である
スパスキーのほうも、なにやら精神の均衡を失っていき
「え?まさか、フィッシャーの行動って、あれ全部計算?
とすら思わせるところが、巧みなんですよう。

そして
おなじみ「週刊朝日」「ツウの一見」で
プロチェスプレイヤーの小島慎也さんにお話を伺ったのですが
チェスプレイヤーには実際、変わった人が多いらしいです(笑)
まあ将棋の棋士もだそうですがw

でもその頭の中は
決して何千手、何万手先までを読んでるわけでなく
我々が仕事の段取りを逆算していくような
日常で行う、思考のプロセスに通じているとのこと。

へええ!がいっぱいでおもしろかったです。

掲載はちょっと先、1/11(火)発売号かな。
映画と合わせて、ぜひ読んでみてくださいませ。


★12/25(金)からTOHOシネマズシャンテほか全国順次公開。

「完全なるチェックメイト」公式サイト
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