ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

2012年ベスト&ワースト映画発表!

2012-12-28 21:44:44 | な行

2012年ベスト&ワースト映画発表!

今年は洋画・邦画、分けさせていただきました。
毎度のことながら、思い出してピンときたり、プッとくる順です。


まずは洋画ベスト10。

(1位)メランコリア
(2位)ニーチェの馬
(3位)別離
(4位)テイク・ディス・ワルツ
(5位)おとなのけんか
(6位)ジョルダーニ家の人々
(7位)キリマンジャロの雪
(8位)WINWIN ダメ男とダメ少年の最高の日々
(9位)イラン式料理本
(10位)ル・コルビュジエの家

「メランコリア」はブッチギリ不動。

以下、次点は

●最終目的地
●ドライブ
●ヤング≒アダルト
●屋根裏部屋のマリアたち
●スーパー・チューズデー 正義を売った日
●きっとここが帰る場所
●人生はビギナーズ
●少年と自転車
●最強のふたり
●恋のロンドン狂騒曲
●恋と愛の測り方
●ピアノマニア
●ピープルVSジョージ・ルーカス

次に邦画ベスト10。

(1位)キツツキと雨
(2位)桐島、部活やめるってよ
(3位)ロボジー
(4位)鍵泥棒のメソッド
(5位)おおかみこどもの雨と雪
(6位)演劇1
(7位)その夜の侍
(8位)阿賀に生きる
(9位)ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳
(10位)この空の花

以下、次点は
●カラスの親指
●黄金を抱いて翔べ
●僕達急行-A列車で行こう-

続いてワースト10。これは洋画邦画一緒で。
ガッカリ度の高かったものが上位です。

(1位)プロメテウス
(2位)メリダとおそろしの森
(3位)ローマ法王の休日
(4位)北のカナリアたち
(5位)夢売るふたり
(6位)バッド・ティーチャー
(7位)デビルズ・ダブル
(8位)J・エドガー
(9位)リンカーン/秘密の書
(10位)SHAME-シェイム-

以下次点は(笑)
●ピラミッド5000年の嘘
●ホタルノヒカリ
●ジョン・カーター
●バッド・ドクター
●THE GREY 凍える太陽
●カルロス
●TIME/タイム
●グスコーブドリの伝記
●捜査官X

ということで、今年も1年お疲れさまでした
来年もいい映画にたくさん出会えますように!

2013年も番長を
どうぞよろしくお願いいたします。
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サイド・バイ・サイド―フィルムからデジタルシネマへ

2012-12-24 22:31:55 | さ行

キアヌ・リーブスのインタビュアーぶりを
観るのもなかなか楽しく。

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「サイド・バイ・サイド―フィルムからデジタルシネマへ」70点★★★★


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およそ100年間、
映画はすべてフィルムで撮影されていた。

しかしこの20年で
映画界にもデジタルが大きく普及。

いまや
一般の我々のカメラ事情と同じく
映画のフィルムも絶滅危惧種になりつつある・・・。

「そんな現状をどう思うか?」を
キアヌ・リーブスが企画製作&ナビゲートするドキュメンタリー。

まずは
名だたる監督たち
マーティン・スコセッシやジョージ・ルーカス、
デヴィッド・フィンチャーやジェームズ・キャメロン、

クリストファー・ノーランやスティーブン・ソダーバーグ、
ラース・フォン・トリアー・・・らが
ザクザク登場するのがスゴイ。



“撮影監督”の役割について大きく取り上げたのも出色だし、

監督たちが
フィルム、デジタルへの想いを語ることで
おのずと彼らの「映画作り」への姿勢が見えてくるという。

これ、けっこう面白いですよ。


デジタルの簡便さと機動性が生むよさがあり、
フィルムには粒状性や黒に宿る深みがあり、ファジーな表現力がある。

どちらがいいか?ではなく
「どっちもあり」な世の中を望む、というスタンスで作られているので
別に議論とかではないです。

にしても
デジタル推進派が多いのは意外だったなー。


それでも
「ツリー・オブ・ライフ」「戦火の馬」「ダークナイト・ライジング」
「ミッション・インポッシブル:ゴースト・プロトコル」そして「ハンガーゲーム」(!)と、

大作系ながら番長評価が高いものは
やっぱりフィルムなのか!と
自分の無意識下の選別を知ってビックリしたり(笑)

決着の付け方も
まさにその通り!という。

映画好きも、映画を志す人も、
すべて映画に関わる人、観てソンはないと思います。


★12/22(土)から渋谷アップリンク、新宿シネマカリテほか全国順次公開。

「サイド・バイ・サイド―フィルムからデジタルシネマへ」公式サイト
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拝啓、愛しています

2012-12-23 15:55:12 | は行

最近、年配男女が主人公の映画が
とみに増えている。

「拝啓、愛しています」70点★★★★

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韓国、ソウル。

早朝、牛乳配達をする老人(イ・スンジェ)は
妻に先立たれて独り身だ。

ある朝、彼は
リアカーで古紙回収をしている
同年代の女性(ユン・ソジュン)を見かける。

坂道で転んだ彼女を助け起こした彼は
その後、彼女のことが気になりはじめ・・・。

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70がらみ男女の
ほのかな恋を描く韓国のラブストーリー。

坂道のある町、早朝のデート、流れる優しいポップス曲・・・と
演出やムードはかなりベタというか優しく

「韓国映画」というよりは
「韓国ドラマ」に近い感じもある。

しかし
老いの現実を描きつつも
シビアさを上手にユーモアでくるんでいて

優しく温かく、悪くない。

恋とか愛とかもドロドロじゃないしね。

口悪く、常にプリプリしていて
みんなから怖がられている暴走老人な主人公も
根っこのところがチャーミングで
石原なんとか氏もこのくらいチャームがあったらね・・・とか思いつつ。

彼が初デートで彼女とバスに乗り、
座席に陣取る若いもんに
さりげなくケリをいれてどかせるシーンとか

オ・ダルス扮する回収業の兄ちゃんのおとぼけぶりなど
要所要所にクスクス笑いがあるのもよいですね。


★12/22(土)からシネスイッチ銀座、シネマート新宿ほか全国順次公開。

「拝啓、愛しています」公式サイト
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ダイアナ・ヴリーランド 伝説のファッショニスタ

2012-12-22 17:27:06 | た行

見てくださいよこのお姿。
見るからにコワくないですか?(笑)

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「ダイアナ・ヴリーランド 伝説のファッショニスタ」71点★★★★


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1960年代に『ヴォーグ』の編集長となり
ツィギーやローレン・バコール、バーバラ・ストライサンド、
シェールなど時代の顔を次々と見出し

誰もが知ってる
カメラマンやクリエーターもわんさか世に出し

20世紀のファッション界を作り上げた
“マジ凄い人”のドキュメンタリーです。

本人の過去映像と、証言をまとめたもので
「パリの恋人」や「ポリー・マグー お前は誰だ」の
編集長のモデルだったとは知らなかった。

斬新なファッションページを生んだ意図を語るシーンは刮目だし
数々の名言、クリエーターとしての心構えなど
参考になることいっぱい。

しかしこの方
スタイルはいいけど、まあ迫力のブスというか(笑)
とにかくおっかない人だったらしい。

母親から「不美人」と言われ続け
「成功するには“突出”しないといけない」と悟ったと語るシーンとか
すごくパワーが湧いてくる。

そして
この映画でワシが一番感銘したのは
テレビ番組で彼女にインタビューする、若い女性の突っ込み加減。

あの恐ろしげな人に
「自分の容姿に満足してます?」とか
斬り込むかフツー!(笑)

そういう“攻撃する”インタビュー、してみたいなあと感じました。


『ヴォーグ』の編集長といえば
「プラダを着た悪魔」のモデル、アナ・ウィンターが有名で、
ヴリーランドはその先輩にあたる。

たしかに偉業度はヴリーランドのほうが上だと思うのですが
ドキュメンタリーとしてのおもしろさは
彼女を追った「ファッションが教えてくれること」(09年)のほうが断然上。

なぜかというと
「ファッションが~」は1冊のヴォーグが出来るまでを追う
臨場感たっぷりの“現在進行”で“密着型”のドキュメンタリーであり

本作は亡くなった人について上手にまとめた
(最近多いタイプの)
“アーカイブ型”ドキュメンタリーだから。

ドキュメンタリーになにを求めるかによるけど
番長は“密着型”が好きなんでしょうね。


★12/22(土)からシネマライズ、TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国順次公開。

「ダイアナ・ヴリーランド 伝説のファッショニスタ」公式サイト
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駆ける少年

2012-12-21 21:29:35 | か行

前作「CUT」はまるでダメだった番長ですが
これは好き。


「駆ける少年」73点★★★★


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1970年代、イランの海岸沿いの町。

11歳の少年アミル(マジッド・ニルマンド)は
海岸にうち捨てられた廃船に一人で住み
ゴミや空きビン拾いをして
生計を立てている。

決して悲壮感はなく
同じような境遇の仲間たちと遊んだり
外国の雑誌に載った写真を見るのが彼の楽しみだ。

そんなある日、
彼は文字を覚えようと一念発起して――。

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イラン出身のアミール・ナデリ監督が
1985年に製作した
原点にして伝説といわれる作品。

見ると「伝説も納得」と思いました。

とにかく主人公の少年、映像……
すべてに躍動するみずみずしさがある。
“はぜる”という言葉も当てはまるかもなー。


廃船で一人で暮らす少年の日常を描く
シンプルな作りなんですが

タイトルどおり
まあ彼がとにかく走る、走る、走る――走りまくる!

お金を払わない客を追いかけて走り、
仲間と電車を追いかけて走り、
見えない何かを追いかけるように、走る。

その行為は
もてあますほどのエネルギーの消費行為であり
まだ無力でこの場所から飛び立ちたいけど、まだ叶わない
少年の感情の発露なのでしょう。

そんな少年が一つずつ成長し
まさに「翔んだ!」という鮮やかな瞬間がたくさんあって
見ているだけで、元気になる。

監督の自伝的作品であり、
実際に監督はある事情からアミル少年のように
一人で外で暮らしていた経験があるそうです。

安い雑誌を買って写真に夢中になるシーンなどに
なんとなく原点が垣間見える気がしました。

走るシーン、叫ぶシーンを繰り返し執拗に(笑)描くあたりも
原点かもしれません。


★12/22(土)からオーディトリウム渋谷ほか全国順次公開。

「駆ける少年」公式サイト
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