ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ヴァチカン美術館 4K3D 天国への入口

2015-02-27 22:50:51 | あ行

3Dって、こうくるんかい!

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「ヴァチカン美術館4K3D 天国への入口」69点★★★★


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ミケランジェロの天井画やラファエロの壁画などを有する
ヴァチカン美術館を、最新技術4K3Dで撮ったドキュメンタリー。

普通、美術館の3D映画と聞けば
「滅多に行かれない場所に行った感じにさせてくれる」
建物体験や、彫刻を見せるのかなあと思いますよね。


いやいや。

彫刻も建物ももちろん見られるし
場の臨場感もド級に美しいんですが、
この映画が画期的なのは、平面画を3Dで見せちゃったこと!


ミケランジェロの絵画に奥行きをつけ、
本当に宙空に浮いてるように見せたりする。

これってけっこう、「やっていいの?」
ギリギリだと思うんですが
OKが出たのには、意味があるんだろうなと。

なんといっても
そうやって見る絵が
「作者本人がそう望んだのかも」という
状態に見えてくるからおもしろい。

ラファエロの絵画の奥行き感も
かなりキテます。

ほかにも美術館が所蔵する
ゴッホやシャガール、ダリの平面画も3Dになったり。


素人のワシは“空間”の3D感にばかり目がいってしまいましたが
おなじみ『週刊朝日』の「ツウの一見」で
漫画『チェーザレ』の監修もされている原基晶さんにお話を伺ったら
びっくりすることがたくさんわかりました。

原さん曰く、この映画の見どころはずばりミケランジェロで
彼の描く人物の立体感を3Dで見るのがスゴイんだと。

それにより、画家がさまざまな問題を
絵画に含ませていたことも、よりわかりやすくなっているそうです。

合間に挟まるあの謎のシーンにも意味がある……?!ということで

ご興味を持たれた方はぜひ、来週発売の『週刊朝日』をチェックです!


★2/28(土)からシネスイッチ銀座で公開。ほか全国順次公開。

「ヴァチカン美術館4K3D 天国への入口」公式サイト
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シェフ 三ツ星フードトラック始めました

2015-02-26 23:27:12 | さ行

食いしん坊なんで
メシモノには基本弱いんですけどね。


「シェフ」69点★★★☆


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米・ロサンゼルスで評判の
オシャレなレストランの厨房を任されている
カール(ジョン・ファヴロー)。

しかし、新しいメニューを試したいカールは
定番を推す店のオーナー(ダスティン・ホフマン)と衝突してしまう。

ゼロからスタートすることになったカールが
悩んだ末に始めたのは――?!

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「アイアンマン」を大ヒットさせた
ジョン・ファヴロー監督が
製作&監督&脚本&主演した作品。

だもんで
ロバート・ダウニーJR.や
スカーレット・ヨハンソンも豪華に出演してます。

内容も
単刀直入なタイトルからイメージするまま
ノリはまずまず。

料理も大味そうだけど、美味しそうだし
子役の少年も可愛い。

小道具ツイッターやSNSの使い方も効いてはいる。


ただなんというか……全体的に古臭いというか、
バタ臭いというか。

不必要なエピソードが多い気がするし、
今一つ精査がぬるい。


なにより
本題の移動屋台スタートまでが長いんだよねー。
あと30分は縮められたよね~。

スパニッシュやキューバの陽気さをスパイスにするのはいいけど
味のひねりや“決め手”もそこに設定するのは
やや「ん?いまそこ?」みたいな気もする。


5種類位のチーズを挟んだキューバサンドイッチも
オリーブオイルギトギトの夜食パスタも
たしかに美味しそうなんだけど

確実に太るよ、これは……
ね、監督!(笑)


★2/28(土)から公開。

「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」公式サイト
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さいはてにて -やさしい香りと待ちながら-

2015-02-25 23:30:12 | さ行

ありがちな“カフェ系”とは
ひと味違いました。


「さいはてにて -やさしい香りと待ちながら-」69点★★★★


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さいはての海辺の町。

遠い昔、父と暮らした古い舟小屋に
岬(永作博美)がやってきて、焙煎珈琲店を始める。

向かいにある民宿の窓からは
シングルマザーの絵里子(佐々木希)の小学生の娘と息子が、
そんな岬をじっと見つめていた――。

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ホウ・シャオシェン作品の助監督などを務めた
台湾の女性監督が
日本のスタッフと能登半島で撮った作品。


ゆったりとした田舎の海辺のコーヒー屋……と言ってもカフェじゃなく、
本格焙煎珈琲。

店では試飲のみでネット販売が中心っぽく
ゆえに、話の基本が
「カフェにいろんな人々がやって来て……」系ではない。
そこだけでも、よし!(笑)


SLの心臓部のようなハードな焙煎機を操る
永作博美氏のぴしっとした感じと
映像のスッと、しんとした感じと良く合っているし

宮沢賢治の「よだかの星」も
単なるイメージや味付けでなく、ちゃんと意味を持って
物語に編み込まれている。

佐々木希氏も二児のシングルマザーを
まずまずこなしている……んだけど

やっぱり田舎にこんなすらっとした美人がいたら
相当な騒ぎになると思う(笑)

でも、彼女もともと秋田出身だそうで。
けっこうこういう場所にこういうお嬢さん
いるのかもしれませんね。


★2/28(土)から全国で公開。

「さいはてにて -やさしい香りと待ちながら-」公式サイト
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幕が上がる

2015-02-23 23:23:23 | ま行

ももクロさんもいいけど
黒木華さんがいいね!


「幕が上がる」74点★★★★


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静岡県立高校の演劇部。

次期部長に任命された2年生のさおり(百田夏菜子)は
高校演劇の全国大会を目指し、
勝ちたい気持ちはあるものの、何をしていいかわからない。

そんなさおりの前に
謎の新任の美術教師・吉岡(黒木華)が現れて――?!

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平田オリザ原作×「踊る大捜査線」シリーズの本広克行監督×
「桐島、部活やめるってよ。」の喜安浩平脚本による、
高校演劇をテーマにした青春映画。


たまたま昨年、平田オリザさんに
「演劇教育」に関して取材をさせていただいた縁もあり、

見ながら
まさに平田さんが推奨する
「教育現場に演劇がもたらす効果」が
よく表れているなあと、思いました。


主要5人の登場人物を演じるももいろクローバーZの面々も
平田氏の演劇ワークショップを経験して撮影にのぞんだそうで、
たしかにそれぞれがしっかり演じ、輝いている。

引きを多用した抜け感ある映像も
伸び伸びして気持ちよく

青春の汗と熱さ
何かに夢中になるかけがえのない尊さを
青春から遠く離れたワシにも
懐かしく思い出させてくれました。


それに
クールな先生役・黒木華がいままでで一番ハマリ役。

10代の少女たちに憧れられる身近でリアルな大人を
サバサバ演じて、いいっす。

小ネタや笑いの感覚に
ちょいちょい「踊る~」風味がありますが、浮く感じはなく、
それも楽しめました。


★2/28(土)から全国で公開。

「幕が上がる」公式サイト
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女神は二度微笑む

2015-02-19 23:16:03 | ま行

インド発、本格ミステリーサスペンス。


「女神は二度微笑む」70点★★★★


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毒ガスによる地下鉄無差別事件で
多くの犠牲者が出た
インド・コルカタ。

その2年後。

コルカタの空港に
美しき妊婦ヴィディヤ(ヴィディヤー・ヴァーラン)が降り立った。

彼女は1ヶ月前に行方不明になった
夫を捜しに来たのだが――?!

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コマ飛びする映像の演出が
ややうるさい気もするけど、

けっこうハラハラさせるミステリーです。


地下鉄での毒ガス事件から始まり
その2年後、
臨月の妊婦が行方不明の夫を探しにインドにやってくる、という展開。

この主役の妊婦が
コンピューターにも強く、フットワークも軽く
妊婦探偵なんじゃないか――?と思う活躍ぶりで
スイスイ物語を運んでいく。

冒頭の事件に
赤ん坊を抱いた女性が登場したり
諸所に仕掛けられたトラップから推理を巡らせるのが楽しい。

大きなところは読めたけど
いやあ、けっこうひらりとかわされました。

ヘタなミスリードはなく、
種明かし後に「何だよ~」と思わせない
ミステリーのルールに乗っ取った作り。

スジョイ・ゴーシュ監督という人は
こちらではあまり知られていないけど
かなりミステリの定石などを勉強し、練られた作品だと思いました。

本作はハリウッドリメイクも決まっているそうで、
しかも監督、
東野圭吾作『容疑者Xの献身』のボリウッド・リメイクを手がけるらしい。

そういえば
この映画、ワシは日本のミステリーの影響をどこか感じた。

盛り上げ方とか、テンポとか
織田裕二氏が出てきても、おかしくないような。
いや、いい意味ですよ。ワシ『アマルフィ~』おもしろかったもん。


★2/21(土)からユーロスペースで公開。ほか全国順次公開。

「女神は二度微笑む』公式サイト
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