社会派、二連発。
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映画「ポバディー・インク ~あなたの寄付の不都合な真実~」70点★★★★
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「貧しい人、災害で困っている人を助けたい」という
善意からはじまる寄付や支援。
でも、それって本当に相手のためになってるの――?――という
なかなか強烈な問題提起を
わかりやすく伝えるドキュメンタリーです。{
この問題に精通し、活動もしている監督が
ハイチ、ルワンダ、ガーナなど各地で
当事者たちの声をたくさん取材しています。
タイトルの
ポバティー=poverty=貧乏、貧困。
インク=Incorporated(インコーポレーテッド)=企業。
つまり、
国や巨大NGOがやっている支援が「押しつけビジネス」になってる、
という指摘でもある。
例えば、
2010年に大規模な地震が起こったハイチ。
地震発生後、チャリティーとして
太陽光パネルがタダで送られてきた。
確かに電気が作れるし、ありがたいけど
ん?ちょっと待って?
地元で、太陽光パネルを開発し、
起業して、がんばっていた若者は、打撃を受けるわけです。
だって、タダでもらえるものに、誰もお金を払わないじゃん?
それに食糧支援として
タダでお米をくれ続けているけど、
それじゃ、現地の農家はどうなる?
もちろん、これは
「善意」を、否定するものではない。
でもその善意が
違う意図で使われている、ということがわかって
「ハッ!」とするんです。
現地の人々は
「施しは必要ない、仕事がほしいのだ」と言うんです。
でも、強国は、寄付や支援という名目で物を贈り、
その実、彼らを「市場に参加させたくない」という心理が働いていることがわかるんですね・・・。
「うわっ、えげつな!」って思いますけど
現地の知識人たちの生の声から
そのリアルな事情がわかります。
なかには
誰もが知ってる、活動熱心な欧米セレブの支援を
バッサリ斬り捨てる人もいて
ハラハラするんですが(苦笑)
彼らはみな一様に、
冷静に、理知的に、優しく説く。
「助けたければ、そこに住んで、
何が必要か、経験してみてくださいよ」と。
そう、これってアフリカまで行かずとも、
我々に身近な被災地支援にも、
同じことが言えると思うんです。
だから、すごく身近でもあり
おもしろかった。
真に良き行いをするためには、どうすればいいのか?を考えさせるし
そう思うと
日本では東日本大震災でも、熊本の震災でも
地域の「産業復興」を提案して
それを大きなうねりにしている人たちが、個人レベルでもいるもんね。
なかなかすごいなニッポン!、って
思いました。
★8/6(土)から渋谷アップリンクほか全国順次公開。
「ポバティー・インク ~あなたの寄付の不都合な真実」公式サイト