英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『将棋世界』11月号(先月号です)の感想 ~田丸九段について~ 【その2】

2014-11-08 20:23:25 | 将棋
11月5日記事「『将棋世界』11月号(先月号です)の感想 ~田丸九段について~」の続きです。

 今回は、「盤上盤外 一手有情」について。
 率直に書いてしまうと、
攻防の経緯の実況、変化の羅列にとどまっており、
文章から伝えたい意思や感動が感じられないのである


 いや、前半部分は意思が感じられた
 棋聖戦一次予選、三枚堂四段-勝又六段戦は、NHK杯戦の羽生名人-勝又六段戦の経緯を取り上げるなど、序盤から終盤の入り口辺りまでは精密に解説されていた。また、勝又六段の八面六臂の活躍も紹介し、勝又六段への敬意も感じられた。
 さらに、谷川九段がB級1組で指すのが33年ぶりとなることに対して、谷川九段が昇竜の勢いで順位戦を駆け上っていった33年前のB1当時の様子(芹沢九段の対谷川戦の燃え方)を振り返っていた。奇しくも、谷川九段(当時六段→七段)と同時に昇級したのが田丸九段(当時六段、30歳)であり、当時のふたりの『将棋世界』の随想も紹介し、田丸九段の感慨も感じられた


 しかし、残りの3ページは息切れを感じた

 畠山鎮七段-屋敷九段戦は、横歩取り戦の分岐の1局面を取り上げ、
「ともに端の9筋・1筋から攻めたが、畠山に何か誤算があったようで、屋敷が攻め合って勝った」記してあるだけ。あとは、≪課題の局面だったが、本譜の他に候補手があったこと。他には読み筋通りに進んだが、結果的に良くなかった≫という畠山七段の感想が紹介されているのみ

 藤井九段-橋本八段戦は、角交換四間飛車で大駒を捌きあった終盤の入り口の局面(図面)から12手の手順とその図面(投了図)を記し、「藤井は▲5二角成と切って▲8二飛と金取りに打ったが、橋本の△6七歩成から△4六歩の軽手がより厳しかった」という簡単な実況と、投了図からの先手玉の詰み筋を記し、両者の局後の感想のみ
 藤井九段は「(勝負所は)まったくありません」という感想だったが、となると、この将棋のポイントは仕掛け当たりの折衝だったと思われるが、一切、紹介も解説もなし
 あと、門倉四段の終盤の入り口の図から、≪こう指したらどうだったのですか?≫という指摘とその手順11手とそこまで進めた局面図が載せてあった。
 しかし、「後手に簡明な寄せが意外となく、いろいろと調べた結果、後手の勝ち筋がようやく判明すると、橋本は苦笑いしていた」記したのみ
 確かに後手の橋本八段が簡単に勝ちそうな局面であるにもかかわらず、意外と勝ちが見つけられない。しかし、具体的に勝ち筋を示されず、読み手としては不満が大きい。
 そもそも、将棋のポイントは語られず、藤井九段が「勝負所が全くない」と言った手順を紹介し、「実は難しい順があった」という事実だけを仄めかす……田丸九段は、一体何を伝えたかったのだろうか?
 畠山七段の敗局も、ほぼ同様なことが言える。畠山七段の誤算は何だったのだろう?


 次に、松尾七段-村山七段戦
 この将棋も2局面図とその間の手順(14手)が記されており、
「村山は△5六歩で△3七金▲同銀△4五桂の順も考えた。本譜は松尾の▲4六角が見えていなかった。その後、激しい寄せ合いを制して村山が勝った」のみ。
 別に、細かい解説をして欲しいとは思わない。しかし、上記の文章に、意思や感動が感じられない

 さらに、谷川九段-佐藤天七段戦
 この将棋も同様な記載。2図とその間の手順(20手)と簡単な解説。若干、解説が丁寧だが、手数も長いので読むのが大変。
 「好手」「力強い手」「攻防の好手」という表記はあるが、驚きや感心などの感動が見えないおざなりの表現であった
 その後、「図からも難しい戦いが続いたが、谷川の失着で佐藤が逆転勝ちした」記してあるだけ

 後半の3ページは、途中経過と勝敗結果が書かれているだけと言ってもよく、「お茶を濁す」(ページを埋める)だけとしか思えなかった。 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「真打ち」(中田七段作詰将... | トップ | 余計 ……中田七段作詰将棋 ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

将棋」カテゴリの最新記事