密室について
最初に喜多が示した仮説通りの手順だった。
しかし、この仮説は、≪犯人の寺林がそれをする意味がない≫と却下された。
鵜飼刑事の「頭部を切断し持ち去るような人間は、真っ当な思考ではない」という苦しい主張が真相だった。
一旦、犀川や萌絵が真っ向から仮説を否定、さらに、事件冒頭で寺林が頭部を殴打されるというシーンもあり、限りなく反則に近い。
不合理な寺林の行動や心理
≪僕にはまったく理解できない。恐れるモノがないと言うのか≫
⇔ ≪受け入れるほかない。命題は証明された≫
で、犀川は自己完結したが、やはり、無理がある。
心理面は「真っ当な思考ではない」で無理やり納得するとして、物理的におかしい点がある。
①「上倉が殺害した明日香の遺体を見て、首を切ろうとしたくなった。人間の型を取る練習をしたかった」という犀川の推理だが、最初の仮説を否定した理由「鉈を急遽、用意できたのか?」
この疑問については、「明日香の頭部を切断し持ち去ったのは、高価なシリコンを2人分用意するのは大変」という説明から、「常に≪紀世都の型を取りたい≫≪頭部で練習したい≫と考え、鉈も準備していた」と解釈できるが。
しかし、予め頭部で練習するという行為は、その殺人の警察の捜査が紀世都の型を作ることの妨げになるであろうし、明日香の頭部を確保するためだけに上倉を殺害するのは理解不能だ。やはり犀川みたいに≪受け入れるしかない≫のであろう。
それにしても、「生」より「フォルム」に執着するとは……
しかも、「本体」よりも「型」……
②寺林が、病院から抜けだし、紀世都を殺害し型を取り、紀世都の芸術作品の発火や音声の細工をする。萌絵を呼び出したのは病院付近であるから、病院→隠れ家→アトリエ→病院と移動だけでも大変である。
時間、技術、警察の目から逃れるなどの観点から、相当難しい。
そんなわけで、相当受け入れがたい事件の真相だったが、世間の評判はともかく主人公のふたり、私は好きである。
大御坊や喜多も面白かったし、吉田鋼太郎さんが非常にまじめな役柄を演じているのは、笑ってしまう。でも、萌絵を諭すシーンは良かった。
「オスはメスから生まれる」という謎かけも面白かった。
武井咲のコスプレ姿もなかなか……(笑)
萌絵って、たくさんコートを持っているんだね(最近の女性は、みんなそう?)
【ストーリー】脚本・黒岩勉
『前編』
西之園萌絵(武井咲)は、従兄で有名作家の大御坊安朋(小松和重)から緊急事態だと連絡を受け、彼が主催するイベント会場にやってくる。そこは模型とフィギュアが展示された「モデラーズフェス」で、有名モデラーや造形師が作った作品にマニアが集まり、雑誌記者の儀同世津子(臼田あさ美)も取材に来ていた。
そんな会場の控室で大御坊は萌絵に、SFのコスプレスーツを着てくれと頼む。それを着るはずだった筒見明日香(山川紗弥)と連絡が取れなくなったため、萌絵に代役としてイベントに出てほしいと言う。
同じ頃、犀川創平(綾野剛)も喜多北斗(小澤征悦)と会場にいた。ふたりは大御坊の中学高校の同級生で招待されていたのだ。
大御坊の頼みを断り切れなかった萌絵は、渋々スーツを着ることに。するとそこへ、明日香の兄の紀世都(中島歩)が来て「寺林」を知らないか、と大御坊に尋ねる。寺林が第二控室の鍵を持ったまま連絡が取れないので、みんなが困っていると言う。
そんな時、廊下から悲鳴が聞こえ駆けだした萌絵は、守衛によって開けられた第二控室を覗く。そこには、頭部が切断された明日香の遺体があった。さらに近くには出血して倒れている男――寺林高司(山本耕史)がいた。
そこへ、鵜飼大介(戸次重幸)と片桐誠人(坂本真)が駆け込んでくる。鵜飼は別の事件の容疑者となっている寺林を探していたのだ。一方、萌絵の視点は、鵜飼の後ろにいた犀川に釘付けになる。
≪第七話 事件のおさらい≫
萌絵(武井咲)は、従兄の大御坊安朋(小松和重)に呼ばれてやって来た「モデラーズ・フェスティバル」が開催される公会堂で、頭部を切断されたモデルの筒見明日香(山川沙弥)の遺体を発見する。さらに、同じ部屋には、社会人大学生の寺林高司(山本耕史)が負傷し倒れていた。
しかも、明日香が殺害された1時間後に、公会堂から300mほどの距離にある京浜工業大学の実験室で、寺林の同級生・上倉裕子(ハマカワフミエ)が絞殺されているのが発見された。明日香と裕子は、どちらも密室で殺害されていて、その両方の鍵を寺林が持っていたことから、警察は寺林をマークする。
萌絵は、あまりにも寺林に不利な状況が重なっていることに疑問を感じ、誰かが寺林に罪を着せようとしているのでは、と調査を始める。そこへ、容疑者として寺林と裕子の担当教官である教授の河嶋(近江谷太朗)が浮上。河島は以前、裕子と交際していたが、裕子が寺林に乗り換えたため、嫉妬していたという。萌絵は、河嶋が寺林の犯行と見せかけて明日香と裕子を殺害したのでは、と推理するが、犀川はそれを否定。密室や事件の関連性は重要ではなく、注目すべきは明日香の頭部が切断された事件で、「ひとつの部屋に頭部のない遺体と犯人が存在した」ことが命題だと話した。
同じ頃、独自に事件を調査していたフリーライターの儀同世津子(臼田あさ美)は、明日香の兄で現代アートの先鋒として注目される筒見紀世都(中島歩)が怪しいのでは、と犀川に明かした。
一方、公会堂で紀世都と再会した萌絵は、事件を解決したい一心で紀世都に誘われ、彼のアトリエへとやって来る。そこは多数の人体彫刻やマネキンが並んだ異様な空間だった。さらに、殺害された明日香の等身大のフィギュアが飾られていて…。
『後編』
西之園萌絵(武井咲)は、筒見紀世都(中島歩)のアトリエに明日香(山川紗弥)の等身大のフィギュアがあったこと、異常としか思えない一面を目撃したことから、明日香を偏愛する紀世都が彼女を殺害したのでは、と犀川創平(綾野剛)に話す。
そこへ、儀同世津子(臼田あさ美)がやってくる。犀川と約束をしていたらしい世津子の親しげな態度にいらだち萌絵は研究室を出る。すると、浜中深志(岡山天音)が来て封筒を手渡した。紀世都から送られたその手紙を読んだ萌絵はどこかへと向かうが、そのとき、寺林高司(山本耕史)から連絡が入る。寺林はどうしても調べたいことがあり病院を抜け出したという。萌絵が問い詰めると、紀世都のところに行くつもりだと明かした。
萌絵と寺林が紀世都のアトリエの前に来ると、喜多北斗(小澤征悦)と大御坊安朋(小松和重)に声をかけられる。紀世都と連絡が取れないため、心配して来たのだと大御坊は言う。4人でアトリエに入ると、そこはロウソクの光が蛍のように点灯する幻想的な空間だった。紀世都の姿は見当たらないが、大御坊は、紀世都はこれを自分たちに見せようとしているのでは、と鑑賞し始める。そのとき、大きな機械音が響き、アトリエに置かれたペットボトルのロケットが四方に発射される。ペットボトル内の液体が雨のように巻き散らかされるが、それはアルコールでロウソクに引火し炎が上がる。煙が立ちこめるなか萌絵が紀世都を探すと…。
最初に喜多が示した仮説通りの手順だった。
しかし、この仮説は、≪犯人の寺林がそれをする意味がない≫と却下された。
鵜飼刑事の「頭部を切断し持ち去るような人間は、真っ当な思考ではない」という苦しい主張が真相だった。
一旦、犀川や萌絵が真っ向から仮説を否定、さらに、事件冒頭で寺林が頭部を殴打されるというシーンもあり、限りなく反則に近い。
不合理な寺林の行動や心理
≪僕にはまったく理解できない。恐れるモノがないと言うのか≫
⇔ ≪受け入れるほかない。命題は証明された≫
で、犀川は自己完結したが、やはり、無理がある。
心理面は「真っ当な思考ではない」で無理やり納得するとして、物理的におかしい点がある。
①「上倉が殺害した明日香の遺体を見て、首を切ろうとしたくなった。人間の型を取る練習をしたかった」という犀川の推理だが、最初の仮説を否定した理由「鉈を急遽、用意できたのか?」
この疑問については、「明日香の頭部を切断し持ち去ったのは、高価なシリコンを2人分用意するのは大変」という説明から、「常に≪紀世都の型を取りたい≫≪頭部で練習したい≫と考え、鉈も準備していた」と解釈できるが。
しかし、予め頭部で練習するという行為は、その殺人の警察の捜査が紀世都の型を作ることの妨げになるであろうし、明日香の頭部を確保するためだけに上倉を殺害するのは理解不能だ。やはり犀川みたいに≪受け入れるしかない≫のであろう。
それにしても、「生」より「フォルム」に執着するとは……
しかも、「本体」よりも「型」……
②寺林が、病院から抜けだし、紀世都を殺害し型を取り、紀世都の芸術作品の発火や音声の細工をする。萌絵を呼び出したのは病院付近であるから、病院→隠れ家→アトリエ→病院と移動だけでも大変である。
時間、技術、警察の目から逃れるなどの観点から、相当難しい。
そんなわけで、相当受け入れがたい事件の真相だったが、世間の評判はともかく主人公のふたり、私は好きである。
大御坊や喜多も面白かったし、吉田鋼太郎さんが非常にまじめな役柄を演じているのは、笑ってしまう。でも、萌絵を諭すシーンは良かった。
「オスはメスから生まれる」という謎かけも面白かった。
武井咲のコスプレ姿もなかなか……(笑)
萌絵って、たくさんコートを持っているんだね(最近の女性は、みんなそう?)
【ストーリー】脚本・黒岩勉
『前編』
西之園萌絵(武井咲)は、従兄で有名作家の大御坊安朋(小松和重)から緊急事態だと連絡を受け、彼が主催するイベント会場にやってくる。そこは模型とフィギュアが展示された「モデラーズフェス」で、有名モデラーや造形師が作った作品にマニアが集まり、雑誌記者の儀同世津子(臼田あさ美)も取材に来ていた。
そんな会場の控室で大御坊は萌絵に、SFのコスプレスーツを着てくれと頼む。それを着るはずだった筒見明日香(山川紗弥)と連絡が取れなくなったため、萌絵に代役としてイベントに出てほしいと言う。
同じ頃、犀川創平(綾野剛)も喜多北斗(小澤征悦)と会場にいた。ふたりは大御坊の中学高校の同級生で招待されていたのだ。
大御坊の頼みを断り切れなかった萌絵は、渋々スーツを着ることに。するとそこへ、明日香の兄の紀世都(中島歩)が来て「寺林」を知らないか、と大御坊に尋ねる。寺林が第二控室の鍵を持ったまま連絡が取れないので、みんなが困っていると言う。
そんな時、廊下から悲鳴が聞こえ駆けだした萌絵は、守衛によって開けられた第二控室を覗く。そこには、頭部が切断された明日香の遺体があった。さらに近くには出血して倒れている男――寺林高司(山本耕史)がいた。
そこへ、鵜飼大介(戸次重幸)と片桐誠人(坂本真)が駆け込んでくる。鵜飼は別の事件の容疑者となっている寺林を探していたのだ。一方、萌絵の視点は、鵜飼の後ろにいた犀川に釘付けになる。
≪第七話 事件のおさらい≫
萌絵(武井咲)は、従兄の大御坊安朋(小松和重)に呼ばれてやって来た「モデラーズ・フェスティバル」が開催される公会堂で、頭部を切断されたモデルの筒見明日香(山川沙弥)の遺体を発見する。さらに、同じ部屋には、社会人大学生の寺林高司(山本耕史)が負傷し倒れていた。
しかも、明日香が殺害された1時間後に、公会堂から300mほどの距離にある京浜工業大学の実験室で、寺林の同級生・上倉裕子(ハマカワフミエ)が絞殺されているのが発見された。明日香と裕子は、どちらも密室で殺害されていて、その両方の鍵を寺林が持っていたことから、警察は寺林をマークする。
萌絵は、あまりにも寺林に不利な状況が重なっていることに疑問を感じ、誰かが寺林に罪を着せようとしているのでは、と調査を始める。そこへ、容疑者として寺林と裕子の担当教官である教授の河嶋(近江谷太朗)が浮上。河島は以前、裕子と交際していたが、裕子が寺林に乗り換えたため、嫉妬していたという。萌絵は、河嶋が寺林の犯行と見せかけて明日香と裕子を殺害したのでは、と推理するが、犀川はそれを否定。密室や事件の関連性は重要ではなく、注目すべきは明日香の頭部が切断された事件で、「ひとつの部屋に頭部のない遺体と犯人が存在した」ことが命題だと話した。
同じ頃、独自に事件を調査していたフリーライターの儀同世津子(臼田あさ美)は、明日香の兄で現代アートの先鋒として注目される筒見紀世都(中島歩)が怪しいのでは、と犀川に明かした。
一方、公会堂で紀世都と再会した萌絵は、事件を解決したい一心で紀世都に誘われ、彼のアトリエへとやって来る。そこは多数の人体彫刻やマネキンが並んだ異様な空間だった。さらに、殺害された明日香の等身大のフィギュアが飾られていて…。
『後編』
西之園萌絵(武井咲)は、筒見紀世都(中島歩)のアトリエに明日香(山川紗弥)の等身大のフィギュアがあったこと、異常としか思えない一面を目撃したことから、明日香を偏愛する紀世都が彼女を殺害したのでは、と犀川創平(綾野剛)に話す。
そこへ、儀同世津子(臼田あさ美)がやってくる。犀川と約束をしていたらしい世津子の親しげな態度にいらだち萌絵は研究室を出る。すると、浜中深志(岡山天音)が来て封筒を手渡した。紀世都から送られたその手紙を読んだ萌絵はどこかへと向かうが、そのとき、寺林高司(山本耕史)から連絡が入る。寺林はどうしても調べたいことがあり病院を抜け出したという。萌絵が問い詰めると、紀世都のところに行くつもりだと明かした。
萌絵と寺林が紀世都のアトリエの前に来ると、喜多北斗(小澤征悦)と大御坊安朋(小松和重)に声をかけられる。紀世都と連絡が取れないため、心配して来たのだと大御坊は言う。4人でアトリエに入ると、そこはロウソクの光が蛍のように点灯する幻想的な空間だった。紀世都の姿は見当たらないが、大御坊は、紀世都はこれを自分たちに見せようとしているのでは、と鑑賞し始める。そのとき、大きな機械音が響き、アトリエに置かれたペットボトルのロケットが四方に発射される。ペットボトル内の液体が雨のように巻き散らかされるが、それはアルコールでロウソクに引火し炎が上がる。煙が立ちこめるなか萌絵が紀世都を探すと…。
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