英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

「のらりくらり」(中田七段作詰将棋)の解答 【訂正あり】

2014-11-21 23:04:16 | 詰将棋
「のらりくらり ……中田七段作詰将棋 『将棋世界』2014年4月号」の解答です。



 一見すると、4一の銀が玉の両側を、また、上部は5五の銀と3六の桂が待ち構えているので、普通に攻めれば詰みそうです。
 ですが、玉が5一、3四、2二への逃走経路が残されているうえ、持駒は仮名駒枚と豊富なのですが、金が一枚なので、意外と玉を捕まえきれない状況に陥る危険性があります。

 初手は、▲5一銀、▲4三銀、▲3三銀などが浮かびます。
 試しに▲5一銀を考えてみましょう。

 上部に逃がすようですが、5一への逃走手段を消し、玉の行動を限定させる効果もあります(△5一同玉と取ると▲5二金で詰み)。
 △4三玉は▲4四金で詰むので、△3三玉と逃げます。

 順調のようですが、この3三の玉は3四と2二への2つの逃走経路があるため、片方を防ぐともう片方に逃げられてしまうというジレンマに陥ってしまっているのです。
 ▲4四銀は5五の銀を活用して効率の良い手です。

 △3四玉ならば▲3五金(銀)でも▲3三金でも詰むのですが、
 △2二玉と逃げられると

 1筋の逃走を防げません。
 そこで、試行図2で

▲3二金と2二への逃走を防ぎますが、
△3四玉と逃げられると

やはり、捕まえられません。
 △3三玉と逃げられた時、2二と3四の二か所をフリーにしておくのは、まずいようです。


 初手は▲4三銀。

 この手は、△4三同玉とされた場合は初手▲5一銀より、5一銀が残らない分だけ劣るのですが、▲4四銀打で、△3四玉なら▲3五金で、また、△4二玉には▲5二金で詰みます。

 また、初手▲4三銀に△同桂と取るのには、桂がいなくなった場所に銀を打つ▲3一銀がぴったりの手になります。

 取るのは▲3二金で簡単なので△3三玉と逃げますが、
 3一の銀が2二への逃走を許さないので▲4四銀で大丈夫です。

 仕方なく△3四玉と逃げます。


 さて、あとは簡単と、▲3五金と打ってしまうと△3五同桂と取られて、飛び上がることになります。
 ここは慌てず、▲3三金が正着で詰みます。

【訂正です】
 ▲4三銀△同桂▲3一銀△3三玉の時、▲4四銀△3四玉▲3三金までの詰みと書きましたが、単に▲4四金で詰みます(shiroさんよりご指摘がありました。ありがとうございました)


 というわけで、初手▲4三銀には△3三玉と最強の逃げ方をします。

 この局面が悩ましいのです。
 ▲3二銀行成、▲3二銀引成、▲3四金、▲3四銀打、▲2四銀、▲4二銀不成など多数の手段が考えられます。
 しかし、どれもうまくいきません。
 他にもいろいろ考えたのですが、うまく行かず、初図に戻る……
 そして、何度目かの第2図を考えた時、突然、▲3二金が浮かびました。

 
 この金は打ちにくい。何しろ、▲3二銀行成や▲3二銀引成で済むところをわざわざ金を打つのですから。
 しかも、△4三玉と銀まで取られてしまいます。


 しかし、ここで▲4四銀打として


△3四玉に▲3三金で詰んでしまいます。



 3手目の▲3二金が打ちづらく(候補手にも上がらない)、さらに▲3三金の詰上がりも浮かびにくいのです。
 3三には通常、玉方の桂の利きがあるのが頭にこびりついているからかもしれません。


 少しくどくなりますが、初手▲5一銀と▲4三銀の差を考えます。

 この両図の違いは、4三の銀の有無です(厳密には5一の銀の有無)。
 この4三の銀は、▲3二金と打っても取られるだけですが、いないと失敗図2のように

△3四玉と逃げられて失敗しました。
 4三の銀は、取られてしまいますが、一時的ですが3四に玉を逃がさないという非常に大きな働きをしていたのでした。

 詰手順……▲4三銀△3三玉▲3二金△4三玉▲4四銀打△3四玉▲3三金まで7手詰
 
コメント (4)
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相棒 season13 第6話「ママ友」

2014-11-21 00:15:05 | ドラマ・映画
今回のテーマは
人間の裏側

 本性や本音は、よほど親しい間柄ではないと見せない。親しい間柄(家族など)に対しても、怒りや悲しみなどは見せても、もっとドロドロした欲望や嫉みなどは、見せたくないのではないだろうか。
 そんな内面(裏側)は、社会性やプライドで隠したり、抑え込んだりして、普段は綺麗な表側しか見せない。

 タイトルになっている「ママ友」は、「表向きの面だけ見せて仲良くやっている間柄」なのかもしれない。

(「ひど~い、英さん、そんなことないわよ」と反論されそうですが、もちろん、本当に心から信頼し合っているママ友さんたちも多いと思います。まあ、≪今話の『相棒』で登場したママ友たちに関しては、そうだったなあ≫ということで、上記については、追及しないでください)

 今回のママ友たち、表面上は楽しく仲が良さそうだったが、裏側では格差(いじめ)があったり、裏で不倫や裏口入学の不正をしたりしていた。
 そんなママ友たちに転居して仲間に加わった女性翻訳家・広子が加わり、親密さが増していった中で、事件が勃発した……


 行方不明になったと見られた女性翻訳家は、特命係に相談をした雅代によると“いい人”だったらしく、彼女のことを親身に心配していた。
 特命係の捜査(聞き取り調査)では、彼女は4人にプレゼントまで贈るほどの親密な間柄であったらしい。
 ただ、B子は不倫、C子は裏口入学の件を広子に知られていたのではないかという可能性があり、広子を殺害する動機と考えることもできる。
 実際に、広子が行方不明になった推測される時刻に、B子もC子もアリバイはなかった。
 まあ、アリバイ工作は被害者に変装し、遠景で目撃させるというありふれた手法であり看破されてしまう

 「有りがちなアリバイ偽装」というのは、今回の主眼ではないので、スルーするとして、この偽装を暴くのがドラマのかなり後半というのが、右京にしては遅すぎるというのが不満ではある。ただ、「その工作によりアリバイができたC子こそ犯人である」という論法でC子が目を付けられてしまうのは、面白い。(有りがちではありますが)

 さて、この広子の裏側が並のモノではなかった
 翻訳家ではなく元キャバクラ嬢なのは想定内だが、3億円の横領犯を殺害してその金を横取りしていた。しかも、床下に死体を隠す。
 でも、もっと驚いたのは、かなり高い崖から転落したにもかかわらず深手を負わず、最後は伊丹、芹沢、プラス一課の刑事と互角以上の乱闘を繰り広げ、最後は芹沢と相討ちの川(池?)に転落。タフさと強さに唖然……


 裏側が凄まじかった広子であるが、裏を隠すのが上手すぎたため、思わぬ勘違いをされてしまった。
 C子の息子(実は養子)を可愛がったため、≪広子が実の母親で、息子を取り返しに来たのではないか≫と疑念を持ち、それが爆発してしまった。
 殺意はなかったが、「あなたの正体、目的は分かっているのよ」と言ったため、それを今度は広子が≪殺人がばれている≫これまた勘違いし、C子を襲いかかる。もみ合って、広子が転落。

 というわけで、今回のもう一つのテーマは「勘違い」であった。
 

 今回の脚本家は、“要注意脚本家”の一人、金井寛氏。
 「人間の裏側」「勘違い」をテーマによく練られていたと思う。(原案が藤井清美氏ということで、どこまでが藤井氏で、どこまでが金井氏の脚本かは不明)

 しかし、疑問に感じる点も多かった。
①ママ友4人組を避けるのは却って詮索されてしまうと、それなら親密になったほうが良いと考えたという。しかし、あれだけ親密になったら、却って、訪問されたり、あれこれ聞かれたりするのではないだろうか。「収入は?」とか「翻訳って何語?」とか「じゃあ、この言葉は何て訳すの?」とか
②「広子が階段で転落した」と雅代が嘘をついた訳が、明かされなかった。
 嘘が判明し、それで、ママ友間にいじめがあることが分かるという意味はある。
 いじめ(差別)されて、その恨みから、≪彼女らの誰かが犯人であってほしい≫と考えた。あるいは、≪そんな差別をする彼女達なので、広子に何か危害を加えた可能性が高い≫と考えたという想像はできる。
③どうやって死体を運んだのだろうか?

 横道に逸れるが、ある程度の間柄で、職業を偽るのはけっこう難しいのではないかと思った。
 私なら、「棋書のゴーストライター」かなあ……

【ストーリー】番組サイトより
 右京(水谷豊)と享(成宮寛貴)は、東京郊外の新興住宅地に住む雅代(岩崎ひろみ)という主婦から奇妙な話を聞く。一昨日、数組の家族で行ったバーベキューの最中に、一人の女性が突然、行方不明になってしまったという。
 バーベキューの参加者は近くの公園で知り合ったママ友4人とその夫や子供で、消えたのは半年前に引っ越してきた広子(三輪ひとみ)という独身女性。彼女は、写真を撮ると言って一人で山に入ると、そのまま戻らなかったといい、雅代はママ友の中に広子に危害を加えた犯人がいるのではないかと疑っていた。
 手掛かりは、参加メンバーみんながバーベキュー中に撮っていたスナップ写真。その写真を時系列に沿って並べると、ママ友にはそれぞれ、会場から姿を消した“空白の時間”があるというが…!?

表面上は仲良く見えるママ友たち。
しかし、その裏には危うい嫉妬や知られたくない秘密が!
さらに、行方不明の女性の意外な一面が明らかになって…!?
ママ友をめぐる不協和音が、驚がくの結末へと繋がっていく!

ゲスト:岩崎ひろみ

脚本:金井寛 原案:藤井清美
監督:橋本一
コメント (2)
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