英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

科捜研の女14 第5話「国会議員と警察犬」

2014-11-18 22:07:42 | ドラマ・映画
「科捜研と現場の刑事が慣れあうことの危険性」がテーマであったが、
「マリコと土門に無理やり冤罪を作らせてドラマを盛り上げ、
さらに、双子で視聴者の裏をかき、警察犬も活躍させたかった」

という、脚本家の欲張りが目についた。



現場に残された証拠候補
・凶器は刃渡り9センチのナイフの類……これ以上絞り込むのは困難
・下足痕から靴の製品を特定できた……広く流通していて、犯人にたどり着けそうもない
・下足痕に料理に使われそうもない山椒の実が残されていた……場所は特定できない
・血で付着した手袋痕が残されていた……手袋の種類は特定できない
・現場から毛髪が採取された……DNAを調べたが、前歴のあるDNAとは一致しなかった

この段階で、犯人に到達するのは困難に思えた
しかし、下記の①②により土門たちが目をつけた長谷部議員に関して鑑定を進めると 

長谷部議員への容疑の理由・証拠
①長谷部議員は被害者の谷口と同じゼネコンに勤めていた
②被害者はゼネコン談合発覚が原因で左遷されており、その談合を告発したのが長谷部だった
③現場に残された下足痕と長谷部の靴が一致した
④山椒の実は、犯行時刻にいたとされる料亭の庭のものだった
⑤長谷部議員の靴に付着していた微物の中に、現場の下足痕からでた微物と合致するものがあった


長谷部議員が犯人ではないのでは?という要素
・現場には長谷部議員の毛髪はなかった←たまたま、毛髪が落ちなかっただけなのでは?
・被害者から採取された指紋に、長谷部議員のものはなかった←手袋をしていた

①②の状況証拠の上、③~⑤の下足痕、山椒の実、靴の微物が次々に現場のものと一致したので、土門は長谷部議員の逮捕状を取った。


藤倉刑事部長の懸念
・指紋を残さないように手袋をする用心深い犯人が、下足痕を残すものなのか?

土門の反論
・そんな犯人は、これまで山ほどいた

臭気選別……長谷部議員の匂いと現場の下足痕の匂いが一致するかを検証
警察犬・ジンクスと鑑識課の警察犬担当・香坂玲子(伊藤かずえ)、登場!
 結果……下足痕の匂いと長谷部議員の匂いは一致しなかった

【疑問】下足痕の匂いというのは、主に靴底の匂いと思われ、それを体臭(掌の匂い)と一致するかを調べるというのは、正しいやり方ではないと思われるが……

藤倉刑事部長の結論(推定)
 第三者が長谷部議員の靴を履いて犯行に及んだ

マリコと土門の反省会
土門 「犯人の下足痕と付着物、どちらの鑑定も間違っていなかった」
マリコ「それでも、私たちは冤罪を作りそうになった」
土門 「本当に冤罪なのか……長谷部議員は本当にシロなのか?」
 立ち去る土門を黙って見送るマリコ。


【ここまでの感想】
 初期の鑑定ではいつも通りだが、いつもと違うのは犯人に結び付くものをほとんど得られなかったということ。
 それが、容疑者が浮かんだところで一気に進み、長谷部議員の容疑が強まる。
 ③④⑤と次々、長谷部議員が犯人と示すような鑑定が出て、土門は逮捕状を請求した。
 正当な鑑定と推論で逮捕状の流れと思えたが、せっかちな土門ではあるが、≪逮捕状は早いのでは?≫と感じた。
 ③④⑤の3つの鑑定と言っても、結局、下足痕に関する一点のみの観点。
 せっかちではあるが客観的に判断する土門にしては、性急過ぎる逮捕状の請求であった。普段なら、被害者の身辺に怪しいやつはいないか、被害者の当日の足取りなどを調べるような気がする。また、少しでも疑問があれば疑い調べるまり子も慎重さに掛けていた。
 いつもとは違い、土門とマリコは、予断を持った捜査、予断を持った鑑定をさせ、藤倉の危惧する『科捜研と現場の刑事が慣れあう弊害』を無理やり起こさせたように思える。

 まあ、藤倉の言うように、刑事と科捜研がそれぞれの立場から別方向の視点で事件を見つめるのが正しいと思う。まり子なんてやっていることは、「科学捜査をする刑事」そのものであり、土門と一心同体で同一目線である。




ここで再びジンクスの出番
足跡追及……犯行現場から、犯人の匂いを辿る
 結果……ジンクスは料亭の下足箱にたどり着き、それから、料亭を出て内村という家に行きついた。

【再び、疑問】
靴を履きかえたのに、それでも追える。警察犬、優秀!



 その家の当主の内村の遺体を発見。犯人の匂いは内村と判定された。
 ジンクスが血痕の付いたナイフと手袋を発見。


 鑑定で、血痕は最初の被害者・谷口のものと判明。
 手袋の内側から内村の指紋が検出され、谷口殺害は内村と断定。
 さらに、谷口がつかんでいた毛髪のDNAは長谷部議員のものと一致

 内村を殺害したのは長谷部なのか?……

 長谷部の逮捕状を取ろうとする土門と、これまでの経緯から迂闊な動きはできないという藤倉が激突。
 ふたりの「正攻法論」は面倒なので省略。
 結局、
「定跡通り、警察犬に被疑者の下足痕を追わせる。
 おまえらが崩した正攻法を、もう一度正攻法に戻す!
 それでもまだ、長谷部議員にたどり着くなら、そこから突破口が見つかるかもしれない」
藤倉部長は、警察犬が好きなのね。

三度(みたび)、ジンクス登場!
 ……途中で匂いが途切れていた。タクシーなどの車に乗った可能性が考えられる。
 防犯カメラからタクシーを突き止め、客を降ろした場所まで到達。
 再び、匂いを追跡。…ホテルに到着。
 行きついた客室から出てきたのは……長谷部議員ではなく、双子の兄妹だった。


 犯人は長谷部議員のことを思って動き、内村に襲われ、過剰防衛で死に至らしめたが、殺害する動機はなく、殺さなくても充分危機を切り抜けられていた。非常に不可解な殺人であった。
 CM前に殺害シーンで長谷部(実は双子の兄妹)の顔を見せ、フェイクで視聴者を混乱させるのが狙い。それと、DNA鑑定では区別できない双子も、臭気判定で判別できる警察犬の優秀さを示したかったのかもしれない。
 さらに、双子の麗しい兄妹愛も描いていたが、この双子云々は余計だったように思う。
 『科学や捜査を過信する落とし穴』『科捜研と現場の刑事の慣れ合いの危険性』を描くなら、最初の犯行に関する捜査をもっと丁寧に描いたほうが良いように思う。詰め込み過ぎたため、マリコや土門が性急になり過ぎて不自然だった。




冤罪をを起こし掛けたマリコであったが、笑劇場は冴えていた!
第1の犠牲者…涌田亜美(映像データ担当)
「犯人は、山椒が自生しているような場所を歩いたのね
 亜美ちゃん、京都市内で山椒が自生しているところ」
「はいっ!」
カチャカチャ、ピッ……ブ-
「あれ?……山椒に自生地のデータベースなんて、ないんですけど」
「そうよね」(テヘペロ)


第2の犠牲者…風岡早月(監察医・教授)
「これから、ナイフと手袋の血痕の鑑定をするんです。
 いつも、手伝ってもらってすみません」
「いや、わたし、これまで“手伝う”って言ったこと、一度も…」
「まずは、血液の採取。わたしはナイフをやりますね」
「私に手袋をやれとぉ…」
「急ぎましょ。血痕の鑑定が終わったら、被害者がつかんでいたこの毛髪のDNA鑑定もありますから」
「それも私に手伝えと…」
「先生ったら」(にっこり)
「マリコさんたら…」(げっそり)


「手袋の裏側から、内村さんの指紋も検出できました」
「へえ…えっ、この作業、早月先生がしてくれたんですか?」
「先生、いつも喜んでやってくれるんで助かります」
「喜んでたっけ」
所長は申し訳なさそうに、早月先生はトホホ顔で、マリコは“満面の笑み”で笑う。

【ストーリー】番組サイトより
 大手ゼネコンの滋賀事業所所長・谷口健一が、京都市内の橋の下で刺殺体となって発見された。谷口は以前、東京本社の部長だったが、彼が関わった京都市発注の競争入札で談合が発覚し、3カ月前に降格人事で異動してきたばかりだった。榊マリコ(沢口靖子)たち科捜研のメンバーは、現場から犯人のものと思われる下足痕や毛髪などを採取、鑑定をはじめる。
 件の談合を告発したのは、当選1回の若き国会議員・長谷部伸弥(河相我聞)で、殺された谷口と同じゼネコンに勤めていた過去があった。彼を調べたいという土門刑事(内藤剛志)に、藤倉刑事部長(金田明夫)は、議員の捜査には慎重を期すようにと釘を刺す。 
 現場から採取した毛髪に長谷部のものはなかったが、マリコたちは犯人の下足痕と長谷部の靴底が、小さな傷跡までピタリと合致することを突き止める。また、下足痕に付いていた微物が長谷部の靴底からも見つかったほか、同じく下足痕に付着していた山椒の木の芽のDNAが、長谷部が事件の夜に食事を取った料亭の庭に生えているものとも一致した。出揃った証拠から長谷部の犯行を確信した土門は、藤倉に無断で逮捕状を取る。
 だが、指紋を残さないよう手袋を着用していた用心深い犯人が、なぜ下足痕を残したのか!? その疑問が払しょくできない藤倉は、鑑識課の警察犬担当・香坂玲子(伊藤かずえ)に依頼し、警察犬“ジンクス”を使った“臭気選別テスト”を行うよう土門に命じる。
 するとジンクスは、犯人の下足痕は長谷部の匂いとは違うと判断、何者かが長谷部の靴を履いて犯行に及んだ可能性が浮上する。鑑定は間違っていないのにもかかわらず、土門とマリコは冤罪を作りだすところだったのか…!?  がく然とする2人にその後、さらに窮地へと追い込む事態が襲い掛かり…!?

ゲスト:河合我聞 伊藤かずえ 大谷亮介 小宮孝泰

脚本:櫻井武晴
監督:森本浩史
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