英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『平清盛』 第14話「家盛決起」

2012-04-09 18:40:25 | ドラマ・映画
 今回のテーマ(と言って良いのだろうか?)は「それぞれの複雑な心情」

 人の心は背反性があり、複雑である。
 今回は、家盛(大東駿介)を中心に、清盛(松山ケンイチ)、宗子(和久井映見)、忠盛(中井貴一)、時子(深田恭子)の心情が絡み合い、そこに頼長(山本耕史)がつけ込むというストーリー。ところが、それが複雑で、分かりにくい。
 そこで、番組サイトのあらすじの文章から、それぞれの心情や心情を表す行動を拾ってみます。

家盛
・清盛について悩む母・宗子(和久井映見)を見かねた家盛は、祇園事件での兄の行動は嫡男にふさわしくない、自らが平氏の跡継ぎになると宣言
・1149年、忠盛の館に平氏一門が集まっていた席で、家盛自ら、跡を継ぐことへの明確な意思を示した
・自分は棟りょうになりたかったのではなく、ただ母の笑う顔が見たかっただけだと、宗子に告げる

清盛
・家盛の舞を平氏一同がほめたたえていると、頼長が家盛を自邸に招きたいという知らせが入り、一同は驚き喜ぶが、そんな家族の雰囲気に入り込めない。
・(「跡継ぎを家盛に」という皆の声に、)忠盛が口を開かない忠盛を見て、清盛は屋敷を飛び出す。
 【補足】以前は平氏の跡継ぎにはこだわらないという態度を示していたが、やはり面白くないらしい。「平氏の後を継げないと世の中を変えることができない」という思いからの気持ちであり、時子には「自分は清盛の妻で、清盛が平氏を継ぐか継がないか関係なくお慕いする」と励まされていて、「家盛が平氏を継げ」と皆に公言した。

忠盛
・清盛の母・舞子が残した鹿角を大切に持ち続けていたが、舞子が罪なく白河院に殺されたことを忘れないためだと説明
・複雑な胸中を家貞(中村梅雀)にだけ語った
【補足】複雑な胸中……世の中を変えられるのは清盛であるが、家盛が平氏を継ぐ公言し、心の軸が揺れた

宗子
・忠盛に、家盛が哀れだと訴えつつも、すべてを受け入れて妻になったことを改めて語った
・宗子は自分が家盛を追いつめていたことを知り、自らを責める


 個人的には、清盛にはもっと格好良く震わせてもらいたかった。平氏の家督にこだわらず、大きな心で家盛の宣言を受け止めて欲しかった。
 今まで散々、先を考えず行動してきたのに、家を継ぐことに固執するのは格好悪い。過去に、嫡男にこだわりを見せていなかったのだから、器の大きさを見せて欲しかった。

 前話で、忠盛が亡き舞子(吹石一恵)への愛ゆえ、清盛を庇うと宗子は感じており、それを察した家盛が母・宗子のために、自分が平氏を継ぐと決心したような流れだった。自分が継げば、母の実子である自分が平氏を継げば喜ぶし、母を蔑ろにする多々盛への反抗心とも考えられた。
 が、(家盛自身も気がついていなかった?)本心は、ただ、母の笑顔を見たかっただけ。普通の母子として、清盛とも普通の兄弟でいたかったと。

 このあたり、すっきりしないなあ。確かに「母の笑顔を見たい」という気持ちはすっきり理解できる。しかし、前話の母の思いを察して決起した流れから考えると、いきなり原点(母の笑顔)に戻られてもなあ……不自然である。
 さらに、「普通の兄弟でいたかった」というのも、今回の行動に矛盾する。
 まあ、人の心や行動は単純ではないのは認めるが、こうも定まらないのには、疑問を感じてしまう。
 結局、幼き日の木から落ちたエピソードに帰結したかったのだろう。このエピソードは、つい本音を出してしまった母の傷、そして、兄がグレて普通の兄弟でなくなってしまった根源で、ストーリー構成としては練られていると思うが、この無理やりシーンに帰結させたと思えてしまう。


 頼長の行動もそう思わせる一因。
 家盛をそそのかし決起させ、当主となった家盛を取り込めば邪魔な平氏のその力を逆用することができる。そこまではなかなかな姦計。
 しかし、なぜ、それを当の本人に暴露する?このまま、黙って家盛をコントロールする方がことがうまく運ぶし、頭の切れる頼長らしい。
 このことをばらしたのは、家盛にダメージを与え、落馬に繋げたとしか思えない。

 義朝(玉木宏)、由良御前(田中麗奈)の会話もおかしい。
 あれだけひとりラブコメ(ツンデレ)の由良御前がきりっとしっかりした事を言う。母は強しと言うことなのか?
 さらに、義朝は急に鳥羽院への忠義心を口にする。源氏はもともと藤原摂関家とつながりが強かったはずだが……
 ここらあたりも、清盛と義朝が酒を酌み交わすシーンの為のお膳立てのように思える。


 どうも、この大河ドラマ、ストーリーを展開する為、登場人物の行動や心情を強引に動かしてしまうところが多く見受けられる。
 せっかく清盛中心にストーリーに展開されるようになったのに、このようなご都合主義脚本はがっかりである。


 前回あれだけ擁護した信西(阿部サダヲ)は登場しないし、鳥羽院(三上博史)も関わってこない(清盛を擁護させず蟄居状態に追い込む為)。
 さらに、「あんた誰?状態」の経盛(駿河太郎)、教盛(鈴之助)がいきなり現れ、家盛を持ち上げ、忠正(豊原功補)やその他家臣も同調する。先週の忠正の優しさは、その場限りの良い話?

 あと、気になった点は、家盛が清盛に宣言する前に、頼長が家盛をそそのかすという方が、ドラマ的には順当だと思う。今回の場合、兄を押しのけようとしたのは、あくまでも自分の意志なので、頼道に嵌められた感が薄い。

 保元の乱までは、なんとか視聴したいが……

【ストーリー】(番組サイトより)
 祇園事件から釈放された清盛(松山ケンイチ)を待っていたのは、厳しい表情の弟・家盛(大東駿介)だった。清盛について悩む母・宗子(和久井映見)を見かねた家盛は、祇園事件での兄の行動は嫡男にふさわしくない、自らが平氏の跡継ぎになると宣言したのだ。そして家盛は、悪評高い清盛に代わり、賀茂の祭りで舞を奉じるという名誉を得る。
 一方、源氏では為義(小日向文世)と義朝(玉木宏)の間で不和が生じていた。賀茂の祭りで内大臣の頼長(山本耕史)の警固につくという為義に、義朝は自分は鳥羽院(三上博史)に仕える身であると断ったのだ。とりなそうとする由良御前(田中麗奈)の言葉にも義朝は耳をかたむけなかった。
 賀茂神社の祭りの当日、家盛は見事な舞を見せる。その舞を見つめる頼長は、家盛が忠盛(中井貴一)と正妻・宗子の子であるのに清盛におくれをとっていることを聞かされた。
 祭りの後、忠盛の館で家盛の舞を平氏一同がほめたたえていると、頼長が家盛を自邸に招きたいという知らせが入り、一同は驚き喜ぶ。
 そんな家族の雰囲気に入り込めない清盛は、義朝と市場で酒をくみかわしていた。そのふたりの前にみすぼらしい身なりの娘(武井咲)があらわれ、酒を買ってくれという。義朝と清盛はその娘がたぐいまれな美貌であることに驚く。その娘・常盤はのちに源義経の母となり、源氏と平氏に深く関わることになる。
 忠盛は清盛の母・舞子が残した鹿角を大切に持ち続けていたが、そのことを知った宗子は真意を問いただした。舞子が罪なく白河院に殺されたことを忘れないためだと説明する忠盛に、宗子は家盛が哀れだと訴えつつも、すべてを受け入れて妻になったことを改めて語った。
 一方、頼長は家盛を自邸に招き、家盛の舞をほめたたえ、そなたこそ平氏の棟りょうにふさわしいとその気にさせる。そして1148年、家盛は従四位下右馬頭(じゅしいのげうまのかみ)に昇進する。なかば蟄居(ちっきょ)生活を送り、不満顔の清盛に妻・時子(深田恭子)は跡継ぎの座などこだわるなと言う。再び家盛を招いた頼長は、血のつながらない兄・清盛をおしのけて平氏の棟りょうになることを酒に酔わせてそそのかす。
 1149年、忠盛の館に平氏一門が集まっていた。そこに清盛の異母弟、経盛(駿河太郎)、教盛(鈴之助)もやってきた。ふたりは家盛こそが平氏の跡継ぎにふさわしいといい、忠正(豊原功補)もこの場で跡継ぎを決めるよう忠盛に進言。家盛自らも跡を継ぐことへの明確な意思を示した。口を開かない忠盛を見て、清盛は屋敷を飛び出す。その後、忠盛は複雑な胸中を家貞(中村梅雀)にだけ語った。
 頼長邸に招かれた家盛は、頼長が家盛を平氏の棟りょうに推したのは清盛より扱いやすいからであるという意図を聞きショックをうける。翌朝、家盛は宗子に、自分は棟りょうになりたかったのではなく、ただ母の笑う顔が見たかっただけだと告げる。宗子は自分が家盛を追いつめていたことを知り、自らを責める。
 鳥羽院が熊野詣をするにあたり、その警固を平氏は命ぜられた。だが清盛は同行を許されず、家盛がその一行に加わることになった。無事に参詣をすませた帰り道に事件は起こった。馬上の家盛は、通りで遊ぶ幼き兄弟を目にし、仲良かった頃の兄・清盛との記憶をよみがえらせていた。思い出に浸り我を失う中、不覚にも馬から落ちてしまう。家盛の予期せぬ最期だった。
コメント (4)
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