英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『相棒season10』 第15話 「アンテナ」

2012-02-09 22:16:41 | ドラマ・映画
 今回は相原刑事(萩原聖人)が主人公。
 事件の捜査より、引き籠もりの青年?を救おうとする熱血漢の相原刑事に、引っ張り回される特命のふたり。と言っても、右京(水谷豊)の方は、マイペースで相変わらずの細かく深い洞察力(ネットの書き込みから真の目撃情報を見抜くなど)と推理で事件の真相に近づいていったが。
 尊(及川光博)の方は、「捜査の邪魔をするな」と怒りたいのに、逆に相原に「邪魔をするな」と怒鳴られてしまう。相原刑事って、陣川君(原田龍二)より迷惑な奴かもしれない……。
 右京さんも、いつもより優しかった。黙って、青年の父親の言い分も聞いていたし、引き籠もりの青年の心も理解し、諭そうとする。アンテナの例えは、うまいなあ。
 アンテナが過敏に反応したり、ある方向にだけ敏感だったりと、何気なく発した電波(言葉)で傷つけてしまうことって多いかもしれない。
 逆に、KY(空気読めない)ということも、現代ではある程度、必要な能力かもしれない。今回は、目撃者(受験にやや失敗した学生)と犯人(出産後と育児に追われる主婦)のアンテナが過敏だった。青年は本人も覚えていない些細な言葉に、アンテナが反応してしまい、主婦は出産後の過敏なアンテナを察知しない夫が、不用意に電波を発し続けてしまった。
 引き籠もりの青年は、このままではいけないという思いは強かったはずで、相川の熱血さと、右京さんの理解ある言葉にわずかな光を見つけたようだ。犯人逮捕より、引き籠もり解決の方に、心が向いてしまった視聴者は多かったと思う。こういうのも、『相棒』らしい。

 ところで、「世間の目対策」に駆り出された、一課の3人組。まじめに捜査していたのに、コント仕立てが目立った。引き籠もりという深刻なテーマの中で、和みの役割となってしまった。(相川刑事自体も、深刻さは伴わないが)

★一課トリオ、漫才
 急な任務を言い渡されて、ぼやく芹沢(山中崇史)が、捜査に燃える伊丹(川原和久)に対して
芹沢「そりゃ先輩はいいですよ、ノンプライベートだから」
伊丹「誰がノンプライベートじゃ」(芹沢をはたく)
 そこへ、三浦(大谷亮介)が携帯で妻ともめて通話を切られ「とし子っ」と叫ぶ。
伊丹「な、ああやって、家庭を壊す人もいるんだ、それに比べたらお前…」
三浦「まだ壊れてねえぞ!」
芹沢「まだって言うところが、何とも香ばしいですね」
三浦「喧しいわ、お前!…行くぞぉ」(芹沢をはたく)

★一課トリオ+特命トリオ? 合同漫才
相原「どうしても、と言うのなら、ぼくも一緒にここにいます」(と言って捜査一課トリオの車に強引に乗り込む)
伊丹「どうしてもなんて、頼んでねえよ」
 それを拒もうとする捜査一課トリオに対して、尊がそのまま相原を押しつけて去ろうとしたが
右京「いえ、キミ(尊)も一緒にここに残ってください」
一同「ええっ?」
右京「彼(相原)はここに残ると言い張るでしょう」
相原「言い張ります!」
右京「その場合、彼だけここに残していくのと、うちの神部君もここに残していくのと、どちらがよろしいですか?」
伊丹「何の二択ですか」
芹沢「あ、でも、でも、先輩。この不安定な人だけ残されるよりは……」
尊 「ちょっと、杉下さん、僕にも意思と言うものが…」
右京「どうやら結論は出たようです」
尊 「いつだよ~?」
右京「神部君、お願いしますよ」(立ち去る)
 詭弁の二択…


【ストーリー】(番組サイトより)
千束署の刑事・相原(萩原聖人)が突然米沢(六角精児)を訪ねてきた。
相原は、かつて米沢と組んで、警察の天下り先でもある青少年防犯協会の横領事件を解決した熱血刑事。(映画「鑑識・米沢守の事件簿」2009年公開 より)
千束署管内で起こった連続通り魔事件で採取された繊維片を警視庁本部で詳しく分析してほしいというのだが、所轄の鑑識で調べたのなら結果は同じだといって断る米沢。
懇願する相原から米沢が逃げようとしていたところ、以前米沢から噂にきいていた敬愛する刑事・右京(水谷豊)と遭遇。
"頼まれたらなんでもやってくれるんですよね?"と右京に詰め寄る。
訊けば相原は千束署の捜査本部を外された上、謹慎中の身だという。
尊(及川光博)はそんな熱すぎる相原の行動に辟易。
右京と尊、そして相原の3人で連続通り魔事件の捜査することになるのだが…。


ゲスト:萩原聖人
脚本:櫻井武晴 監督:和泉聖治
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『ストロベリーナイト』 第5話「過ぎた正義2」

2012-02-09 17:21:48 | ドラマ・映画
 惜しい……いいテーマ、良い内容なのに、主人公・玲子(竹内結子)の言動に共感できないことが多い。残念。
 深い内容で、考えさせられる台詞が多い。長くなりそうなので、一番の主題だと思われる台詞から考えてみたい。

「早く楽になろうなんて、しないでくださいね。
苦しんで、苦しんで……カラカラになるまで苦しみ抜いてから死んでもらわないと、つじつまが合いませんから」


 玲子がこの言葉を倉田修二(杉本哲太)に発した真意
①自分(倉田修二)の信念を曲げず、息子(倉田英樹)を死に追いやったことが許せなかった。
 ここまでの玲子の直情型の言動からの怒りを込めた言葉というのが第一印象。親なのに息子を信じず、受けとめず、死に追いやってしまった、その罪は単なる死だけでは購(あがな)えない。それに、倉田が処刑?した3人の件も立件して、その罪も償ってもらう。3人、息子を含めると4人を死に追いやった倉田なので、簡単に死んでは釣り合わないという考え。
 それにしても、息子の死に対する自責と悲しみに打ちひしがれている倉田に、そこまで言うのかと思った。

②「生き続けろ」という倉田へのメッセージ
 これは、私の考えではなく、『トリ猫家族』のきこりさんの記事「「ストロベリーナイト」 第五話 過ぎた正義 その2 選ばれた殺意」を引用させて頂きます。
 玲子から倉田への、この言葉は、「生き続けろ」ということ。
辛くても、苦しくても、どぶの中を這いずるように生き続けろ。
親として大きな間違いを犯してしまった倉田に、その罪の中から這い上がって生き抜け。
「どんな間違いを犯しても、必ずやり直すことができる」
それを証明することが、倉田の親としての償いであり愛情であると、玲子は思ったのではないでしょうか。


 これを拝見して、≪なるほど、そうだったのか≫と「目からウ○コ」が落ちた(伏せ字にしましたが、深い意味はありません。「ロ」を入れた方はいたって正常です。「ン」を連想した方は、私と感覚が似ていて、ある意味正常です)
 とにかく、大いに共感したわけですが、ひねくれ者の私、もう少し捻ってみました。冒頭にも述べたように、玲子の言動には共感できないところが多く、玲子がこんなに優しいはずがないと思ってしまう。(玲子の言動については、後述)そこで、次のように考えました。

③「殺人には死を持って購う」という倉田の信念への反駁
 死刑が一番重い刑ではなく、生きて苦しむことこそ償いになるという考え。


 で、「どれなんだ?」と問われそうですが、①②③すべてを含めた玲子の言葉というのが結論。(「何だよ、逃げたな!」という突っ込みは甘んじて受けます)


 ただ、ラストの玲子の言葉、
「どんな間違いを犯しても、必ずやり直すことができる。あたしは、そんな人の力を信じてる」
 を考慮すると、きこりさんのおっしゃる②番、話を通じて、そして、倉田にその言葉を言った時の玲子の表情の印象だと①に思えます。

【きこりさんから、補足説明をいただきましたので、ご紹介します】

私は、玲子が優しさから倉田に言った訳ではないと思います。
たしかに「生き続けろ」というメッセージだと思いますが、あの言葉は玲子の本能から出た言葉ではないかと。
倉田は英樹が自殺すると知っていながら放置した。
そして、自分も玲子に見つからなければ死んでいたのかもしれない。
殺人犯たちに対しても『死』の制裁を与えてきた(多分)。
玲子はその、『死』で全てをチャラにするという考え方が許せないんじゃないでしょうか。
間違いを犯すのが人間(救いようのない人間、倉田に殺された3人のような奴もいますが)、どん底まで落ちて、それでも生きようとする人間の姿に、かつて死を考えた玲子もすがりたいのかもしれません。


 なるほどです。深い考察、感服しました。



 今回、この言葉以外にも、考えさせられる言葉が多かった。
「正義?馬鹿なことを言うな。殺しに正義もクソもあるか。あるのは選択だ。殺すという方法をとるか、とらないのか、それだけだ。
 人が人を殺す理由と、殺そうとする気持は全く別のところにあるということだ。人を殺すに値する理由などこの世にひとつもない。
 逆に言えば、どんな些細な理由でも、人は人を殺すということだ。そこにあるのは、たった一つ、選択の機会にすぎない」


 倉田自身、殺すに値する理由はないと断言し、殺そうという気持ちが生じ、その行為を「選択」するかどうかであると。
 倉田自身は、3人を殺したのは「処刑」という意志ではなく、復讐に似た気持ちだったのだろう。だから、前回、玲子が倉田に「あなたは純粋な正義のためだけに、3人を殺したんじゃない」と言ったことは正解に近い。
 しかし、「自分を追い詰めるために3人を殺した。息子の倉田英樹に自分の手で罰を与える決心が鈍らないように」と言ったのは、どうなのか?
 倉田は更生しなかった3人だけ手を下している。自分を追い込むための方が、主要な理由とは思えない。純粋な正義ではないとは思うが、息子が殺人を犯し、妻が殺されたやり場のない怒りのためではなかったのだろうか?


「人はな、一度殺してしまったら、もうだめなんだ。再犯の可能性が高いかどうかは断言できん。
 だが、殺意は膨らんだまま心に残る。ひとつの大きな選択肢として魂の中に居座り続ける。そんな心に爆弾を抱えた息子を俺は世に放つことはできん。
 これが俺の、元刑事としての最後の理性だ」


 これに対し、玲子は
「殺意が危険なのは、それを犯してしまった人間に限ったことじゃない。でも、大半の人間が殺意を抑え込んで生きている」
 と反論。

 でも、倉田の言葉は理解できる。人の心には「殺人は駄目」という前提(壁)がある。しかし、一度その壁を破って殺人を犯してしまったものは、更生しその壁を修復したとしても、その壁は薄く、過去に壊してしまったという気持ちから、壁を壊してはいけないと言うブレーキも弱くなるような気がする。
 玲子もそれを理解した上で、ラストの言葉「どんな間違いを犯しても、必ずやり直すことができる。あたしは、そんな人の力を信じてる」
 を言っているのだと思う。


 深い内容の話であったが、
疑問や不満を感じる玲子の言動もあった。
Ⅰ.ガンテツの「無駄死にだ」という言葉を心に刻むべき
 倉田の息子・英樹(石黒英雄)が殺人を犯した理由を、検証・捜査すべきだった。倉田の息子が簡単に殺人を犯すとは考えにくいし、刑務所通いするくらいなら、まず、その事件を掘り下げるべきだった。
 さらに、あんな危うい状況の倉田親子を放置するのはどうだったのか?もちろん、あの場面、息子が父と帰ることを選択してしまったのだから、どうすることもできなかったのかもしれない。

Ⅱ.あの言葉はないでしょう
「親が無償の愛って嘘だよね。親だって人間だもん。どろどろした感情で子どもが憎いってことあるんじゃないのかな。お母さんもさぁ、(あのレイプ事件があって)私がいなくなったらって思ったことあるでしょ?」
 まあ、私自身、親の無償の愛なんて、到底、無理です。≪面倒くさいなあ≫などと、心の中で、しょっちゅう呟いています。しかし、一般的には、親の愛と言うのは、無性に近いものであると思いたいです。どろどろした感情で、子どもが憎いなんて、よっぽどのことだ。
 特に、最後の「私がいなくなったらって思ったことあるでしょ?」なんて言うのは最低だ。それから、「親だって壊れる。親だから壊れる」という台詞もあったが、親だから壊れるというのは否定しない(どちらかと言えば肯定)が、玲子に言われたくないなあ。
 子どもとの話し合いが上手くいった石倉刑事(宇梶剛士)に対して、「保さんのお嬢さんは保さんがパパで幸せねえ。どんなことがあっても、子どもに死んでほしいなんて思わないでしょ」……きついねえ。
 玲子のキャラクターと言ってしまえばそれまでだが、先の言葉を吐く玲子と、「どんな間違いを犯しても、必ずやり直すことができる。あたしは、そんな人の力を信じてる」と言った玲子のイメージが一致しない。ガンテツに「玲子と倉田が同じ」と言われたことを、気にしていたとしても。

Ⅲ.何故、断言できる?
 3人の変死は、倉田の犯行と断言する玲子。証拠は挙げられず、結局、いつもの勘。それに従う姫川班のメンバーは偉い。

Ⅳ.息子の殺人を犯した真相をつらつらと倉田に語る玲子だが
 確かに、息子を信じる事が出来なかった、そして、許すことができなかった倉田に責任があると思うが、息子が自ら命を絶ってしまってから、真相を倉田に告げ、責め立てる玲子であるが、遅過ぎ!


☆その他の突っ込み
 銃口を口に突っ込まれても、改心しなかった山辺もある意味強者(つわもの)



【ストーリー】(番組サイトより)
姫川玲子(竹内結子)は、一連の不審死に元警部補の倉田修二(杉本哲太)が関与していることを確信。さらに倉田は恋人を殺害して服役中の息子、英樹(石黒英雄)が出所したら、彼をも殺そうとしているのではないかと危惧する。倉田の勤め先を訪ねた玲子は、英樹は自分が守ると宣言した。

玲子は今泉春男係長(高嶋政宏)に、一連の不審死を再捜査させて欲しいと頼む。このままでは倉田が英樹まで殺しかねないと迫る玲子に、今泉は証拠をつかんでくることを条件に了承する。

姫川班の必死の捜査にも関わらず、証拠は挙らない。消沈する玲子を今泉は飲みに誘う。そこは、かつて今泉が倉田と飲みに来た場所だった。倉田の犯行を疑う今泉。玲子は倉田が英樹を殺して自分も死ぬことだけを目的に今を生きていると話す。


母親の遺言があるという玲子に、英樹が初めて面会に応じた。遺言とは今泉が倉田の亡き妻に聞いたもので、英樹の犯行にはよほどのことがあったに違いないというもの。母親は信じていたという玲子の訴えにも、英樹の反応は冷たかった。

空しさに苛まれる玲子は英樹が殺害した恋人、嶋田彩香(皆川玲奈)の家を訪ねる。応対した母親の澄子(渡辺杉枝)は、最近になって気がついたと彩香の携帯電話を見せてくれた。そこには石澤琢斗からストーカーまがいの行為を受けているとのメールが残されている。

彩香の友人からの証言も得た玲子は捜査一課に戻って班のメンバーに報告。その時、英樹の釈放が早まったとの報を受け、玲子は琢斗の捜査を班員に任せて少年刑務所へと急ぐ。


玲子が到着したのは、ちょうど英樹が出て来た時だった。倉田もやって来る。英樹は自分が連れ帰ると玲子が主張。しかし、英樹は倉田とともに帰ると刑務所を後にした。

2人を見送った玲子も刑務所を去る。駅に向かう玲子に菊田和男(西島秀俊)から連絡が入った。琢斗が彩香へのストーカー行為と暴行したことまで認めたと言うのだ。玲子はタクシーに乗り込み、倉田の自宅へと急ぐ。

玲子の到着は一足遅かった。すでに英樹は自殺してしまっていた。玲子は倉田に英樹の事件を調べたのかと迫る。そして、推測の域は出ないが琢斗に暴行された彩香が英樹に殺して欲しいと頼んだのではないかと訴えた。愕然とする倉田に、早く楽になろうと思うなと玲子は吐き捨てた。
コメント (4)
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