小中学生将棋王位戦が行われ、教え子の応援に会場に行きました。
……なんと、山崎七段がいらっしゃるではありませんか!
明日(12日)に指導将棋会があるのは知っていましたが、今日も来られていたとは!
早速、彼に擦り寄って(笑)、お話しする機会をうかがいました。午後からの指導将棋でコの字型の配置された場にスタンバッていらっしゃったので、ここぞとばかり、声を掛けました。
「娘が山崎先生のファンなんですよ」
嘘ではありません。娘は将棋を指せませんが、棋士は幾人か知っています。羽生二冠、丸山九段(「将棋界の一番長い日」のカロリーメイト事件?、冷えピタシート事件?を目撃)、佐藤九段(同じく対木村八段戦の必死の形相に感動)、橋本八段(テレビ対局でカメラ目線)など棋界通?です。
山崎七段については、私の『将棋世界』での表紙かグラビアで目撃し、「あ、この人いい」と言っていました。山崎七段とは九歳下ですが、許容範囲です。何とか捕まえて、ただで将棋を教えてもらえる関係になって欲しいものです。
山崎七段とは10分ぐらいお話できましたが、気さくで面白くて素敵な方でした。スタイルも性格もスマートで、何故独身なんだろう。本人は否定していましたが、モテモテで一人に絞られない状況なのでしょう。
一番の印象に残ったのは、彼の優しさです。午前中も対局の相手待ちの少年を見つけては、大体の棋力を尋ねて、棋力に見合った詰将棋を出題して、丁寧に解説していました。
指導対局においても、下手の攻めを素直に受けます。私みたいにいやらしい指し方はせず、上手陣を突破させます。その間、位を張ったりなどして、下手陣に多少のプレッシャーを掛けつつ、玉の厚み(広さ)を築きます。その指し手は駒の本筋の使い方のお手本を感じさせるもので、紛れさせるというようなものではありません。とにかく、下手の力を引き出す指し方をします。
大体2手違いの負けになるくらいで指している感じで、易しい次の一手というか、将棋の本筋を問う局面、ポイントとなる局面に誘導します。
また、子どもが残念な手を指すと、タイムスリップ(待った)を許します。やさしいです。
今日は私の教え子も参加、リーグ戦では6勝2敗で上位2名に入れず(3位)、決勝トーナメントには進めませんでした。上位2名とはまだ力の差はありますが、悪くなってからあきらめずに指して、勝負形に持ち込めたのは収穫でした。
彼も指導将棋を受けました。手合いは4枚落ち(山崎七段は6面指し)。
(1四の駒は「成香」です)
かなり紛れてきており、大きなミスは許されなくなっています。大健闘とも言えますが、実は2回ほどタイムスリップさせていただいています。
山崎七段が△5五角と龍銀両取りを掛けたところ。一見、下手陣は詰めろが掛かったように見えますが、△2八銀には一旦▲同銀と取れば、△同角成▲4八玉で大丈夫。とは言え、普通に龍が逃げては、△3七角成とされて勝てない。(△3七角成に▲4八金直と頑張る手はあるが、勝てない)
ここで彼の指した手は▲3四歩。これは将棋が分かり始めた頃に指したくなる手で、気持ちはいいけれど上部に玉を逃がしてしまう危険な手で、以下△3四同玉▲2四金△3五玉(失敗図)と進むと、
打ち歩詰となり続かず、龍銀取りが残り、負け。途中△3四同玉に▲3六歩と指せば下手の勝ちだとは思うが、この手が指せれば4枚落ちの手合いではない。
ここで、再び、タイムスリップ。「玉は下段に落とすのがいいんだよ」とやさしくアドバイス。そのアドバイスに従い、第1図以下▲2四金△3二玉▲2三成香△4一玉(第2図)と進む。(第1図以下▲2四金△3二玉に▲5二龍でも下手勝ち)
玉を下段に落とし、あと一歩の局面。しかし、依然龍銀取りが残っている。形は▲4三銀成だが、龍を抜かれてしまう。ここで、彼の指し手は▲4三成銀!……やはり、龍取りをうっかりしていた。
指した後、彼も気づいたが、そのまま山崎七段が来るのを待つ。
山崎七段「おっ、これは良い…、あ、でも……」
そこで、私が堪らず、「彼も指した後、気がついたんですが、着手してしまったので、そのままにしたのです(多分、山崎七段は許してくれる)」
山崎七段も「ふふ、その気持ちに免じて、チャンスをあげましょう」
龍取りに気づけば、王手でそれをかわし、何かの時に金を取る▲7一龍の発見は容易で、▲7一龍以下△5一桂▲4三銀成と進む。ここで山崎七段の△2一銀(第3図)がしぶとい受け。ご本人も「ここまでしなくても」と小声で。
普通に△3一歩(銀)では▲3二歩で受けなしとなってしまう。
彼は筋と▲3三歩と垂らすが、ここは▲3二歩のほうが良い(▲3三成香でもよい)。実戦の▲3三歩には△3一歩(第4図)と受けられて、はっきりしない。
第4図では、歩が2枚あるので▲3二歩成△同歩▲3三歩△同歩▲3二歩という手筋も成り立つが、できればそこは触りたくない。
▲7四龍と金を取る手もあるが△4三桂と成銀を抜かれるとややこしい。
正解は▲6一龍(勝利図)
これで受けがない。同じようでも▲6二龍(こちらの方が自然)だと、やはり△4三桂と銀を取られてしまう。
というわけで、ようやく勝利。
山崎七段、ありがとうございました。
「玉は下段に落とせ」と、口がすっぱくなるほど言っているのになあ。
……なんと、山崎七段がいらっしゃるではありませんか!
明日(12日)に指導将棋会があるのは知っていましたが、今日も来られていたとは!
早速、彼に擦り寄って(笑)、お話しする機会をうかがいました。午後からの指導将棋でコの字型の配置された場にスタンバッていらっしゃったので、ここぞとばかり、声を掛けました。
「娘が山崎先生のファンなんですよ」
嘘ではありません。娘は将棋を指せませんが、棋士は幾人か知っています。羽生二冠、丸山九段(「将棋界の一番長い日」のカロリーメイト事件?、冷えピタシート事件?を目撃)、佐藤九段(同じく対木村八段戦の必死の形相に感動)、橋本八段(テレビ対局でカメラ目線)など棋界通?です。
山崎七段については、私の『将棋世界』での表紙かグラビアで目撃し、「あ、この人いい」と言っていました。山崎七段とは九歳下ですが、許容範囲です。何とか捕まえて、ただで将棋を教えてもらえる関係になって欲しいものです。
山崎七段とは10分ぐらいお話できましたが、気さくで面白くて素敵な方でした。スタイルも性格もスマートで、何故独身なんだろう。本人は否定していましたが、モテモテで一人に絞られない状況なのでしょう。
一番の印象に残ったのは、彼の優しさです。午前中も対局の相手待ちの少年を見つけては、大体の棋力を尋ねて、棋力に見合った詰将棋を出題して、丁寧に解説していました。
指導対局においても、下手の攻めを素直に受けます。私みたいにいやらしい指し方はせず、上手陣を突破させます。その間、位を張ったりなどして、下手陣に多少のプレッシャーを掛けつつ、玉の厚み(広さ)を築きます。その指し手は駒の本筋の使い方のお手本を感じさせるもので、紛れさせるというようなものではありません。とにかく、下手の力を引き出す指し方をします。
大体2手違いの負けになるくらいで指している感じで、易しい次の一手というか、将棋の本筋を問う局面、ポイントとなる局面に誘導します。
また、子どもが残念な手を指すと、タイムスリップ(待った)を許します。やさしいです。
今日は私の教え子も参加、リーグ戦では6勝2敗で上位2名に入れず(3位)、決勝トーナメントには進めませんでした。上位2名とはまだ力の差はありますが、悪くなってからあきらめずに指して、勝負形に持ち込めたのは収穫でした。
彼も指導将棋を受けました。手合いは4枚落ち(山崎七段は6面指し)。
(1四の駒は「成香」です)
かなり紛れてきており、大きなミスは許されなくなっています。大健闘とも言えますが、実は2回ほどタイムスリップさせていただいています。
山崎七段が△5五角と龍銀両取りを掛けたところ。一見、下手陣は詰めろが掛かったように見えますが、△2八銀には一旦▲同銀と取れば、△同角成▲4八玉で大丈夫。とは言え、普通に龍が逃げては、△3七角成とされて勝てない。(△3七角成に▲4八金直と頑張る手はあるが、勝てない)
ここで彼の指した手は▲3四歩。これは将棋が分かり始めた頃に指したくなる手で、気持ちはいいけれど上部に玉を逃がしてしまう危険な手で、以下△3四同玉▲2四金△3五玉(失敗図)と進むと、
打ち歩詰となり続かず、龍銀取りが残り、負け。途中△3四同玉に▲3六歩と指せば下手の勝ちだとは思うが、この手が指せれば4枚落ちの手合いではない。
ここで、再び、タイムスリップ。「玉は下段に落とすのがいいんだよ」とやさしくアドバイス。そのアドバイスに従い、第1図以下▲2四金△3二玉▲2三成香△4一玉(第2図)と進む。(第1図以下▲2四金△3二玉に▲5二龍でも下手勝ち)
玉を下段に落とし、あと一歩の局面。しかし、依然龍銀取りが残っている。形は▲4三銀成だが、龍を抜かれてしまう。ここで、彼の指し手は▲4三成銀!……やはり、龍取りをうっかりしていた。
指した後、彼も気づいたが、そのまま山崎七段が来るのを待つ。
山崎七段「おっ、これは良い…、あ、でも……」
そこで、私が堪らず、「彼も指した後、気がついたんですが、着手してしまったので、そのままにしたのです(多分、山崎七段は許してくれる)」
山崎七段も「ふふ、その気持ちに免じて、チャンスをあげましょう」
龍取りに気づけば、王手でそれをかわし、何かの時に金を取る▲7一龍の発見は容易で、▲7一龍以下△5一桂▲4三銀成と進む。ここで山崎七段の△2一銀(第3図)がしぶとい受け。ご本人も「ここまでしなくても」と小声で。
普通に△3一歩(銀)では▲3二歩で受けなしとなってしまう。
彼は筋と▲3三歩と垂らすが、ここは▲3二歩のほうが良い(▲3三成香でもよい)。実戦の▲3三歩には△3一歩(第4図)と受けられて、はっきりしない。
第4図では、歩が2枚あるので▲3二歩成△同歩▲3三歩△同歩▲3二歩という手筋も成り立つが、できればそこは触りたくない。
▲7四龍と金を取る手もあるが△4三桂と成銀を抜かれるとややこしい。
正解は▲6一龍(勝利図)
これで受けがない。同じようでも▲6二龍(こちらの方が自然)だと、やはり△4三桂と銀を取られてしまう。
というわけで、ようやく勝利。
山崎七段、ありがとうございました。
「玉は下段に落とせ」と、口がすっぱくなるほど言っているのになあ。