英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

情熱大陸

2008-12-29 22:57:33 | ドキュメント
 『情熱大陸extra(棋士)』を観る。
 正直言うと、残念な内容でした。

 確かに、密着して取材していました。しかし、せっかく密着したのに、それを深く掘り下げていない感じました。何か上っ面だけをなぞっただけの感があります。
昨年の佐藤二冠王の時のほうが遥かに面白かったです。
 原因は、羽生名人3連勝した時点で、『羽生、永世七冠制覇』というテーマで番組作りや編集・演出を進めたはずで、渡辺竜王3連勝の時点、あるいは2連勝の時点で、方針を変更せざるを得なかったことが、大きな要因であると考えられます。それに付随して、最終局までもつれ込んだため、七局に及んでしまい、それらをすべて盛り込もうとしたため、一局一局が希薄なものになってしまいました。
 もう一つの原因は、今回は羽生名人、渡辺竜王、どちらが勝っても永世竜王の資格を獲得するので、焦点を一人に絞ることができなかったことも、浅くなってしまった原因でしょう。

 その結果、全体的に中途半端になってしまいました。例えば、タレントのつるの剛士氏を起用したこと。はっきり言うと、余計な登用で、その分を対局に時間を割いて欲しかったです。将棋にあまり興味がない人の興味を引くための起用とかもしれません。
 楽天の野村監督の起用も中途半端で、知将の野村監督の勝負観と将棋を結びつける狙いだと思われますが、あの程度の掘り下げ方なら、もっと対局の周辺に焦点を絞って欲しかったです。

★もっと掘り下げて欲しかった点
①第一局、渡辺竜王の将棋観や自信を木っ端微塵に粉砕した羽生名人の大局観と、驚愕する周囲の反応
②第四局、何度も諦めかけた渡辺竜王の心境
③第七局、何も解説いらないから、終局直前の30分ぐらいの映像の10分間ぐらいのダイジェスト映像

 とにかく、ぎりぎりの勝負、その両者の息遣いがあまり感じることができなかったのが残念です。

 あと、これは賛否両論あると思いますが、

④第三局に敗れた渡辺竜王が、逃げるように宿を去っていったのを、ホームまで追っかけカメラとマイクを向けたこと
⑤羽生名人に「今回の竜王戦、なんで渡辺さんは勝てたんですか?」と尋ねたこと

 ④については、ここまで追及しなくてもいいんじゃないかと思いました。ドキュメント的にはおいしいシーンかもしれませんが、人としてどうなのかと思いました(仕事だから当然という考え方もありますが)。それと、勝負に影響するような取材はやめて欲しいです。
 ⑤は、愚問でしょう。突っ込んだ取材をするという姿勢は買いますが、突っ込みどころが違っているでしょう。
 「私が弱かったからです」と答える騎士もいると思いますが、羽生名人は「それは私に聞かれても分からないんで、渡辺さんに聞いてください」とさわやかに笑いながら答えていたのが、羽生名人らしいと思いましたが、そのあと、映像が切れる前、一瞬、羽生名人が悔しそうな怒っているような目をしていたと感じたのは、私の考えすぎでしょうか?
コメント (3)
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