英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

竜王戦第七局③

2008-12-23 22:17:39 | 将棋

 第6図より、▲9二と△6五銀▲5五銀△7六銀▲6三歩成△同金▲6四銀(飛車取り)△6二飛▲5二香成(第7図)と進む。

 この局面では、①△6七銀成、②△8七歩成、③△5二同飛が有力。
 控え室の研究では①②は先手優勢。③は先手良し、後手良し、互角と評価が分かれていたが、先手良しに傾きつつあった。渡辺竜王は▲5二香成をうっかりしていたそうだ。

 渡辺竜王は③の△5二同飛を選択し、以下▲6三銀不成△5一飛(第8図)と進む。

 ここでA▲5二金とB▲2三歩が有力とされ、どちらも先手良しらしい。
 Aは筋が悪いが、とにかく飛車筋を止めながら飛車をいじめれば良いという手。後手が攻めあいにくるなら先手の手勝ちだが、飛車を見捨てて△2二玉と玉を安定させ粘られる手が先手としては嫌味。
 Bは後手玉を狭めて、後手の粘りを許さない手だ。ただ、後手の飛車筋が通っていて危険を伴う。

 結論は若干Aの方がよかったらしい。羽生名人は慎重に読んでBの▲2三歩を着手。ただ、もちろんこれでも先手良しは変わらない。ただ、そこでの△4二金(第9図)が粘り強い指し手だった。一見、2二への利きを減らして損のようだが、先手からの打ち込む駒を金に限定している(▲2二銀には△3二玉とできる)。また、先手からの▲5二金を防いでいる。

 先手からすると▲2三歩を咎められた気がするのではないだろうか。もう▲5二金は打てないし。
▲2三歩に1時間近く考えたにもかかわらず、再び長考に沈む羽生名人。
 45分ほど考えて、▲6二金。飛車さえ取ってしまえば安全になるという発想だが、飛車筋は通ったままだし、大丈夫なの?
 △6七銀成▲同金に△5八金や△7八金▲同玉△5八飛成の筋が気になるが、それは大丈夫らしい。▲6二金に△5三飛なら▲5四歩で良い。
 BS中継解説の藤井九段と淡路九段がいろいろ考えて、「▲6二金が決め手かも」と言ったので、ほっとした途端、△6五香!(第10図)。

 次に△6七銀成が厳しいので▲6六歩と受ける一手。そこで、△5三飛と逃げられてみると、5四に打つ歩がない。これを先に△5三飛と手順前後すると▲5四歩に△6五香と打っても▲5三歩成で先手の勝ちになる。
 △5三飛に▲6五歩と香を取っても、△8七歩成が厳しく、そこで▲5四香には金2枚取られ、6三にも銀の質駒があるので、先手勝てそうにない(実際は先手が残っているらしい)

 「変調ですね」(淡路九段)
 「こんなことなら、先ほど▲2三歩のところで▲5二金と打ったほうがよかった」(藤井九段)
 「これはちょっと変でしょう」
 「ここ(6二)に金を打つくらいなら、こっち(5二)に打ったほうが(良かった)」

 おいおい、「▲6二金は決め手かも」と言ったところやんか!
 もちろん、大盤での解説は大変なので、両九段を責めるところではないが、羽生ファンとしては「え~、そんなあ!」と叫びたくなる。

 戻って▲6二金では▲6四角が正着で、以下△5三香▲5四歩で先手が良いとのこと。
コメント (2)
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