さんぽ道から

散歩中の雑感・モノローグを書いてみました

今の若人はどうやって伴侶となる相手の性格を知るんだろう・・・

2016-06-26 06:05:34 | 抜き書き


<「筆跡学が世間から胡散習く思われているのは確かだが、どんな学問もそうであるように、専門家と信奉者がいる。実際は世界で最も古い学問のひとつで、数千年前に中国で始まった。それに現代の良心的な鑑定家は、解釈の信頼性を維持するために厳格な基準を設けている。フランスの筆跡学者が提唱した“三つのルール”がそれだ。妥当な解釈と見なせるには、同じ人格的特性を示す個所を三つ指摘しなけらばならない。ひとつではだめだ・・・・・わたしたちは子供のころ、学校で字の書き方を教わる。ここアメリカでは――ニューヨークではまず間違いなく――手本を何度もまねて書かせるパーマー法で教わるのが一般的だ。ところが、同じ手本を使って覚えたにもかかわらず、大人になっても子供のころと同じ筆跡を保っている者は一人もいない・・・・・筆跡学者に言わせると、人の個性はその人が成長するにつれて筆跡にあらわれる。なぜなら筆跡というものはもともと表出的なものだからだ。つまり、顔の表情を読み取るように筆跡も読み取れる。女性の涙が悲しみを、子供の笑みが純粋な幸せをあらわすように、記号としての役割をはたしている」「つまりこう理解すればいいのかな」アリステアが確認のために言った。「筆跡学は、われわれの人格的特性に加えてそのときどきの感情も筆跡にあらわれると考える」「そういうことだ」ヴォルマン博士はきっぱりと答えた。「筆跡学者は私が偽造文書を調べる時と同じ指標を用いて筆跡を調べる――文字の形態、間隔、筆圧、筆勢、傾き具合。ただし、一致を指摘するだけでなくそこに解釈を加える・・・・・犯人は筆跡を隠そうとして、字を左に傾かせて手紙を書きはじめている。ところが最後のあたりでは本来の書き方に戻り、最初の頃より強い筆圧で右に傾いた字を書いている。彼の手紙をさっきの“三つのルール”に従って調べたところ、並はずれて激しやすい、あるいはエネルギッシュな人間であることを示す箇所が三つ見つかった・・・・・攻撃性を示す箇所がいくつか見られる。たとえばg、p、yの書き方だが、線を下向きに引くときはそれまでより力を加えている。楕円がきちんと閉じられているのは、彼が孤独好きで自分の秘密を守るのがうまい人間であることを示している・・・・・彼が語と語、文と文のあいだと同じように、字と字のあいだも間隔を置いているのがわかるかな?これは彼が全く異なる、相反する性格特性を持ち合わせていることを示している。彼はある人間にとって忠実な友かもしれないが、別の人間にとっては陰険なやり方で陥れようとする敵かもしれない・・・・・彼は実務家タイプの人間だ。lとbの短い縦線にその性向があらわれている。・・・・・きみのlとbの長い縦線はあらゆる知識を吸収したいという欲求を示してる」>ステファニー・ピントフ七搦理美子訳「ピグマリオンの冷笑」P338~340より

この刑事事件小説は二十世紀初頭のニューヨーク市を舞台に繰り広げられていて、筆跡学なる学が今でもあるかどうかはわからないが、筆跡に関するところは、現代にも通じるとこらがあるのかなーと 抜き出してみた…

筆跡から個性や感情を読み取れる。字の形、間隔、筆圧、筆勢、傾き具合などに同じ特徴が三つ以上見つかると確かでしょう。並外れて激しやすい人、エネルギッシュな人、孤独好きで秘密を守るのがうまい人、全く異なる性格を併せ持つ人、あらゆる知識を吸収したいという欲求を持つ人 などが分かる、としている箇所は、漢字やひらがなにも適用できるのではと、
興味を引いた。

ただ今は滅多に直筆の手紙やあいさつ文にはお目にかかれない。字が汚い、読めないと報告書を投げ返される社員もいないだろう。賀状も直筆物は稀で、今年もよろしくお願いしますだけでは、三つのルールも適用できない時代(プライバシー保護の時代?)では…

唯一(?)、フォーム指定の履歴書には、ワープロを今もって持っている方を除いては、手書きでしょ? 学生さん!面接同様の注意をもって書きましょう…
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