<・・・・・ハイランドに入ると、新しいハリウッドが生まれようとしている場所を目にした。新しいホテル――時間単位で料金が定まっているタイプのホテルではない――や劇場があり、人々をつなぎとめる最先端のレストラン・チェーンがある多目的センターができていた。道路も歩道も混みあっており、歩道に埋めこまれていた真鍮の星は、きれいに磨かれていた。以前より安全で清潔な場所だったが、作り物めいた感じが増していた。それでも、私の頭に浮かんだ言葉は、「希望」だった。希望と活力感がある。通りからは明白な雰囲気が発せられており、わたしはそれを気に入ったと思う。ここのコンセプトは、その雰囲気がこの核となるエリアから広がって、地震波のように大通りを移動していき、再活性化と再投資を促すというものだ、と私は知っていた。>マイクル・コナリー古沢嘉通訳「暗く聖なる夜」下P142~143より
ハリウッドの天候はいいし、道路は広い。映画スター見たさのお上りさんも多いところだから、ちょっとした人気店が出来るとその周りはあっという間に再投資や再開発で、更に集客力が高まり、街の新陳代謝が早まるのでしょう。新陳代謝が希望や活力の大元なのでしょう。
日本では市街地の空洞化が進んでいるという。駐車スペースの確保が必要な自動車社会の到来、交通網や通行量の変化、大型ショッピングモール・量販店・ネット通販の興隆、個人商店街の複雑な土地建物の権利関係、道路拡張や街の再整備に消極的な行政、(商売で失敗した)弱者にやさしい(現状維持の)司法と行政、円高による会社や下請けの海外移転、少子化や人口減、東京への一極集中化 等が空洞化の原因といわれている。
最近ではこの東京のちょっとした街でも廃れ始めている。都市問題は深刻だ。
解決策は、時代の流れでもあり、日本の消極的な行政でもあり、難しいが、解決するキーは、空洞化を進めた原因の対策と街の一番いいところに、中心街に老人ホーム(オランダ流)や保育施設を設けることでしょう(老人は増えるし、少子化には国家予算がついてくる・・・)。
ただキーの中のキーは、マイクル・コナリー氏も書いているように、安全で清潔な場所づくりでしょう。安全で清潔な住居・環境づくりは日本人が最も得意としたところ。あとは役所がやる気を起こせばいいような(黒沢監督の‘生きる'に出てくる小役人が増えれば可能性大ということですが・・・)。