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<「いいかね、アメリカ人と言ってもさまざまだ」ストーンは言った。ある者は、ウェイコでやったように、女性や子供でいっぱいの施設に焼夷弾を落とすのを正当と考える。ある者は、自分たちがわれわれの社会の倫理観を体現していると考え、それゆえに過ちを犯すはずはないと思っている。彼らは自分の行動に疑問を抱くこともなく、年月がたつにつれてその行動はさらに悪逆無道になっていく。またある者は、人間の命の大切さを知っている。そして、みずからの行動において倫理的な重要性を考慮する。>ジョン・クリード著鎌田三平訳「シリウス・ファイル」P345より
社会の多様化に呼応して、(民主国に限ってですが)どの国にも、意見や主義主張をはっきりさせる傾向が出てきていますが、アメリカは世界最強国ですので、特に政権内での、その違いは、世界に大きな影響力を発揮します。
トランプ大統領になって、その違いを渓谷の高低差に例えるなら、川は浸食され、ますます谷は深くなり、崖は地殻の隆起でさらに盛り上がったような気がします。特に中国・イラン・不法移民・地球温暖化の‘エリア’での地形の変化の大きさには目を見張るものがあります(参考まで、オバマ前大統領は‘ロシア’地区の深淵化を進め、ブッシュ元大統領はイラク・イラン・北朝鮮は地底国としました)。
トランプ大統領は、
・中国は貿易の不均衡に無神経・輸出に有利な為替操作をしている・米国の先進技術を盗用しているし、米国技術の提供無くしては米国企業の中国参入は不可としている、中国は自国企業に国家予算を提供し製品開発や生産体制の整備という分野で国際競争を有利に展開している、中国産で米国に入ってくる通信機器には市場や個人情報を特定サーバーに集約させる機能を内蔵しているし、中国国内の法律でこの機能は正当化されている、などと中国を非難している。
・イランに対しては、核兵器開発を止めろと、オバマ大統領時に締結した核合意は核開発を止めさせるものではなく単に核開発には時間がかかる様にした取り決めにすぎないものとし、合意を破棄し、核開発を止めさせるべく経済制裁を課している。
・メキシコ国境から米国に入ってくる中南米諸国からの、経済が回らない・専制国家からの、移民は年々増え続け、万里の長城ならぬ米墨国境の壁の建設を進めている。生活苦の難民的な移民を人道的な立場から米国に受け入れるべきだとする民主党の一部の議員との議論で、民主党の主張する人種差別反対・弱者救済的議論に、トランプ政権は、不法移民=治安対策(移民より現住民優先)策を主張している。
・地球温暖化対策をしなければならないが、中国をはじめとする後進国の二酸化炭素排出量の抑制になぜ、先進国は大金や時術を拠出しなければならないのか、その根拠が分からない(従ってパリ協定には参画しない)。要は後進国と先進国の線引きは不明瞭で、後進国と主張すればすんなり通るような国際協定には参画できない、
等と主張しています。
米国(や世界)のメディアは、トランプさんが世界協調路線に外れ、自国第一が過ぎ、悪いとしていますが、問題の大本を考えると、それほどでもないような気もします。
ただ、トランプさんの支持基盤が農業牧畜産業地域で、文盲率も高くて、女性も早ければ15歳ほどでお嫁に行ったりする、カントリーで、諸問題の大本の解説より、明確な分かりやすい決断だけが受ける地域だということから、トランプさんは結論だけを大仰に演説するスタイルになりがちになり、字数が制限されるツイートざんまいになり、最終的に、損しているような気がします。
また、平然と他国を侵略し領土とし、異国の選挙システムに入り込み混乱を起こす一方、非人道国(シリア・ベネズエラ・北朝鮮)への援助をいとわないロシア・プーチン政権になぜトランプ氏が好意を示すのかは謎です。プーチン下のロシアで、経済裏コネをトランプ一族は享受しているのでは?
トランプさんへのロシア疑惑捜査は、大統領選や調査当局への越権行為の有無などより、観点を変えて、トランプ一族のロシアでの裏取引ビジネスの有無に焦点を絞った方が良かったような気がします(が、どうでしょう)。今からでも上下院で調べたら?
トランプさんの米国について、いろいろ考えさせてくれた「シリウス・ファイル」の一節でした。