カンボジア経済

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フナン・テチョ運河 大々的な起工式 様々な懸念も

2024年08月14日 | 経済
 8月5日、フナン・テチョ運河の起工式が大々的に開催されました。当日は急遽国民の祝日とされました。また、8月5日はフン・セン前首相の誕生日でもありました。起工式には、フン・マネット首相他1万人以上が参加した模様です。
 フナン・テチョ運河(Funan Techo Canal)は、プノンペンを流れるバサック川から、カンダール州、タケオ州、カンポット州を経てケップ州の海岸までを結ぶものです。延長180キロメートルで、水路の幅は80~100メートルで、水深は5.4メートルとしています。総工費は17億ドル(約2480億円)で、2028年の完工を見込んでいます。
 建設工事は第1区間(21キロ)と第2区間(159キロ)に分かれています。フン・マネット首相は、建設資金について第1区間は全額をカンボジア資本が拠出すると発表しました。シアヌークビル港湾公社が26%、プノンペン港湾公社が25%、カンボジア建設大手のOCICが49%を出資するとのことです(具体的金額は不詳です)。第2区間は51%をカンボジア資本、49%を中国政府系の中国路橋工程(CRBC)が拠出するとしています。
 これまで、プノンペン周辺からのコンテナ輸送は、陸路)国道4号線・高速道路・鉄道南線)でシアヌークビル港まで運送するか、ベトナム・ホーチミン周辺港(カイメップ港等)までメコン川を小型コンテナ船か陸路(国道1号線等)で運ぶルートがありました。今回、ベトナムを経由しないで、シアヌークビル港に水路で運ぶルートが加わることとなります。
 フナン・テチョ運河事業は、かなり野心的な計画と見られ、いくつかの懸念の声も出ています。経済面では、プノンペン港とシアヌークビル港間のコンテナ輸送やガソリン類の輸送には一定の効果があるものと見られるものの、総事業費が大きい上に実際の工事費が上振れするリスクがあります。また、需要面でも高速道路・鉄道等と競合することに加え。シアヌークビル港に入港できるコンテナ船の大きさが限られる(ベトナムには、オーバーパナマックスの米国直行船が就航しています)といった懸念があります。
 また、メコン川下流のベトナムからは、水位が低下する等の環境への影響を懸念する声も出ています。米国等からは、中国軍進出疑惑のあるリアム海軍基地の関連で、運河が中国に軍事利用されかねないとの懸念も出ています。
 カンボジア政府としては、国運をかけた大事業であり、その経済効果等に大きな期待を示しています。今後の順調な工事進捗と、完成後の堅実な運営が期待されます。
(写真は、AKPより)


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