カンボジア経済

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駐カンボジア大使に汪報道官 中国 カンボジアへの影響力拡大を図る

2024年06月14日 | 経済
 報道によりますと、中国が外務省報道官を4年近く務めた汪文斌(Wang Wenbin)氏をカンボジア大使に起用する模様です。汪氏は、チュニジア大使を経て2020年から副報道局長を務めていました。米欧や日本への厳しい言動で「戦狼(せんろう)外交官」とも呼ばれていました。報道官ポストは、秦剛前外相や李肇星元外相も務めた同省の花形ポストの一つです。
 中国がカンボジアへ汪氏を派遣するのは、カンボジアへの影響力拡大を図るためと見られます。カンボジアでは中国の広域経済圏構想「一帯一路」に基づく事業が進められています。カンボジア政府は5月28日、首都プノンペンを走る幹線道路に中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席の名前を冠し「習近平大通り」と名付けています。また、プノンペンからタイ湾に至る全長180キロメートルのフナン・テチョ運河の建設計画にも中国は携わっています。
 軍事面では、今年5月に合同演習演習「ゴールデンドラゴン」を実施しています。6回目となる今回は両国の艦船部隊を初めて投入し、カンボジア南部のリアム海軍基地への中国軍進出疑惑を招いています。
 他方、米国は、カンボジアへの中国軍進出を強く警戒し、カンボジアに何度もくぎを刺しています。6月4日にオースティン米国防長官は、プノンペンでカンボジアのフン・マネット首相と会談しました。防衛分野で米国とカンボジアの協力強化を確認した一方で、中国艦船のリアム基地の長期停泊に懸念を表明した模様です。
 花形の報道官ポストから、小国であるカンボジア大使への異動は、汪氏本人にとって出世とは言えないところもあるかと思われます。他方、カンボジア政府や駐カンボジア中国大使館から見ると、「大物大使」が着任することとなります。「親中国」とも呼ばれるカンボジアですが、一般国民の対中国感情は決して良いものではありません。小国であるカンボジアは、あざとい外交も行いますが、主権や面子に傷をつけられることには敏感です。新大使が「戦狼」を衣の下に隠していけるかどうかが注目されます。
(写真は、中国との合同軍事演習。AKPより)


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