にれっちのつれづれ日記

本州最北端の小児科医にれっちの独り言(^^)

大流行することと、濃厚な医療の必要性には関連がありません

2018-01-26 15:40:22 | 病気のはなし
インフルエンザやノロ胃腸炎などが流行し始めると、新聞やテレビなどが大きく報道し、学校や園、職場などが急に大騒ぎを始めます。
確かにこれらの感染症は、周囲への感染力が強くて瞬く間に広がっていくのですが、一方でインフルエンザでは20-30%、ノロでは50%以上もの割合で症状の出ない不顕性感染があるともいわれていて、症状のある人を見つけて隔離や治療をしたからと言って感染拡大をシャットアウトできるわけではありません。
また、入院が必要になるような重症はその一部にすぎず、対症薬でも数日で軽快していく人が圧倒的多数を占めていますから、躍起になって検査をやって見つけようとしたり、検査陽性=抗ウイルス薬投与などと十把一絡げな対応をする必要もありません。
じゃぁ、放っておけばいいのか?と聞かれたら、それは違います。
感染力が強いのは症状のある間の一定期間(インフルエンザなら発病から5日程度、ノロなら嘔吐・下痢が続く間)で、感染ルートも飛沫(咳やくしゃみなど)・接触(手で触れるところ)が中心(ただし空気が乾燥していると遠くまで漂う)なので、これらの疾患が流行を始めたら、通常のカゼの症状であってもインフルエンザやノロに準じて登園・登校の基準や感染予防・消毒方法を考えるようにすることは大切です。
そのうえで、個々の症状の重い場合や入院が必要になる場合などには、鑑別診断をしっかり行って、必要に応じた治療計画を立てればよいのです。
むやみに病名に振り回されずに、的確に判断をして対処をしていくように心がけたいものですね。