にれっちのつれづれ日記

本州最北端の小児科医にれっちの独り言(^^)

ノロやインフルエンザは乾燥が大好き!

2012-12-25 13:14:42 | 病気のはなし
ノロをはじめとする感染性(主にウイルス性)胃腸炎の流行が続き、さらには間もなくインフルエンザの流行期に入ろうとしています。
いずれのウイルスも環境中には年中存在しているのに、なぜ冬場になると大流行するのでしょう?
その答えは 乾燥 です。
本来ノロの感染経路は手指を介した経口感染ですし、インフルエンザは咳などによる飛沫感染なので、同じ部屋にいる程度では感染しないはずなのですが、ここに乾燥が加わると話が変わります。
ノロもインフルエンザも乾燥に対する抵抗性が非常に強いので、乾いた空気の中では埃と一緒になって舞い上がり室内を漂うようになります。
漂うウイルスの量は汚物や咳などに含まれるものに比べればごく微量なので通常のウイルスでは感染につながりませんが、ノロやインフルエンザの場合には少ないウイルス量でも発症するので、空気が乾燥する冬の時期に大流行することになります。
ことに近年は建物の断熱性が高くなり、暖房方法も乾式(エアコン・ファンヒーター・床暖房など)になっていますから、ますます乾燥傾向が強くなり、感染発症のリスクがますます大きくなっているのです。
いつどこで感染するかわからないものを消毒して回るより、基本的な感染予防(うがい、マスク、手洗い)をキッチリ行って、あとは湿度を保つことで大流行を防ぐことができる可能性があるということです。
実験データからは環境温度が20-25℃くらいなら湿度60%程度がよいといわれていますが、前回もお話したとおり湿度計の数値は必ずしもあてになりませんので、洗濯物がゆっくり乾く(たとえば朝干したら夕方丁度取り込める)くらいの湿度に保つことが目安です。
もちろん発症してしまった人が周囲にいる場合は、消毒(ノロなら塩素、インフルエンザならアルコールでも可)も忘れずにです。