にれっちのつれづれ日記

本州最北端の小児科医にれっちの独り言(^^)

無症状でも感染力がある場合も・・・

2012-12-06 18:34:05 | 病気のはなし
ノロやインフルエンザがはやり始めると、症状が軽い(ほとんどない)にも関わらず「学校(職場)から検査するように言われた」との訴えでの受診が増えます。
「感染していたら学校(職場)を休んで、感染拡大を防ぐ必要がある」ということなのでしょうが、ここには大きな落とし穴があります。

それは、「無症状=感染性がない」わけではない ということです。

通常の風邪を考えてもわかることですが、患者さんの周囲の人に必ず風邪症状が現れるわけではありませんよね。
では感染しなかったのか?といえば、そうかもしれないし、感染はしたけれどきわめて軽くて症状が出なかっただけなのかもしれません。
もし感染はしたけれど…のケースなら、本人は無症状であっても、残念ながら周囲への感染力はあるのです。(もちろん発病者よりは少ないでしょうが)

また、症状が落ち着いたら感染性がなくなるかというと、これまた違います。
インフルエンザでは解熱後数日、ノロウイルスでは症状回復後1週間(場合によってはそれ以上)の間は、ウイルス排泄が続くといわれています。
当然この間は周囲への感染力が残っていることになります。

つまり、症状がある人だけを検査し、症状のある間だけ登校(出勤)を中止させることだけでは、感染拡大は防げないということです。

ではどうしたらいいのか?というと、残念ながらパーフェクトな答えはありません。
一程度の流行が確認されたら、症状のある人は、無理に登校(出勤)せずに自宅で安静にする。
症状が重い、辛いという場合は、医療機関を受診して症状を和らげる治療を受ける。
症状が回復したのちもすぐには感染性がなくなるわけではないことを理解して、必要最低限の集団参加にとどめる。
症状のない人も、感染の可能性があることを理解して、手洗い、うがい、マスク、汚染されやすい場所の消毒などを心掛ける。

こうしたことを社会全体が歩調を合わせて行っていくことが、おそらくは最大最高の対策なのでしょうね。