活眼明察日記

物事の道理や本質を見分け、真相を明らかにする眼力を養いたい

厚労省の原発労働調査に疑問

2011-06-23 23:00:54 | Weblog
厚労省は東電福島第一原発の復旧に携わる下請け労働者の労働実態を把握するため、今月から4次下請けまでの全654社に定期的な調査・報告を求めることにしたという。週刊誌等に労働法違反が横行していることを、取り上げられたため、やっと重い腰を上げたものである。

この調査をなぜ4次下請けまでと限定するのか、まったく理解できない。4次下請けまでの労働者数は約5200人。5次下請け以下7次、8次の下請けも多く存在するというから、その人たちの分も調査・報告を求めなければ片手落ちである。

5次以下は数千人に達するはずである。アルバイトや派遣、あるいは請負業者の労働者で、4次までの労働者に比べ、不安定で短期雇用であること想像するに難くない。

5次下請け以下の労働実態は無法状態も心配しなければならない。それは社会保険や労災保険の未加入などである。偽装請負なども相当数あるだろう。いずれにしても搾取されやすい人たちだと思う。そして同じ労働者でありながら、より危険な作業に従事しているはずだから、徹底した安全確保が必要である。

厚労省はこの人たちを放っておいていいはずがない。意識的に除外しているとしか思えないのである。それとも、零細で小規模な事業者だから、報告等は期待できないとでも考えているのだろうか。やはりすべての労働者の実態を調査しないかぎり、違法労働は放置されたままとなる。このままでは根本的な解決は遠のくばかりである。

質の低下が加速する新聞各社

2011-06-23 11:40:37 | Weblog
東電福島第一原発内に於ける、違法労働の実態は徐々に明らかにされてきているが、新聞各社の報道ぶりは週刊誌より緩慢である。この問題に先鞭をつけたのは「週刊東洋経済」ではなかったかと記憶している。

同原発内での違法労働の実態など、丹念な取材をもとにリポートされていたことは、目を見張るべきものが多かった。最近になってようやく、他誌にもこれを追認する記事が多く掲載されるようになってきた。

ところが新聞各社は前述のとおり、なにごともなかったかのような、事実を伏せた報道を連日繰り返している。これは東電や原発メーカーおよびその関連企業に遠慮して、社内で掲載することにためらっている姿を思い浮かばせる。同時に読者にはスポンサーの都合の悪いことは、提供しないという各社の思惑が感じられる。「正義」を完全に脱ぎ去ったとしか言い様がない。

このような背景には以前、朝日新聞社が経団連会長(当時)企業「キャノン」と副会長企業「パナソニック」で行われていた「偽装請負」を告発したことにある。おどろくことに、両社はこれを是正するどころか、逆に腹を立て、「見せしめ」として、広告の出稿を長期にわたり、停止した経緯を見逃すことはできない。

新聞各社はこれが「トラウマ」となり大企業の違法行為を記事化することに慎重になった。できれば載せたくないのだ。 質の低下が急速に進んでいることを示すものである。これでは読者離れも進むわけだ。これからは「味方にできるのは週刊誌。できないのは新聞」が定説になるかもしれない。