活眼明察日記

物事の道理や本質を見分け、真相を明らかにする眼力を養いたい

議員削減は民主主義の危機

2010-07-22 19:54:12 | Weblog
民主党が参院選で大敗したこと歓迎する。衆参両院の比例区の議席を減らすことを公約にしていたからである。

とりもなおさず、議員削減は少数政党の排除を狙ったものであるから、到底容認することはできない。少数意見も受容してこそ、はじめて民主主義社会といえる。民主党の政治改革はこれに逆行する暴挙でもある。

民主党は衆院では、比例区80議席削減を公約にしていた。もし仮に、これが実現したならば、民主党と自民党で議席の9割以上を独占することになる。したがって少数政党の共産、社民、国民新などは壊滅状態になること必至となる。比例制の欠陥を悪用、自らの利を図ることに懸命になっていること、嘆かわしいかぎりである。

ところで、投票者の意思が正確に反映されるのは比例区である。1選挙区から議員1名を選ぶ小選挙区は死票が多く、投票者の意思は尊重されない。小選挙区を廃止して、すべて比例制にするべきである。比例制にすれば、政党の得票数に応じて議席が与えられるからこれほど公平な選挙制度はない。

また、民主党は議員数の削減ばかり強調するが、報酬の削減を口にしたことはない。自分たちに都合のいい選挙制度を利用して、少数政党をシャットアウトしたい民主党にわが国の政治をゆだねるわけにはいかない。

こんかい枝野幹事長が「参院選で過半数をもらえば(議員定数削減)すぐできる」と思い上がった発言をしていたが、数をたのんで思い通りの政局運営したい、野望を砕いたことは感慨深いものがある。

枝野は責任をとって辞任するべきであるが、党内での追及は緩慢である。この体たらくぶり、瓦解の始まりでなければいいのだが。

毒薬入り、菅の「知恵袋」

2010-07-19 19:14:10 | Weblog
菅首相の「知恵袋」といわれる大阪大教授が7/15講演し、「首相には増税よりも、雇用を生み出すことが最重要」と指南していたという。

その一方、記者団には「消費税を2%上げれは160万人の雇用ができる」との持論も展開したこと報道された。(7/16朝日新聞)

なんとも矛盾した話ではないか。言葉どおりに受け止めれば、雇用を促進するには、増税してもしなくてもいいということになる。支離滅裂で理解できない発言である。

これでは菅首相の頭も混乱したことであろう。これで「知恵袋」と言えるだろうか。教授の難解な言葉をよく理解しないで、消費増税を口にした首相も情けないが、これを刷り込んだ教授も悪い。

往々にして、学者と言われる人は不親切である。もったいぶった言い回しも信条とする。でなければ、教授としての威厳を保てないのかもしれない。

いずれにしても知恵袋には、わけの分からない毒薬が混入。これに菅首相が手をつけたことで、取り返しのつかない事態を招いたと考えることもできる。

同友会 「成長優先」の欲望集団

2010-07-18 18:36:44 | Weblog
経済同友会の夏季セミナーで、菅首相が掲げる「強い経済、強い財政、強い社会保障」を実現させるため、どれを優先させるかについて、各会員から「経済成長」を優先させるべきだとの意見が多数を占めたという。(7/16朝日新聞)ありふれた意見で目新しさはなにもない。あるのは社会保障を捨て去ってまで、さらなる利益を拡大したい欲望だけである。

傘下企業の経営者は財務体質に余裕がありながら、従業員を粗末にしてきた。リストラ・賃金の抑制に加えて非正規雇用の拡大など、あらゆる手を使って人件費の圧縮に努めてきた。社会保険料を払いたくない一心だけに。人間としてのかけらもない経営者の集団である。

非情な経営者たちに職を奪われ、貧困生活を余儀なくされた働く人たちは数知れない。実は社会保障を崩壊させた首謀者は、この経営者たちである。

企業との折半だった社会保険料を、全額自己負担している従業員が増え続けている現状を見過ごすことはできない。日々の生活に事欠き、国保料、年金保険料の未・滞納が増えていることは、深刻な財政危機に陥っている原因となっている。由々しき事態ではないか。

同友会が求める経済成長が実現したとしても、経営者たちが社会保障の充実に方針転換することは今後もあり得ない。目先の利益を確保したいため、馬鹿馬鹿しい社会保険料を負担するつもりなどさらさらないからだ。

政府はこのように堕落した経営者たちの要求に応える必要はない。人間を粗末にする企業に成長はないからだ。

自壊民主党、トップは脳死状態

2010-07-16 22:56:26 | Weblog
こんかいの参院選で大敗した民主党執行部への批判が噴出している。当然のことである。寄せ集めの民主党は、「オール自民党議員」の集まりでもある。国民のことなど、何も考えない自民党政治が行われているのだから、生活が向上するはずがない。

参院選の最中に、枝野幹事長が民主党の敗戦を見越して、こんなことを言っていた。曰く、「みんなの党と行政改革や公務員改革でかなり一致している。政策的には一緒にやっていける」と。すでに過半数を制することができない、敗戦の弁と受け取れるものだった。

このことは、枝野が責任を回避するための手段として、みんなの党と連立して、参院での主導権を握るために思い付いたものだった。すべて自己の保身のために。

民主党も落ちぶれたものである。「上げ潮」路線で経済成長を図る、小泉改革の信奉者で保守主義者、渡辺喜美代表にすり寄るとは。しかもポピュリズムを利用しただけの実績ゼロの政党にである。

世間の反応をよく考えないで、迂闊な発言をした菅首相や枝野幹事長が、進んで党勢衰退を招いた責任は取り返し困難である。今後の党運営をまかすことはできないだろう。前途も多難で、空中分解も予見される。一枚岩でない民主党を象徴したものといえる。

民主党は「偽装自民党」である。民主党が政権の座に就いたことは、国民にとっては悲劇のことだった。これを見抜けなかった有権者の目も、伏し穴だらけだったということになる。

「みんなの党」はみんなの敵

2010-07-14 22:25:44 | Weblog
民主党がだらしない政治をしたから、「みんなの党」が予想外の議席を獲得した。この政党は一貫して公務員たたきをしてきた。それしか能がないようでもある。

選挙公約には公務員削減や給料をカットするなど、いかにも大衆受けすることを前面に出していた。民間がリストラや給料が上がらないことを逆手に取って、恵まれた公務員をたたくことで喝采を浴びる作戦だった。そのまま選挙戦を展開した算段は腹黒い。渡辺喜美代表の性格を象徴するものでもあった。

公務員と民間の給料格差は、それほどではなかった。民間が悪くなったのは「小泉構造改革」によるものである。渡辺代表はその心酔者で、自民党政権中枢にも在籍していた。

この構造改革では、大企業を優遇するため、さまざまな規制緩和がなされた。なかでも労働の「規制緩和」は雇用の流動化をもたらした。低賃金の非正規雇用が増え、現在の不安定雇用の最大要因になっていることは説明を要しない。

このように構造改革は多くの国民に不幸をもたらした。渡辺代表が国の財政状況の悪化を理由に、公務員を民間と同じようにリストラすることは、真面目に働く人達への侮辱行為にあたる。民間であれ、公務員であれ生活権の侵害は許されない。

渡辺代表は公務員にも構造改革したいらしい。すでに破綻した構造改革をよみがえらせ、公務員たたきする渡辺代表は働く者たちの共通の敵である。選ぶ側ももう少し賢くなったほうがいい。同時に、こんごの動きには注意を払い、常に監視を怠らないことだ。

民主党、災難は対米外交にあり

2010-07-13 22:58:47 | Weblog
菅首相は米軍普天間飛行場移設問題から目を逸らせるため、消費税問題にすり替えた。用意周到でなかったことから、遊説でも釈明に追われていた。国民の理解が得られず、選挙結果は惨敗に終わった。

思うに、普天間移設が民主党公約のとおり、「最低でも県外」で決着していたら、このような憂き目を見なかったはずである。そして、こんかいの参院選では「消費税」発言はあり得なかった。普天間の根本的解決を先送りしたため、重過ぎる代償を払わされたと考えるのが常識である。

鳩山前首相は米軍を「抑止力」としたい外務・防衛省役人らにだまされ、「辺野古」に決め、無責任にも首相の座を放り投げ辞任した。自民党政権と同じ、対米屈辱外交を継続した結果のものである。

政権交代を機に、オバマ政権と沖縄の基地撤去について談判し、わが国の主張を最後まで貫くべきであった。筋の通る話を実行に移せなかった優柔不断さを責めたい。鳩山前首相自身は、絶好の機会を逃したこと、悔やんでも悔やみ切れないことだと思う。すべてのつまずきが普天間発にあるからだ。

難題が菅首相に引き継がれたが、何一つ解決されていない。各種の法案は目白押しだが、「ねじれ現象」で審議は難航する。普天間問題も8月決着の対米公約が足かせになり、政局を打開できず、鳩山前首相同様、政権放り投げが現実になること心配される。

すべてが狂いはじめる8~9月。政局の不安定度は極致に達するだろう。鳩山前首相と同じ道を辿らないためには、米軍基地の撤去しかない。政治がうまく行かないのは安保条約という「疫病神」に縛られているからだ。これを追い払わない限り道は開けない。

民主党 敗因に幼稚な政治手法

2010-07-12 21:22:54 | Weblog
今度の参院選は民主党が大きく議席を減らし、与野党勢力は逆転した。今後の政局は「ねじれ現象」の不安定な国会運営を迫られることとなった。執行部は責任を取って退陣すべきである。

菅首相が消費税10%に言及したことから、世論を敵に回し批判を浴び、防戦一方の選挙戦であったことが最大の敗因である。戦術もあまりにも幼稚だった。

「生活が第一」を標榜した公約を守れなかったことは、国民に大きな不信感を植え付けた。貧富の格差解消に努力することなく、弱者をいっそう窮地に追い込む「冷たい政治」は誰が歓迎するだろうか。公約を守り4年間は我慢するべきであった。

それほど財源が欲しいなら、資産家・富裕層への課税強化に取り組むべきだった。この問題を放置して、消費増税を誇らしげに主張しても、国民はさらに反発するだけだった。同じ増税するにも順序が逆だった。

現執行部でも特に菅首相は財務省役人の「入れ知恵」ですっかり洗脳されてしまった印象が見受けられた。自民党も10%を主張していたことは、財務省が作った借り物であったこと容易に想像できる。いい加減なデータで、国民をだまそうとしたことはまことに罪深い。

また、鳩山首相からバトンタッチしたあとの高支持率に警戒を緩めたことから、取り返しのつかない失敗を犯した。政治の修羅場を経験しない執行部では、この難局を乗り越えることは難しい。一枚も二枚も上手の、「小沢一郎」の「爪のあか」でも煎じて飲んたらどうだろう。買いかぶるわけではないが、だれも小沢の選挙への執念と熱心さにはかなわない。小沢の意見もよく聞くことだ。

参院選、心配される投票率

2010-07-10 21:20:11 | Weblog
今度の参院選、最終盤を迎えているのにまるで盛り上がらない。二大政党が消費税率を10%にすることを決めているからだ。民意が無視されていることで、投票率の低下が心配される。

選挙戦での争点はなんといっても「消費税」に集中している。すでに、増税が決定したかのような白けた雰囲気も充満している。世論は賛成、反対ほぼ50%で真っ二つなのにである。

封印していた消費税論議を、党首が代わっただけでその封印を解く、いい加減な政局運営は支持者の反発を招いた。また、反対しても増税の流れを止められない、やり切れなさは投票忌避と政治への無関心につながる。

二大政党は、お互いに相手方の政策を批判しているが、水面下で手を握り合っているかのようでもある。反対の意思表示をしても高い壁に阻まれ、反映されないことは多くの有権者に失望を与えることとなった。

そして、二大政党制の最大の弊害が出てきた。国民の半数が反対しても、政策面で一致したとき、数の力で国民を抑えつけることができるからだ。昨年の政権交代は、まぼろしであったと考えた方がいい。代わり映えしない政治が続いていることは耐えられないことである。

財界首脳、消費税使途に不当介入

2010-07-07 20:34:41 | Weblog
経団連米倉会長と同友会桜井代表が、消費増税後の使用目的について、「社会保障に使うべきだ」と述べた。余計なお世話であり政治への不当な介入である。

両経済団体は雇用について、非正社員に置き換えるよう傘下企業を指導した。賃金抑制のため、低賃金労働者を必要としたからだ。

その指導が行き届いてのことか、今、雇用される人たちのほとんどが非正規雇用である。採用されても国保料も年金保険料も自腹の人が多い。会社が折半しなくていいからだ。仮に折半に応じたとしても、賃金が安いから僅かで済む。雇用については、企業としての最低限の責任をかなぐり捨てた。

このことは国保・ 年金保険料の収入悪化を招き、すでに破綻寸前に追い込まれていること周知のとおりだ。この崩壊現象は財界が主導したものである。

国民生活の根幹である社会保障制度を崩壊させた首謀者たちが、消費増税分を「社会保障に回せ」と声高に主張していることは、腹立たしいかぎりである。

消費税は導入以来、大企業減税の「穴埋め」に使われてしまった。国民の税金で減税の恩恵を受けた大企業が、こんどは社会保険料逃れし、社会保障制度そのものを壊して国民に報いる。こんなバカな話があるだろうか。

「恩を仇で返す」無責任で悪意に満ちた財界トップたちである。消費税の使い道まで、あれこれ注文つけられるいわれはない。

金持ち優遇税制で広がる格差

2010-07-06 19:53:04 | Weblog
菅首相が4日、TV番組で所得税の最高税率を引き上げたいこと言及した。遅きに失した感があるが、その必要性を問うたことは評価したい。

本来であれば、消費税増税の論議より先に「所得増税ありき」で切り込むべきことだった。その意味では選挙を控え、順序が逆になったことで、戦術上の影響が懸念される。

わが国を覆う貧富の格差は「構造改革」により作り出された。国民には痛みを押しつけ、大企業や富裕層には規制緩和し、さまざまな恩恵を与えてきた。なかでも税制面での優遇は特筆すべきものだった。

所得税については、最高税率を70%から段階的に40%に引き下げたことである。また、株式等の配当金への課税も20%から10%に一気に引き下げた。「預貯金より投資を」の政府のかけ声のもと、時限立法されたが、すでに10年近くになるが、税率はそのまま放ったらかしされたままである。

これらは「カネ持ち優遇」と散々批判を浴びたが、ときの政権はその都度頬かぶりしてきた。政治はいつの時代も大企業・富裕層には手厚く報いる。一方、大勢の一般庶民には耳を貸さない、高圧的態度を取り続ける。

さて、本題の所得税であるが、最高税率を元の70%に戻すべきである。併せて配当等の税率も30%を基準に設定することだ。決して高い税率ではない。これでようやく先進国並みの税率になるからだ。

税率引上げで税収不足は改善される。今世界の趨勢は富裕層への課税強化にあること心しておきたい。放置すれば格差が広がり、社会不安を招くからだ。

常識外れの低税率で、カネ持ちを優遇してきたことは階級社会の固定化を招いた。政治の失敗であった。これを是正したい菅首相発言は、選挙向けのパフォーマンスでなければ一定の理解はできる。大いに進めてもらいたい。

ところで、今度の総選挙、税論議が沸騰しているが、真に国民のためを思ってのことか、慎重に見極めることが大切である。そのためには、いつも冷静な「眼力」だけは養っておきたいものである。