活眼明察日記

物事の道理や本質を見分け、真相を明らかにする眼力を養いたい

小野さん、それは賞味期限切れです

2011-06-26 23:02:24 | Weblog
6/25付、朝日新聞「私の視点」に菅首相の「知恵袋」といわれる大阪大教授小野善康氏の「団塊世代は生活楽しもう」とする寄稿文が掲載されていた。結論は社会保障制度設計の財源として団塊世代はお金をため込むのではなく、生活を楽しむためにお金を使えと。そうすれば、お金が還流して若者世代の社会保障充実の一助になるというものである。

私は小野氏を取り巻く団塊世代は、年金収入が5百万円以上の比較的恵まれた人たちばかりではないかと思っている。そのような人たちは全体の一割にも満たない。だから、世間離れした論理で、自己の主張をされているように思えて仕方ない。

小野氏はまた長期不況で消費は減少して、大卒の就業率も最低だと言われるが、この背景には財界が一役買っていることを忘れていないか。人件費節減のため非正規で雇用して、社会保険料逃れしている企業の実態に、言及しないことに違和感をおぼえる。このような雇用形態を主導したのは、経団連を始めとする財界であるからだ。

決して団塊世代が財布の紐を締めているわけではない。問題の原点は若者や現役世代の低賃金にある。その一方、企業は内部留保を積み上げている。大企業に冨が集中していることを抜きにして、社会保障の財源不足を団塊世代に転嫁してはいけない。

それよりも格差拡大を招いている最大の原因である税制度、特に所得税率を上げることに腐心したらどうだろうか。証券優遇税制も廃止するべきである。これらを実施することで、社会保障の財源とすることは可能である。

小野氏は増税しても経済成長できるという、成長理論の「産みの親」といわれるが、はなはだ怪しい理論であると考える。

この賞味期限切れの理論を菅に植え付けないで欲しい。菅がこの不景気の中、いまだに消費税の増税にこだわっているのは小野さん、あなたのせいなのです。