Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

EOSな日10. 多義的な空間

2016年03月16日 | field work
 こんな画像をライフの写真集で見た記憶がある。確か旧ソ連邦の街中での量り売りだった。今は旧ソ連邦からも中国からも、こんな露天商は無くなっているだろう。中国の近代化は急ピッチなのである。
 建築だけを見ていると隣棟間隔の狭い2階立てRC像の住戸が並列に林立している。そこをところどころ通りにつながる通路が貫通している。そんな空間構成なのだろう。だがこの通路が結構多目的に利用され、子供の遊び場だったり、行商がやってきたり、近所づきあいの語らいの場だったり、風が抜けるから涼を取る場だったりと、生活にはなくてはならない通路だと読み取れる。そしていずれは高層マンションにとって変わる空間でもある。
 私達の生活には、寝室や居室と言った使途の明確な単機能空間だけではなく、こうした多義的な空間が必要不可欠なのである。それはあえて設けなくても、どこかに多義的な空間が発生してくるのである。 
 それがマンション化が進行してきて、随分私達の暮らしも、そして意識も変わってきた。その頃から不登校児童や家庭内暴力が発生してきたこともあるだろうし、パーティーといえば食卓を囲むぐらいの智恵しか無くなってしまった。いまやそれすらもないかも知れない。
 そんな居住環境にしておいて、はたして近代化といえるのだろうかと思われる。

EOS3,EF28-135mm/F3.5-5.6,エクタクロームⅡ
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