福井 学の低温研便り

北海道大学 低温科学研究所 微生物生態学分野
大学院:環境科学院 生物圏科学専攻 分子生物学コース

砕氷艦「しらせ」 昭和基地離岩の日

2007-02-15 00:20:03 | 南極

昨夕から荒れ模様の札幌。横殴りの雪。風は強く、時より窓がガタガタとけたたましく音を立てています。

今日は、砕氷艦「しらせ」が昭和基地を離岩する日。これから48次越冬隊のみの生活が始まると同時に、越冬明けの47次越冬隊と48次夏隊は昭和基地とお別れです。

01_5602_3003_15去年の時(2006年2月12日)はどうだったかと言えば、くりさんが越冬隊と夏隊の両面からブログで公開してくれています。

04_506_207昨年の2月13日(昭和基地を離岩した翌日)、「しらせ」から、こんなメールを日本にいる「み・くり」さんに送っています。

昨日、越冬隊と別かれてからというもの、ぐっと疲労感が出て参りました。46次の方々は今朝4時くらいまで呑んでいたそうですが、47次夏隊の皆さんはどこかしら言葉少なげに寝室で胸からこみ上げるものを熱く感じながら静かに過ごしていました。

私は最終便で「しらせ」に戻りました。海○○○庁から派遣されているM隊員(越冬隊機械担当)は強面の人で、私と高野君は「大魔神」と読んでいました。別れ際に、あのMさんが大粒の涙を浮かべていました。そして「しらせ」が出航し、見晴らし岩が見えなくなるまで、海○○○庁の旗を降り続けていたMさんがとても印象的でした。

離岩後、私たち夏隊にとっては、越冬隊の皆さんのことが気がかりでなりませんでした。「しらせ」航海中、夏隊と越冬隊を結んでくれたのが、「み・くり」さんでした。インターネットが使えない「しらせ」側の夏隊に、越冬隊の様子を伝えているブログ「Katabatic Wind」のテキスト版を衛星回線経由で送っていただき、夏隊メンバーに艦内メールで転送する。逆に、「しらせ」での様子を「み・くり」さんに、衛星回線経由で電子メールでお伝えすると、その内容をブログでアップしてもらう。そうすると、昭和基地からでも「しらせ」の様子をうかがえます。

ということで、「み・くり」にはお世話になりっぱなしです。どうもありがとうございました。

昨日、「しらせ」に帰艦した48次生物隊員の星野さんからメールをいただきました。ブログで詳しくご紹介できないのはとても残念ですが、研究上、大変な収穫があったようです。また、お忙しい中、私の試料採取のオーダーにも十二分に応えてくださいました。

口琴奏者の星野さんはアイヌ文化の重んじる方です。「チャランケ」の心で、長い、ながーい、帰りの「しらせ」航海中、47次と48次の皆さんを繋いでいって欲しいと思います。

最後に、47次越冬隊との皆さん、そして48次夏隊の皆さん、お疲れさまでした。また、離岩日まで北大のイベント北海道大学 南極学カリキュラム 開設記念イベント ~ ふしぎ大陸 南極を見に行こう!~)にお骨折りいただいた和尚さん、いろいろとありがとうございました。和尚さんは、きっと近い将来、昭和基地にお戻りになられるのでしょうね。