南極昭和基地周辺のアデリーペンギンの腸内から、抗生物質耐性(テトラサイクリン)の細菌8種が見いだされたとのこと。
愛媛大学沿岸環境科学研究センター(通称CMES)の鈴木 聡先生から、2月26日付けの日経新聞の記事を教えていただきました。昭和基地のオングル病院には、医療用の抗生物質はありますが、厳重に管理されており、外に漏れることはありません。漏れたとしても、わずかな量ですから、アデリーペンギンの腸内から耐性菌が検出される程のインパクトはありません。
鈴木先生によると、ペンギンはオキアミ食なので、人間活動の顕著な地域から耐性菌が発生し、何らかの過程でオキアミや魚の体表に付着して、昭和基地周辺に輸送。食物連鎖を経て、ペンギンの腸内に耐性菌が定着、と言うことらしい。
と言うことは、南極において、人間活動の影響が、大気ばかりでなく、肉眼では捉えることのできないミクロの生態系にも影響を及ぼしていることになります。
南極における微生物生態研究の重要性がますます高くなって来ました。
この研究は、北大獣医学部との共同研究です。