福井 学の低温研便り

北海道大学 低温科学研究所 微生物生態学分野
大学院:環境科学院 生物圏科学専攻 分子生物学コース

雪の科学

2007-02-02 22:41:00 | 学問

低温研には積雪に関する研究を行っている研究グループがあります。週2回、低温研裏の農場で積雪断面観測を行っていますが、興味があれば誰でも見学できるとのこと。そこで、今日、観測に参加いたしました。

幸い、新雪が積もり、観測日和となりました。まず、スコップで積雪断面を露出させます。積雪量、温度、硬度、積雪密度等を測定。

01_51創成機構棟がない時代は、もっと景色が良かったに違いありません。このところ北海道大学・北キャンパスは建設が相次ぎ、広々とした農場の昔ながらの風景が消えて行っています。同時に、キャンパス内での野外観測・実験に支障を来しているのはとても残念なことです。

この観測では、低温研が長い間培って来た、調査道具が活躍します。研究者と技術部の技術者との連携で、かゆいところに手が届くような様々な工夫がなされています。

02_26これは効率的に雪をすくうことのできるスコップ。L字型であることで、一定の深さで積雪を採取することができます。柄は木製で、きっと、素手でもっても冷たく感じないようにとの配慮か?


03_12とても奇妙な道具ですね。積雪密度測定のためのスコップです。3回採取して、その平均値を密度としているとのこと。



04_3低温研オリジナルの雪の粒径測定用スノーゲージ。雪質とその記号がプリントされていて、とても便利。1つ欲しいですね!







05_3これは、野外で手軽に雪の結晶の写真を撮影することのできる装置で、やはり、低温研オリジナル。デジタルカメラが装着されているので、撮影された結晶画像は電子メールで所内に配信することもできます。





06_1なにやら、積雪断面を眼の前にして、積雪層構造に関する議論が始まってしまいました。熱い議論で積雪が融解しそう!

それぞれの分野で長年培われた研究のノウハウがあることや、低温研技術部の底力を実感する、良い機会となりました。おまけに、私たちの研究にも多くのヒントを得ました。

せっかく低温研にいるのですから、冬の午前中のひとときを、雪の科学に接することも良いのではないでしょうか。

兒玉先生、そして、院生の安成さんをはじめとして院生の皆さんにはお世話になり、ありがとうございました。