福井 学の低温研便り

北海道大学 低温科学研究所 微生物生態学分野
大学院:環境科学院 生物圏科学専攻 分子生物学コース

事務方とともに

2007-02-08 13:06:00 | 大学院時代をどう過ごすか

070208北海道大学・札幌キャンパスは、とにかく、でかい。そのため、構内循環バスが走っているほどです。無雪期の晴れた日ならば、他の部局に用事がある場合、自転車で移動するのですが、それはそれは爽快です。しかし、冬場はそうはいきません。30分おきに運行している循環バスを効率よく利用するか、あるいは、徒歩です。重要度の高い文書でなければ、学内便を利用して相手先に届けることもできます。

大学の2月は繁忙期。後期試験が終わると直ちに採点、そして成績を教務係担当者へ提出。そして、担当者はそれをもとにデータを入力していきます。最終的に、学生一人一人の入力ミスの有無を担当者がチェックしていきます。それをもとに、卒業判定作業に入り、教授会で承認と言うことになるのです。一連の作業はタイトなスケジュールで行われます。それ以外にも、来年度の準備等で、本当に猫の手がかりたいくらいです。教員の成績表未提出もチェックし、未提出教員一人一人に電話をかけ、督促です。ふうう。教務係担当者は、窓口業務もこなさなければなりません。学生さんが窓口に来たら、個々に対応です。中には不条理なことを言ってきたり、怒鳴りつける学生さんもいます。こうした場合も、事務方は冷静に対応しなれればならないのです。

この時期、学部ですと、卒業とともに教職関連の事務作業もあります。所定の教職単位を取得した学生のために、都道府県教育委員会への教員免許の一括申請作業です。教員免許のための単位の認定作業は、出身学部学科、教科そして授業科目が複雑に絡んでいて、神経を使います。その作業と窓口業務との兼務は、本来不可能なのですが、近年の定員削減でそうせざるを得ない状況です。この作業は専門的ですので、担当者が病気になったらとても大変なことです。前の大学の担当者は、この作業を土日にやっておられました。

こうした大学の教務関係の事務仕事も、学部と大学院が一対一の組織(例えば、理学部と理学研究科)であれば、効率的です。しかし、北大では学部、大学院、教員の所属部局が複雑な関係です。きっと、北大の事務作業も大変なことと思います。

前の大学でのことですが、3月のある日、理学部の教務係へ行ってみると、事務担当の方が涙ぐんでおられました。他の人に見られないようにしていたのですが、私がどうしたんですか、と尋ねたところ、こんな言葉が返ってきました。

「さっき、○○学科のAさんが窓口に来て、『いろいろとお世話になりました。御陰様で卒業でき、就職も決まりました』って。あの子は卒業するまで、いろいろあったからねえ。なんだかうれしくなっちゃって。」

そんな話を聞いて、思わず、「一青窈」状態になってしまいました。大学の事務で働くと言うことは、学生の皆さんのことを第一に考えなければやってられないのです。

大学院を修了する院生の皆さんは、これまで、いろいろなことがあったことと思いますし、不断の努力をされてきたことでしょう。皆さんの活躍を支えてきた人たちは、大学にたくさんいます。3月の卒業に際し、低温研を立ち去るとき、一言でも良いので、低温研の事務の皆さんに感謝の意を示して欲しいと思います。教員には、「あばよ!」の一言だけでいいです。そうそう、最後に守衛さんにも「ありがとうございました」って言って欲しいな。