英文讀解のヒント (22) 《there is+名詞+分詞》
1 次の英文を音讀または默讀しながら意味をとらへ、下線部については意味を日本語で言つて、または書いてみませう。(※讀み方がわからない語はあとで辭書で調べておきませう)
Perhaps this is why until the 1980s most researchers focused on negative emotions; they seemed to cause the most suffering and trouble-for both the individual and for society. An analysis of Psychological Abstracts, a summary of books and articles published in psychology, found that from 1887 to the mid-1990s there were 136,728 titles referring to anger, anxiety, or depression, but only 9,510 referring to joy, satisfaction, or happiness. And it was not until the late 1990s that a focus on positive emotions began to emerge.
(15 國際基督教大學 2010 3パラ; 2012年4月6日掲載)
2 下線部の解説
2.1 there were の後に名詞 136,728 titles / 9,510(titles) が置かれ、それぞれに現在分詞 referring の句がつづいてゐます。名詞の説明を現在分詞の句が加へてゐる、つまり「136728の表題が怒り、不安、抑鬱に言及してゐたが、わづか9510の表題しか歡喜、滿足、幸福に言及してゐなかつた」と解されます。
2.2 <there is/are 名詞+現在分詞/過去分詞>: there is/are につづく名詞の後にさらに現在分詞や過去分詞が置かれることがあります。このかたちは、時に「ある・なしを述べる」よりも、むしろ「名詞のあり樣を分詞によつて説明してゐる」やうな印象を與へることがあります。名詞の後に分詞が置かれると、讀者は名詞の説明がつづくと受けとめ、第二文型(SVC)におけるやうに、名詞部分を主語(S)に、分詞部分を補語(C)ないしは動詞(V)のやうに解するのだと推察されます。
本ブログでもこのかたちを8囘とりあげてゐます。「ある・なし」を論じてゐるのか、「名詞の説明」を重視してゐるのか、については微妙なものがありますが、分詞(の句)が名詞を修飾・説明してゐる點は共通してゐます。
□參考例文: 現在分詞がつづく例です。
23.2 There were some Haitians working in the building at the time of the crash.
衝突當時、ビル内で數人のハイチ人が働いてゐた・
■諳誦例文: 現在分詞がつづく例です。
23 There is a sale going on at Macy's.
メイシーズ(・デパート)で賣出しをやつてゐる。
□參考例文: 過去分詞がつづく例です。
23.3 There were twenty people hurt in the accident.
その事故の負傷者は20名だつた(/20名がその事故でけがをした)。
23.4 There is only a little time left before my plane leaves.
私の飛行機が出るまで時間は少ししか殘つてゐない。
3 意味把握チェック
ことによるとかういふ理由で1980年代までほとんどの研究者が否定的な感情に關心を集中したのであらう。それらは、個人に對しても社會に對しても最大の苦痛と迷惑を引き起すやうに思はれた(からである)。Psychological Abstractsこれは心理學の領域で刊行された書籍や記事の概要をまとめたものであるが、その分析により、1887年から1990年代半ばまで、136728の表題が怒り、不安、抑鬱に言及してゐたが、わづか9510の表題しか歡喜、滿足、幸福に言及してゐなかつたことが判明した。そして1990年代をはりになつて初めて肯定的な感情への關心集中が現はれ始めた。
4 意味把握チェックの下線部を參考にして、元の英文に戻してみませう。
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