[用例研究 210] 〈現在完了; 否定疑問文〉
(BLONDIE By Dean Young & Stan Drake © 1992 King Features Syndicate Inc.)
1 Haven’t you finished that report yet?
1 No, and I won’t if you keep annoying me.
2 Bumstead, you’d better watch that tongue of yours!
3 Remember, you could be replaced by a computer!
4 If I could find a lazy, no good, worthless computer!!
[解説]
1
・Haven’t you finished that report yet?: 「そのレポート、まだ了へてないのか」。「完了・結果」を意味する現在完了が否定疑問文で使はれてゐます。
□參考例文: 1コマめと同じ、否定疑問文における yet です。
210.1 Aren't you ready yet?
まだ準備ができてないのですか。
□參考例文: 現在完了の否定文での yet です。
210.2 The train has not arrived yet.
その列車はまだ到着してゐません。
□參考例文: 現在完了の疑問文での yet です。
210.3 Has he woken up yet?
彼はもう起きてますか。
・No: 否定疑問文への囘答では日本語との相違により yes/no に注意を要することがあります。yes/no の次に續く文が否定文であれば no、肯定文であれば yes だと考へれば間違へないですむでせう。
□參考例文
210.4 "Can't she speak Japanese?" "Yes, she can."
「彼女は日本語を話せないのですか」「いいえ、話せますよ」
・keep annoying: 「惱ませ續ける」「苛立たせるままにしておく」
2
・you’d better: = you had better かなり強い表現であり、主語を I にして自分について使ふ時はともかくとして、主語 you で使ふときは強い響きがあり、「~したはうがいい、さもないと…」と脅すやうな意味合ひが傳はりますので注意が必要です。目上に對しては使はないのが無難でせう。
□參考例文: 主語 you で使ふ例です。
210.5 You had better report the accident to the police.
その事故のことを警察に通報しなさい。
□參考例文: 主語を I にして、自制の意思を相手に傳へる例です。
210.6 I'd better get off the phone.
そろそろ電話を切らなくては。
・watch that tongue of yours: この watch は「氣をつける」「注意する」の意味でせう。Watch your tongue! と言へば「そんな口のきき方をするな」といふ意味になります。
3/4
・Remember,: 「覺えとけ、」
・you could be replaced by a computer / (4) If I could find~: 「おまへはコンピューターにとつて代はられる(可能性がある)だらう/~がみつけられればな」と假定法過去を用ゐて叱つてゐます。動詞を過去形にして現實から距離を置き、(話し手の)想像の世界で考へてゐることを表現してゐます。假定法で述べたといふ點では遠囘しの叱責とも言へますが、繪にみるかぎり、音調も態度も嚴しいものであり、4コマめの lazy, no good, worthless は Dagwood にあてつけてゐるわけで、Dithers 社長らしい嚴しさ、ワンマンぶりがうかがへる叱責となつてゐます。(※ この型の假定法過去については、「假定法の讀み方(3)」(2011年5月25日付)を御參照ください)
[意味把握チェック]
1 「その報告書、まだ(書き)了へてないのか?」
1 「ええ、それで社長が私を苛立たせつづけるなら、書き終りませんね」
2 「Bumstead、口のきき方に氣をつけるんだな!」
3 「覺えとけよ、おまへはコンピューターにとつて代はられるぞ(可能性があるだらう)!」
4 「わしが、怠惰で役立たずで使ひものにならないコンピューターを見つけられればな!!」
[笑ひのポイント]
・上司の(部下に對する不滿の)思ひを代辯してゐるのでせうか。