英文讀解自修室

  - in the historical Japanese kana/kanji orthography

・用例研究 206 <現在完了; 經驗>

2020-01-20 | 用例研究

 

[用例研究 206] 〈現在完了; 經驗〉

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 1991 King Features Syndicate Inc.)

 

1  Have you ever wanted to go out and get a job?

2  I mean, really wanted it desperately?

2  No ... you see, once I wanted to get married.

3  I wanted it desperately, and then Julius came along

4  and I’ve never wanted anything desperately since.

 

[解説]

・Have you ever wanted ~ ?: 現在完了の疑問文です。「過去から現在までの經驗」について訊ねてゐますが、關心は、現時點での相手の經驗の有無や、現在相手がどういふ經驗を經てゐる状態にあるのか、にあります。ここでは「これまで(家庭から)社會に出て仕事を得ようとした經驗が(現時點で)あるのか」「現在、その經驗者であるのか」と訊ねてゐます。

  四コマめでは I’ve never wanted~ と「現時點で、その經驗が無い」ことを述べてゐます。

  「經驗」に言及する現在完了では ever / never / before(今までに) / often / once(一度) twice(二度) / ~tumes(~度) といつた副詞語句を伴ふことがあります。

□參考例文: 「英文讀解のヒント(78) ≪現在完了時制≫」 (2017年7月26日付)で紹介した參考例文を再掲します。 ever=at any time 「いつのことであれ(これまでに)」

78.7    Have you ever been to a wildlife park?

               野生動物公園に行つたことがありますか。

□參考例文: 「現在までの經驗」について問ひ、述べてゐる例文を追加します。

206.1    "How often have you met him?"  "Only once."

                 「これまで彼に何度(/どんな頻度で)會ひましたか」「一度だけです」

206.2     I have been to France three times.

                 フランスは三度行つたことがあります。

206.3     This is the best work you have ever done.

                 これは君がこれまで成し遂げた最高の仕事だね(/君の最高傑作だね)

□參考例文: 否定形の例文です。現在直前まで未經驗だつた、初めてこの作品を見る、といふ氣持が含まれます。

206.4    I've never seen this piece by Hokusai before.

                 この北齋の作品は今まで(/以前には)觀たことがありません。

 

・I mean,: 「つまり、」。自分の發言について説明を補足したり換言するなどして、相手に眞意が傳はるやうにはかる語句です。發言の修正に使ふこともあります。 mean は「~を意味する」の意。

・desperately: [déspəritli] 「猛烈に」「必死になつて」

・you see,: 「あのね」「いいですか」「だつて~でせう」「(~なのは)ご存じでせう」。カジュアルな雰圍氣の會話表現です。see は「わかる」の意。

 

・came along: 「現はれる」「登場する」

 

・I’ve never wanted ~: 上記1の項參照。

・since: ‘(通例文尾に置いて)「それ以來ずつと」

 

 [意味把握チェック]

1 「これまで(家庭から)外(/社會)に出て仕事を得たいと思つたことはあるの」

2 「つまり、本氣で(/本當に必死になつて仕事を得たい、)つてことね」

2 「ないわ…知つてのとほり、わたしは昔結婚したいと望んだのね」

3 「すごく結婚を望んでたら、その時 Julius が現はれたのよ」

4 「で、必死になつて望んだことなんてそれ以來ずつと何もないのよ」

 

[笑ひのポイント]

・3コマめの it や4コマめの anything に笑ひの誘因があるやうに思ひます。結婚相手、つまり旦那さんが「仕事」と同列に扱はれてゐる、といふか望んだのが結婚そのものであつて配偶者の人となりが二の次になつてゐる、夫に向けての敬愛があまり感じられない…そんなところに Blondie や讀者の「呆れ」「失笑」が生まれるのではないかと解しましたが、どうなんでせうか。