英文讀解自修室

  - in the historical Japanese kana/kanji orthography

・用例研究 180 〈whatever②〉

2019-07-22 | 用例研究

[用例研究 180] 〈whatever②〉

      (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake)

1  There isn’t one single thing here that I haven’t already had many times.

2  I’m really ready for something different.

2  Have you ever had gomba kadoodles?

3  No, but whatever it is, bring me some!

3  You got it!

4  I don’t know what it is either, but now the ball’s in your court.

 

[解説]

・There isn’t one single thing~: not の後に one single と重ねて「ひとつだつてないのだ」と強く否定してゐます。「すでに何度も食べた經驗のない料理は(つまり、食べたことのない料理は)ひとつだつてない」と不滿を述べてゐるのでせう。

・many times: 「何度も」

 

・ready for~: 「~に乘氣な」。ここでは「何かちがふものを食べたいといふ氣持になつてゐる」といふ意味でせう。

 

・whatever it is: 「それが何であれ」「それがどんなものであつても」。ここでは讓歩の副詞節として、主文の命令文 bring me some に添へられてゐます。「(イヤ、でも)それが何であれ、そいつを持つて來てくれ」と注文しました。

  [用例研究 179]では複合關係代名詞 whatever が「~するものは何でも」など、① any の意味を帶びるケースを紹介しました。[用例研究 180]では複合關係代名詞 whatever が副詞節を形成し、②「讓歩」の意味「何を/が~しようとも」などの意味を帶びるケースを採りあげます。漫畫の3コマめのやうに、主文に添へられます。②「讓歩」の場合、コンマを打つて切れを示す場合が多いやうに感じます。

  ②「讓歩」の意味に轉じた例文を紹介します。〈no matter ~〉を用ゐるはうが口語的とされます。複合關係代名詞節で may を用ゐるのは文語的とされます。

□參考例文

180.1  Whatever you say to her, she still keeps smiling.

         あなたが彼女に何を言つても、彼女はいつも微笑んでゐますよ。

        = No matter what you say to her, she still keeps smiling.

□參考例文: 後に名詞を置くケースです。

180.2  You have to go on, whatever difficulties you meet.

         どんな困難な事態に遭遇しやうとも、前進あるのみだ。

□參考例文: 來週中の日々が選擇肢として前提にあり、そのうちのどの日でもいいと述べる whichever のケースです。後に名詞を置いてゐます。

180.3  We’re free all next week.  You’ll be welcome whichever day you come.

         私たちは來週中用事はありません。どの日にいらしても結構ですよ。

        = … You’ll be welcome no matter which day you come

 

・You got it: (レストランでの客の注文に對して)「了解しました」「承知しました」。You got it. は「その通り」といふ意味で、相手の正しい理解を認める際に使はれることもあります。

 

・I don’t know what it is either: 「私もそれが何だか知りません」。否定文脈で「~も…(ない)」といふときには too ではなく either を用ゐます。

□參考例文: 肯定文脈の「~も…」です。

180.4  “I’m from Arizona.”  “Really?  I am, too.”

        「私はアリゾナ出身です」 「本當?私もさうですよ」

□參考例文: 「否定文脈での「~も…(ない)」です。

180.5  “I can’t eat raw fish.”  “I can’t, either.”

        「私は生の魚が食べられません」 「私もだめなんです」

 

・the ball’s in your court: 「次は君の番だ」。 the ball’s は the ball is の短縮形です。The ball is in a person’s court / The ball is with a person とするのはおそらくテニス由來の成句で、何かを決める時決定權や判斷、責任が誰かにあることを示す際などに使はれます。ここでは調理について「(自分のすることは濟んだので後は)君に任せる」と丸投げしてゐるのでせう。

 

[意味把握チェック]

1 「すでに何度も食べたことのないもの(/食べた經驗のない料理)なんて此處にはひとつだつてないぞ」

2 「ぼくはホントに何かちがふものを食べたい氣持なんだ」

2 「gomba kadoodles を召上がつたことがありますかい」

3 「イヤ、でもそれが何であれ、持つてきて(/出して)くれ」

3 「承知しました」

4 「それが何だかワシも知らないんだ、でも次はお前の番だからな(/あとはお前に任せるからな)」