・英文讀解のヒント (70) 《名詞+that 節》
1 次の英文を音讀または默讀しながら意味をとらへ、下線部については意味を日本語で言つて、または書いてみませう。(※讀み方がわからない語はあとで辭書で調べておきませう)
Libraries and librarians resist censorship. A library’s role never has been, is not currently and will not be in the future to keep people from the information they need and want. Librarians know that a diverse and robust library collection reaffirms the importance and value of freedom to read and sends a message to all persons that they have the right to choose what they will read and think about, rather than allowing others to think for them.
(30 大阪大學 2012 9パラ: 2013年6月21日掲載)
2 下線部の解説
2.1 下線部全體は第三文型(SVO)で、Oである that節の中に動詞 reaffirms と sends とが竝んでゐます。後半の sends の目的語 a message の後ろにthat 節が置かれ、 a message についての説明を加へてゐます。「多樣でしつかりした藏書が、何を讀み何を考へるかについては自分が選ぶ權利を有するのだといふメッセーヂを屆ける」といつた意味で、英語では説明を後から追加するのですが、日本語では「といふ」などとして説明を前に置くのが一般的です。ここでは a message の後に to all persons があるためややわかりにくくなつてゐます。
2.2 この《名詞+名詞相當語句》のかたちは文法書では「同格(apposition)」として説明されます。apposition とは「竝列させること」、語源的には「近くに置く」といつた意味で、さまざまなかたちがあります。名詞のあとに名詞、of+名詞/動名詞、that 節やwh-節などが置かれます。中には文が前で名詞を後ろに置くかたちもあります。
本ブログでは、下線部のやうな、名詞にthat 節が續くケースを34囘扱ひました。扱つた名詞は、
fact / idea / evidence / belief / recognition / sense / chance / likelihood / hypothesis / assumption / suspicion / reason / awareness / worry / argument
などです。事實や事態、知らせや要求、考へや氣持を表はすことばが多いやうです。
■諳誦例文: 名詞+that 節、名詞+of 動名詞の例です。
70 The fact that he won the Nobel Prize had nothing to do with the fact of his being Japanese.
彼がノーベル賞を受賞したといふことは、(彼が)日本人であるといふこととは關係がなかつた。
□參考例文: 名詞とthat 節とが離れてゐるケースです。
70.2 The idea occurred to him that if he did not succeed this time he was too old to have a second chance.
今度成功しないと歳をとりすぎて二度めの機會がなくなるのではないかといふ考へが彼の頭に浮んだ。
□參考例文: 名詞によつてはwh-節が續くことがあります。
70.3 The question arose who should be chosen to investigate this scandal.
このスキャンダルを調査するのに誰が選ばれるべきかといふ問題が生じた。
□參考例文: 次の例文は英文讀解のヒント(65)で紹介した例文です。
65.6 The question whether she should be invited is for you to decide.
彼女を招待すべきかどうかといふ問題は君が決めることだ。
3 意味把握チェック
圖書館や圖書館員たちは檢閲に抗ふ。圖書館の役割は、人々が必要とし欲しがる情報から人々を遠ざけておくことでは決してなかつたし、現在さうではないし、將來もさうではないだらう。多樣でしつかりした藏書により、讀書の自由の重要性と價値が確かなものとされ、何を讀み、何を考へるかについては、他の人(々)が考へるにまかせておくといふよりは、むしろ自分が選ぶ權利を有するのだといふメッセーヂが(多樣でしつかりした藏書により)すべての人々に發せられる、といふことを圖書館員たちは承知してゐる。
4 意味把握チェックの下線部を參考にして、元の英文に戻してみませう。
※下線部以外の解説については、英文末尾に掲げた日付のブログ記事をご參照ください。畫面右の Back Numbers で該當の月・年をクリックし、Calendar で該當日をクリックしてご利用ください。