英文讀解自修室

  - in the historical Japanese kana/kanji orthography

・東北大學 2012 (10) 9パラ

2012-11-26 | 出題英文讀解

     The new focus on grit is part of a larger scientific attempt to study the personality traits that best predict achievement in the real world.  While researchers have long focused on measurements of intelligence, such as the IQ test, as the crucial marker of future success, these scientists point out that most of the variation in individual achievement has nothing to do with being smart.  Instead, it largely depends on personality traits such as grit and conscientiousness.  It’s not that intelligence isn’t really important ―― Newton was clearly a genius ―― but that having a high IQ is not nearly enough. (※下線部は、設問で和譯を求めてゐる箇所を示してゐます)

 

 

9.1  The new focus on grit is part of a larger scientific attempt to study the personality traits that best predict achievement in the real world.

 

[意味把握チェック]  9.1 グリットについて新たに注目されてゐるのは、實世界でどんなことを達成するかをうまく豫測する性格特性を、科學的研究で明らかにしようといふ大きな試みの一部である。

 

【讀解のポイント-かたちからのアプロウチ】

・向いてゐる職業などを性格特性により豫想しようとする研究で、グリットがどんなはたらきをするのかが注目されてゐる、といふわけです。

 

9.2  While researchers have long focused on measurements of intelligence, such as the IQ test, as the crucial marker of future success, these scientists point out that most of the variation in individual achievement has nothing to do with being smart.

 

[意味把握チェック]  9.2 (從來の)研究者たちは長いこと、將來の成功の極めて重要な指標として、知能檢査などによつて知能を測定することに集中してきたが、これらの科學者たちは、個々人の成し遂げることにはさまざまな局面があるもののその大部分は利口であること(/頭が良いこと/知能の高さ)とは關係がないと指摘する。

 

【讀解のポイント-かたちからのアプロウチ】

・この文の和譯が設問になってゐますが、觀點は出題文全體の趣旨を把握できてゐるかどうか、であると思ひます。researchersは從來の研究者一般を指してゐるやうに見えますから、ここは受動態にして主語をぼかしても可いかもしれません(「~に研究者の關心が寄せられてきたが」など)。these scientists はグリットを研究對象とする心理學者たちを指してゐます。

the variation は、「變化/變動すること」を意味しますが、やや具體性を帶びた譯文にしてみました。抽象的な書き方については、具體化してみるとわかりやすいことがあります。例へば、人は生涯でさまざまなことを成し遂げます。成長し、友達をつくり、學業を修め、部活動に參加したり、やがては仕事を始めたり、家庭を築いたり……多樣な内容が考へられますし、そのそれぞれに變化があり、多くの局面があることでせう。その大部分が being smart とは關係ないと述べてゐるわけです。

  Newton はさまざまな業績を擧げてゐますが、萬有引力の法則提出に即していふなら、成し遂げるまでに、基礎學力を培ふ、着想を得る、實驗・計算を重ねる、シンプルな法則に仕上げる、普遍性を立證するなど、さまざまな局面が考へられます。その大部分は頭のよさと關はりが無い(それとはちがふ要因がものをいふ)と述べてゐるわけで、ちよつと納得しがたい氣もします。そこで次の文(9.3、9.4)で説明を補足してゐるのでせう。

 

[語句]

9.2

 

such as

例へば~など

9.2

 

point out

指摘する

9.2

 

haveto do with

…と關はりが~ある/ない

 

9.3  Instead, it largely depends on personality traits such as grit and conscientiousness.

 

[意味把握チェック]  9.3 さうではなくて、そのほとんどは主としてグリットや眞面目さ(/誠實さ)といつた性格特性にかかつてゐる(/資質次第なのである)。

 

[語句]

9.3

 

depend on

~にかかつてゐる

9.3

 

such as

例へば~など

 9.3  conscientiousness   [kɑn∫ién∫əsnis] ※ ɑ に第二アクセント符号

 

9.4  It’s not that intelligence isn’t really important ―― Newton was clearly a genius ―― but that having a high IQ is not nearly enough.

 

[意味把握チェック]  9.4 知能が實際に重要ではないといふことではなくて――Newton は明らかに天才であつた――高い知能指數で十分とはとても言へないといふことなのである。

 

【讀解のポイント-かたちからのアプロウチ】

it: 天候その他の it と同樣に、とくに指すものはなく文の體裁を整へるために主語として置かれてゐるものです。その場の事情を指してゐるわけではなく、いはゆる「状況の it (Situation ‘it’)」とは微妙に異なつてゐます。ここでは「~といふことではない」といつた意味に解します。it に續く動詞には be のほかに seem / appear / happen / occur / chance / strike / say があります。

[例文]

  I have never carried an umbrella. It is not that I have an antipathy to it.  (私は傘を持つて歩いたことがない。傘に敵意を持つてゐるわけではないのだが)

・<notbut …>:「~ではなく…」

 

[語句]

9.4

 

not nearly

~(に近い)どころではない(far from ~)