「1990年代初頭からこれまでの約四半世紀、それぞれの階級で印象に残った選手を各階級3人ずつ挙げていっています。記載上のルールは各選手、登場するのは1階級のみ。また、選んだ選手がその階級の実力№1とは限りません。個人的に思い入れのある選手、または印象に残った選手が中心となります。」
上記の見出しで始まった「この階級、この選手」。2014年7月24日から今年の5月25日まで、全17階級の自分の記憶に残った選手たちを掲載してきました。フェザー級で選出した3名の選手は、メキシコ国内で非常に評価が高かった元WBC王者グレゴリオ バルガス(メキシコ/2016年2月28日付け)、バルガスを破り世界王座を獲得したケビン ケリー(米/2016年3月11日)。そしてあのマニー パッキャオ(比)と4度戦い、一度は完全にKO勝利を収めたファン マヌエル マルケス(メキシコ/2016年3月21日付け)となりました。
1990年代以降、越本 隆志(Fukuoka)や、粟生 隆寛(帝拳)、そして長谷川 穂積(真正)など日本からも素晴らしい世界王者たちが誕生しました。しかしどの選手も短命に終わってしまい、同級史はおろか、印象に残るかというとかなり疑問符が付いてしまいますね。
2020年10月の段階で落ち着いて振り返って見ると、この30年間、フェザー級には印象の残る好選手が次々に誕生しました。自分(Corleone)がボクシングに興味を持ち始めたとき、すでにWBA王者に君臨していた朴 永均(韓国)。そのタフネスと手数で8連続防衛に成功すると共に、日本人挑戦者の前に立ちはだかりました。朴同様に、日本人選手の前に立ちはだかり、上記のマルケスにも判定勝利を収めた技巧派クリス ジョン(インドネシア)。WBA王座を何と18度も守っています。
(日本人選手の壁となった朴とジョン)
朴、ジョンは安定したボクシングを展開し、長期政権を築きました。しかしプロキャリアが20年以上に渡ったマヌエル メディナ(メキシコ)に至っては、84戦の戦績の内、敗れた数は16度。しかし5度も同級の世界のベルトを獲得することに成功しています。一時期、ジョー小泉氏のマネージメントを受けたいたルイシト エスピノサ(比)は同級ではWBC王座を獲得。ツボにはまった時の強さは想像を絶するものがありました。
(同級ではWBC王座を獲得したルイシト(左)。メディナ(右)からWBC王座を奪取)
しかし何といっても奇想天外なボクシングを展開したナジーム ハメド(英)は、実力的にもフェザー級史に残る名選手でした。バルガス、ケリー、マルケスも悪くなかったんですが、今振り返って見ると、強くて、しかも印象に残った選手はたくさんいるものですね、このフェザー級には。僅か30年ですが、こうして見てみると、フェザー級は本当に層の厚いクラスなんですね。
(1990年代の後半、フェザー級のみならず、世界ボクシングの中心だったハメド)
そういえば、ワシル ロマチェンコ(ウクライナ)はプロ僅か3戦目で世界フェザー級王座を獲得しています。これからも実力選手たちを量産し続けるんでしょうね、このフェザー級は。