内容紹介
夫婦になること。夫婦であること。ひとりでも楽しく生きていけるのに、なぜ、ふたりで? その答えが、ここに輝く。夢を追いつづけている元映写技師の男。母親との確執を解消できないままの看護師。一緒にくらすと決めたあの日から、少しずつ幸せに近づいていく。そう信じながら、ふたりは夫婦になった。貧乏なんて、気にしない、と言えれば――。桜木史上〈最幸〉傑作。この幸福のかたちにふれたとき、涙を流すことすらあなたは忘れるだろう。
読書備忘録
子供がいないからその分のもめごとはなく、たんたんと静かに夫婦の話が進んでいく。
夫婦だから、親子だからと言ったって知らないことはきっと山ほどある。
秘密にしていたわけではないけれど、ある時期、そうだったのか・・・知らなかったと思うことだってある。
母親が腐らせるほど食品を買い込んでいたのも、亡くなった父親と一緒に食べようとしていたからだなんて聞くと迫るものがあったはず。
ひとりになってもふたりぐらしを続けていた。
「現実はいつも、生き残る側が引き受ける荷物だった。」
「ひとりではうまく流れてゆけないから、ふたりになったのではなかったか。」
ひとりでも楽しく生きていけるのに、なぜ、ふたりで?
そうなの・・・ね。
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