島添亮子さん/ストリーター「コンチェルト」第2楽章


  昨夜、NHK「バレエの饗宴2013」がEテレで放映されました。イタリア国際の男子シングルス決勝と時間がかぶったので、録画しておいて今少しずつ観ています。

  小林紀子バレエ・シアターも参加しており、ケネス・マクミラン振付「コンチェルト」全曲(ショスタコーヴィチ「ピアノ協奏曲第2番」)を上演しました。

  クラシック・バレエの練習作品として作られただけに、シンプルな振付と構成だけど、シンプルさがいっそうダンサーたちの動きの端正な美しさを際立たせています。音楽と踊りを合わせるという基本も重視しているので、ダンサーたちの踊りが音楽と見事に連動していて、見ていて気持ちが良いですね。

  第1楽章の最後はちょっとユーモラスな終わり方で、ここも私は好きです。

  最も有名な第2楽章を踊ったのは島添亮子さんとジェームズ・ストリーター(James Streeter、イングリッシュ・ナショナル・バレエ)です。

  今夏の英国ロイヤル・バレエ団日本公演「ロイヤル・ガラ」の演目にも、「コンチェルト」が入っていますが、上演されるのはおそらくこの第2楽章だと思います。

  第2楽章での女性ダンサーの独特な動きは、振付者のケネス・マクミランが、当時の英国ロイヤル・バレエ団のプリマ、リン・シーモアがバー・レッスンをしている様子を見て、その姿のあまりな美しさに着想を得て振り付けたんだそうです。

  島添さんの踊りがテレビで放映されたのは、これが最初ではないですか?私はこの公演を生で観ませんでしたが、今こうして画面を通じて観ていても、うっとりと見惚れてしまいました。

  島添さんのパートナーを務めたジェームズ・ストリーターのパートナリングも見事ですし、島添さんの強靭でしなやかな筋力に支えられた、情感豊かな踊りがすばらしいです。

  両脚が微動だにせず、美しい弓なりの形で静止している中で、上半身と腕だけが柔らかに、流れるように動いていきます。

  この第2楽章は初演者のリン・シーモアに合わせて振り付けられたので、他の楽章よりも女性ダンサーの動きの難度が高く、男性ダンサーのサポートとリフトもやや複雑で、二人の動きを合わせるのが難しいと思うのですが、島添さんとストリーターの踊りは自然でよく合っていますね。

  それにしても、島添さんはサポートされても、空中でリフトされても動きやポーズがまったく崩れません。島添さんはパートナー任せで自分を支えさせているのではなく、自分で自分を支えているからです。だから動きも軸もブレず、バランスも失ないません。

  島添さんは、見た目は小鹿のように可愛らしくて儚げで、動きも柔らかく優雅でしなやかです。でも実は心身両面で凄まじいほどに強いダンサーです。私は心中ひそかに、島添さんのことを「鋼の女」と呼んでいます(笑)。

  前にも書きましたが、今年の8月24、25日、小林紀子バレエ・シアターはケネス・マクミラン振付『マノン』全幕上演を行います。この島添さんがタイトル・ロールです。デ・グリューは英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパル、エドワード・ワトソンです。

  一民間バレエ団による『マノン』なんて期待できるのかなあ、とためらっておられるみなさまは、今回放映された「コンチェルト」での島添さんの踊りがご参考になるかと思います。

  チケットはもう発売されています。チケットぴあ、イープラスなどのチケット・エージェンシー、小林紀子バレエ・シアターでも販売しています。私はすでに両日ともチケットをゲットしました。るん♪

  なんでこの記事を書いたかというと、今回の「バレエの饗宴2013」放映に乗じて、小林紀子バレエ・シアター公演『マノン』の宣伝を勝手にしたかったからです(笑)。


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