スーパーじゃない「スーパーこまち」


  今年の3月中旬から運行を開始した秋田新幹線の新型車輌、「スーパーこまち」です。

  (東北新幹線「はやぶさ」と連結した状態。東京駅にて)

  (高級車みたいでカッコいい?)

  (正面顔はこんな感じ。カモノハシみたい。秋田駅にて)

  (横顔。流線型というのだろうが、とにかく長い)

  (鷹の横顔みたいでやはりカッコいい?)


  切符を取った新幹線がたまたまこれでした。私はJR東日本の新幹線を使うときは、必ず「えきねっと」で購入します。「えきねっと」はJR東日本のネット予約システムで、ここで特急券を予約すると自動的に割引になります。それをJRの各駅にある新幹線特急券・普通特急券の券売機で発券すると、更に割引になります。

  お得な特急券&乗車券セット(その名も「トクだ値」)があるし、お盆や年末年始の特急券を確実に取りたいときには、乗車日の1ヶ月と7日前に予約抽選を申し込むことができます(たいてい取れます)。割引があるのと、いつも混んでいる「みどりの窓口」に並ぶ時間が省けるので、「えきねっと」はかなり便利です。

  ただ、毎日0:00から4:00(5:00だったかな?)までは、システム・メンテナンスのために使えないこと、繁忙期(特に年末年始)の予約抽選申し込み開始日にはめちゃくちゃ混んでアクセスしにくい(しかも次のページに跳ぶのを待っていて一定時間が過ぎると自動ログオフされてしまい、その都度ログインからやり直して結局2~3時間かかるときもある)ことが難点でしょうか。

  今回ももちろん「えきねっと」で特急券を取りました。もちろん割引されるんですが、予約した時点では正規料金が表示されるんです。発券された切符の券面を見てはじめて、割引された後の価格が分かります。券売機で発券すると、片道500円引きで、往復で1,000円。駅弁代になります。

  で、「スーパーこまち」ね。「えきねっと」で予約した特急券を発券したら、7,390円(東京-秋田)。あれ?割引されてるはずなのに、正規料金より高い?ヘンだな?と思いました。もう1枚の特急券は6,890円で、こっちはいつもの割引後の価格とほぼ変わりありません。

  しばらく券売機の前で考え込んでしまいましたが、券面をよく見たら、7,390円のほうには「スーパーこまち」、6,890円のほうには「こまち」と印刷されています。ああ、「スーパーこまち」は特急料金が「こまち」よりも500円高いんだ、とやっと気づきました。JR東日本の公式サイトの料金表によると、秋田新幹線の東京-秋田間の正規料金は、「スーパーこまち」が7,750円、「こまち」が7,250円だそうです。

  しかしですな、秋田新幹線は東京-秋田間が直通4時間、というのが従来の謳い文句なんですが、実際には上りも下りもたいてい4時間数分かかります。最も早いのが4時間ちょうど(←これなら法律に抵触しない)と4時間1分。最も遅いのになると4時間20数分です。これは「こまち」の場合ね。

  一方、「スーパーこまち」は、東京-秋田間が最速3時間45分というのが売りのようです。実際はどうかというと、今、意地になって(笑)運行表を見ながら書いてますが、えーと、上りが1日4本で、3時間47分、3時間58分(2本)、3時間55分。下りも1日4本で、3時間53分、3時間56分、3時間51分、3時間45分(←1本でも3時間45分なら法律に抵触しない)。

  運行表上は、「スーパーこまち」はさすがに4時間を切ってますが、運行時間が最も早い4時間ぴったりの「こまち」と、運行時間が最も遅い3時間58分の「スーパーこまち」とでは、2分しか運行時間が違いません。運行時間が最も遅い4時間20数分の「こまち」と、運行時間が最も早い3時間45分(1本しかない。しかも下りの終電)の「スーパーこまち」ならば40分ほども違いますが、上りと下りでこんな組み合わせになるのは稀でしょう。

  たいていは、「こまち」だろうが「スーパーこまち」だろうが、運行時間は10分前後しか違わないのです。それで特急料金が500円も違うのです。

  じゃあ車内の設備がかなり良くなったのだろうと思い、「スーパーこまち」の車内設備を見ましたが、どこがどう良くなったのか今ひとつ分かりませんでした。私が気づいたのは、座席に上下スライド式の枕(背もたれ)があったこと、ドリンク・ホルダーが付いていた(普通の「こまち」には付いていない車輌もある)こと、通路側の座席にも荷物を下げるフックが付いていた(普通の「こまち」には窓側の席にしかない)ことくらいです。

  デッキ、トイレ、洗面所も研究しました。デッキには手すりが設置されていました。トイレは、新型車輌ならまあこれくらいはきれいだよな、程度。洗面所は、手を洗った後の「乾燥」機能の風が強くなっていました(普通の「こまち」はそよ風)。

  あとは床とドアのすりガラスに稲穂の模様が入っていました。

  結局釈然としませんでした。でも、たかだか500円高いのがイヤなら、乗らなきゃいいだけの話です。ただ、今後の問題は、今の季節はいいですが、冬場はどうするのかってことです。今まで何度もぼやいてきましたが、冬の東北、とりわけ日本海側は大荒れの天気が続きます。新幹線でさえも遅延や運休は珍しくありません。

  もしこんな事態が起きたらどうするんでしょう?前に発車した「こまち」はほぼ定刻どおり4時間余りで到着した。ところが、後に発車した「スーパーこまち」は天候悪化で5時間半かかった。

  JR東日本の規定では、2時間以上の遅延でないと、特急料金の払い戻しはされないはずです。「スーパーこまち」の運行時間は3時間45~58分ですから、到着に5時間半かかったとしても、特急料金の払い戻しはされない理屈になります。つまり、「スーパーこまち」の乗客は、500円余計に払って1時間半以上も遅れるということになります。

  「もし」と書きましたが、これは高い確率で起こると思いますよ。もちろんJR東日本は冬場の遅延対策をきちんと練ってあると思いますが、どうするつもりなんでしょう。

  秋田新幹線は、たとえば東海道新幹線のように、値段の割高さが運行時間の短縮としてほぼ確実に反映される路線ではないんです。不安定な天候、難所の多い地形、線路のインフラの不備、複数の在来線使用などの問題で。新型車輌「スーパーこまち」が登場!で済ませて、運行時間の微々たる短縮や「こまち」より高い特急料金という無茶は止めとけばよかったのに。

  すでにネット上では不満&疑問噴出のようですし、テレビのニュースでも揶揄される始末です。この記事の題名はそのニュースの見出しから取りました。

  ほんと、冬はどうすんのかね。


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