▼スーパーのチラシに、北海道沖産の「あさり」が安く掲載されていた。漢字では「浅蜊」と書き、季語は春のようだ。でも、初冬の方が身がしまって美味しそうな気がする。だが、北海道沖とは果たしてどこなのだろうかと、首をかしげる。浅瀬で採取するものだと思っていたが、北海道沖とは、遥かロシアの海岸という意味なのだろうか。
▼私の記憶が正確であれば、福島第一原発事故後、鰹の表示が地名ではなく「太平洋沖」と表示されるようになった。最近は産地が特定できる「トレーサビリティー」などという表示もあるのに、太平洋沖とは、産地を特定しては売れないというのかと、推測してしまう。
▼とかなんとか、敏腕刑事のように推測を巡らす私だが、私の場合い、推測というより邪推のジャンルではないかと、自己分析している。
▼邪推の結果はというと「安い・美味しい」の、二つの要因だけで、売り切れない前に購入してくるのだ。函館市内から妻に電話し、夕食はボンゴレビアンコなので、そのつもりで用意してほしいと告げ、ワン・コインのスペイン産の白ワインを購入する。
▼なぜスペイン産にしたかというと、今年病死した高校時代からの友人で、ヨーロッパで暮らしていたK君が、スペインの美しさを、帰郷の度に語っていたからだ。それとパン屋によりバゲットも購入し、スーパーで「シラスの釜揚げ」も購入した。
▼大皿に、パスタが見えないほどのアサリだ。ニンニクの香りが食欲を増す。バゲットはスライスし、その上にバターを塗り、シラスをのっけて、パスタの汁をちょっぴり付けて食べた。
▼私の家のすぐ前は太平洋だ。この海もイタリアやスペインに続いていると想像すれば、地中海からの潮風のスパイスも振りかけられたに違いない。思わず「ボーノ・ボンゴレビアンコ!!!」と叫んだ。
▼そして、この美味しいパスタに、感謝と感動を込めて、新たな名を付けた。『浅蜊山パスタ・地中海の潮風スパイス・Kのささやき』・・・と。
▼妻からのコメントだ。「バカじゃないの、ワイン一本も空けちゃって」だ。・・・おしまい。