▼ブログは、テーマ設定から始まる。寝る前に、当日の出来事から、次の朝のブログのテーマを考えているので、その夜の夢になりやすいというのが、私の特徴だ。前日、テーマが決まらなければ、翌日の朝刊から、テーマを決めることがある。
▼「福祉と国防」などという、自分でもよく理解できないテーマは、書きたいものがあるのだが、ぴったりするテーマが浮かんでこない。そこで、大まかなテーマを設定し書き始めているうちに、なんとなく文章が出来上がるという手法だ。だから、書き終えてから、表題が変わることもあるが、今日のブログはその類のようだ。
▼函館市町会連合会の保健福祉部長というのが、私のポジションだ。その関係で、市の「高齢者計画策定委員会」のメンバーになっている。メンバーは、ほとんどが専門職で、私などは門外漢だ。だが、高齢化社会のピークに位置している世代が私たちなので、知識は皆無に近いが、興味は人一倍持っている。それに、町会長の仕事は、高齢化社会への対策だといっても過言ではいからだ。
▼先日の会議では、計画の基本案が示され、その検討に入った。基本計画なので、あれもこれもという、万に一つの落ち度もない文面だ。こういう仕事は、さすが役人だと感心する。だが、現場を担当する委員からは「この内容では人材も不足しているし、現場に負担がかかるのではないか」という本音が聞かれた。
▼私もそう感じたが、策定する側としては、厚生省の計画に沿ったものなので、止む得ないということだろう。函館市らしい、重点目標を設け、優先順位を設けた方が、地域特性の政策になるのではないかと思っている。だが、基本計画策定会議などというものは、こうあってほしいというのを、すべて書き出すというのが主旨なので、さほど実現不可能なものでなければ「異議なし」が、常識のようだ。
▼だが、一ヶ所だけ私が過剰に反応した、文言があった。地域支えあいの推進という中での、在宅医療・介護連携の推進という項目に『切れ目のない取り組みの推進』という文言だ。「切れめがないというのは、アベ総理がよく使う言葉で、具体性を感じられず抽象的で、この文言は計画書にはふさわしくないのではないか」と発言した。
▼「厚生省が使用しているので、使わせていただきましたので、ご了解ください」という答えだ。会議は午後8時に終わる。それから、私が帰宅するには車で1時間ほどかかる。知り合いの女性職員が「帰りは鹿に気を付けてくださいね」と声をかけてくれた。
▼「切れ目のない」という言葉が気になって、車を走らせていたが、山道で、角が1メートルもある、威風堂々とした、大鹿が立って私をにらんでいたのだ。これはアベ総理が送り込んだ刺客ではないかと思い、一瞬車を停止させて、相手が目をそらした隙に、急発進して逃げたのだ。
▼翌日、安保法制に関する本を読んでいたら、この言葉を見つけたのだ。2015年、アベ総理がワシントンで合意した「新ガイドライン」にだ。ガイドラインとは、日米軍事同盟の運用面の指針だ。『切れ目のない、力強い、柔軟かつ実践的な日米共同の対処』とある。アベ総理には、周辺の軍事脅威に対抗するのと、高齢化対策に対抗するのは、同じ気構えを持って行わならなければならないという考えのようだ。
▼「九条を改正し戦える国になれば、軍事費が増大し、削られるのは福祉予算だ。そんなことも考え併せ、計画の策定を行ってほしい」というのも、会議で発言してきた。このような会議で、憲法改正まで発言したのは極めて異例なことに違いない。憲法改正は国柄まで変えるので、つい関連させて発言してしまうのが、最近の私の傾向だ。
▼これらの会議内容は、市会議員の目にも止まる。市議会では「安保関連法反対」の議案提出を「15対14」で否決している。14人の中から、市議会で計画案の「切れ目のない」という文言の削減を指摘されたら、担当職員はどう答えるのだろうか。
▼そんなことを、ふと考えたので、今日のテーマは「福祉と国防」という、分かったようでわからない、アベ総理の考えのような、文章内容になった次第です。よくわからないので、テーマはそのままにします。