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函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

カジノ誘致と次期五輪

2013年10月08日 13時08分43秒 | えいこう語る
2020年の東京オリンピックの開催で、早くも経済振興が始動しだしているようだ。
その一つが、カジノ誘致だ。
北海道では、阿寒湖温泉への誘致に取り組んでいるようだ。
阿寒湖がある釧路市は、200海里問題から漁業は衰退し、さらに太平洋炭鉱の閉山がその衰退に拍車をかけた。
釧路は石川啄木が一時住んでいた街で、以前釧路を訪ねた時、早朝にホテルを出て、昔遊郭があった幣舞橋付近を散歩すると、啄木の句が歩道のあちこちで目にすることができた。
※釧路の滞在は3月足らずだが「きしきしと寒さに踏めば板軋む帰りの廊下のふいのくちづけ」などと、粋な句を残している。


街の中心は空き店舗が見られ、街の象徴である朝霧が街をすっぽり包んでいた。
啄木の句は、かつて栄えたこの道東の港街を、さらに印象的に演出しているように思えた。
「元気のない街」というのが第一印象だった。
しかし、先日この釧路の主婦桜木紫乃さんが、「ホテルロイヤル」で直木賞を受賞した。
この作品は、この土地から生まれた文学なのだ。今の釧路が直木賞の生まれる風土なのだ。
そこにカジノ構想だ。
昼間は湖畔や森林散策などのアウトドア。夜はカジノでナイトライフを楽しむという発想らしい。アベノミクスと次期五輪に便乗しようという地域振興なのだろうが、静謐な阿寒湖にギャンブルを持ち込むのは、湖の神がどういうだろうか。
1964年の東京オリンピック。振り返れば我が国の「新幹線経済」がスタートした時でもある。
当時、建築家の丹下健三たちは、芸術や文化の満ち溢れた文教都市構想を描いていたという。
だが経済至上主義が独走し、今の東京になり、その結果が1千兆円という世界一の借金国になってしまったのだ。
前のオリンピック以降、私たちは日本人としての大切なものを、どこかに置き忘れ、物質的な豊かさに酔ったきらいがある。
アベ総理が言う「日本を取り戻す」なら、それは都会化しない地方にヒントが多くあるのではないかと思う。
前のオリンピックは「一極集中」を促進し、いびつな国家と曖昧な日本をつくりあげた。
時期のオリンピックで、さらに「一極集中」をさせては、二度と我が国は立ち上がれないのではないかと危惧する。
「東京オリンピック」とは「日本オリンピック」という意味だ。
日本中が再構築する「多極分散型」の「均衡ある国土」にしたいものだ。
そのためには賭博で地域振興を図る、そんなヤクザな考えは捨てて、小説の生まれる人間味あふれる風土にしてほしいと思う。
2020年のオリンピックに我が国の真の再生を願う、前回のオリンピックを白黒テレビにかじり付き日本を応援した、団塊世代の独り言である。